監修医師:
吉川 博昭(医師)
医学博士。日本ペインクリニック学会専門医、日本麻酔科学会専門医・指導医。研究分野は、整形外科疾患の痛みに関する予防器具の開発・監修、産業医学とメンタルヘルス、痛みに関する診療全般。
膵石症の概要
膵石症(すいせきしょう)は、膵臓の膵管とよばれる部分に石のようなかたまり(結石)ができる病気です。膵臓は、胃のうしろ側に位置する長さ20cmほどの細長い臓器で、膵液を分泌し、消化を助ける重要な役割を果たしています。
膵石症では、膵液の流れが妨げられることによって激しい上腹部の痛みが生じることが多いですが、症状があらわれない場合もあります。膵石ができると膵臓の機能が低下し、糖尿病を発症するリスクが高まることも知られています。
膵石には、膵管内にたんぱく質のかたまり(蛋白栓)が形成されるものと、その蛋白栓を核として炭酸カルシウムが沈着するもの(石灰化膵石)があります。膵石症は、膵臓の炎症が長期間続く「慢性膵炎」の患者で多くみられます。慢性膵炎の主な原因は、長期間の過度なアルコール摂取です。
症状がない場合は経過観察となることもありますが、痛みが続いたり繰り返したりする場合は、膵石を除去する治療が必要です。治療法には、体の外から衝撃波をあてて膵石を砕く治療(体外衝撃波結石破砕療法)、内視鏡を用いた治療、外科的手術などがあります。
膵石症の原因
膵石症の主な原因は、長期間にわたり膵臓が炎症する「慢性膵炎」の進行によるものです。慢性膵炎の原因として最も多いのは、長期間にわたる過度なアルコール摂取で、男性の約8割、女性の約4割が該当します。一方、女性の半数以上は原因が不明な「特発性」とされていますが、遺伝的な要因が関係している可能性も指摘されています。
慢性膵炎が進行すると、膵液の通り道である膵管内に膵石が形成されることがあります。膵石には、たんぱく質のかたまり(蛋白栓)が形成されるものと、蛋白栓を核として炭酸カルシウムが沈着するもの(石灰化膵石)があります。
アルコールが原因の場合は小さな膵石が多く、特定の原因がない場合は大きな膵石ができやすいとされています。
配信: Medical DOC