「膵臓がん」によって背中の痛みを感じた際の対処法・治療方法とは?

「膵臓がん」によって背中の痛みを感じた際の対処法・治療方法とは?

膵臓がんは目立った症状がないまま進行しやすく、早期発見が難しい難治性のがんとして知られています。

背中の痛みは、膵臓がんでみられる代表的な症状の一つです。膵臓がんは、早い段階で適切な治療をすればよくなる可能性もあります。

本記事では、膵臓がんによって背中の痛みを感じた際の対処法・治療方法を解説します。

≫「膵臓がんを発症すると感じる痛みの場所」はご存知ですか?初期症状も解説!

※この記事はMedical DOCにて『「膵臓がん」を発症すると「背中にどんな痛みの特徴」が現れるの?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

膵臓がんとは

膵臓から生じた悪性腫瘍で、80~90%は膵管上皮から発生する膵管がんです。原因は、家族歴・糖尿病・慢性膵炎・大量の飲酒・喫煙・肥満などといわれています。腫瘍が小さいうちから周囲に転移しやすいのが特徴で、難治性がんの一つとされています。
日本国内では肺がん・大腸がん・胃がんに続き、4番目に亡くなる患者さんが多いがんです。がんがある程度大きくなるまで目立った症状がなく、自覚症状が出た頃にはすでに進行しているケースが少なくありません。膵臓はお腹の深い部分に位置し、周囲にほかの臓器や血管があって腫瘍を見つけにくいのも、早期発見が難しい要因の一つでしょう。
2009年~2011年のがん種別統計情報(国立研究開発法人 国立がん研究センター)によれば、膵臓がんの5年生存率は8.5%です。ただし、がんの大きさが小さいうちに見つかれば生存率は上がるため、なるべく早い段階で見つけて診断・治療することが大切です。

膵臓がんによって背中の痛みを感じた際の対処法・治療方法

膵臓がんによる背中の痛みを感じたら、早めに医療機関で受診しましょう。早い段階で膵臓がんを発見し適切に治療をすれば、進行や痛みを抑えられる可能性があります。
膵臓がんの治療方法は、外科的療法・抗腫瘍療法・支持療法です。複数を組み合わせる場合もあり、どの治療方法を行うかは進行具合や患者さんの状態などによって異なります。

外科的療法

根本的に治療するには、外科手術でがんを切除する方法が効果的です。周囲の臓器にも広がっている場合は、胃の一部や十二指腸・胆のうなども切除します。がんの大きさが2cm以下かつ転移がなければ、外科手術で治る可能性があります。
ただし、手術ができる状態の患者さんは2~3割程度です。手術でがんを取りきれるか判断が難しい場合には、まず抗がん剤治療や放射線治療を行ってから手術を検討するケースもあります。

抗腫瘍療法

手術での切除が難しい場合は、抗がん剤や放射線を用いた抗腫瘍療法を行います。抗腫瘍療法でがんを小さくした後、手術をするケースもあります。抗がん剤治療は、がん細胞の増殖を抑えて病気の進行や転移を防止する治療法です。
放射線治療は膵臓から離れた臓器に遠隔転移していない場合に、がんに放射線を照射して進行を抑制する治療です。抗がん剤治療と放射線治療を組み合わせて行うケースもあります。

支持療法

支持療法は、膵臓がんの症状や治療に伴う副作用・合併症・後遺症の予防・緩和を目的に行う治療です。鎮痛薬で痛みによる行動制限や食欲低下を予防・緩和したり、制吐剤で抗がん剤治療による吐き気を抑えたりするのが代表例です。
放射線治療で、骨転移の痛みを緩和する場合もあります。辛い症状が続くと大きなストレスとなり、免疫力低下につながります。免疫力を上げて治療の効果を向上するには、支持療法も重要な治療法です。

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