「難病をもって生まれた長男が喜んでくれる絵本を作りたい」未経験から絵本作家になった母の思い【体験談】

「難病をもって生まれた長男が喜んでくれる絵本を作りたい」未経験から絵本作家になった母の思い【体験談】

障害のある息子と2人のきょうだいの育児をとおして思うこと

3人きょうだいの子育てに家事、そして作家活動、NPO法人の運営と、多忙な庄司さん。最後に、そんな庄司さんが日ごろの子育てで大切にしていることを聞きました。

「隼人に対しては、私に依存しすぎないように気をつけています。将来的に人の手を借りないと生きていけない子なので、なるべくいろんな方に関わってもらう場をつくりたい。

その一環として、小さいころからショートステイに預けるなど、少しずつお互いに離れる練習をしてきました。いちばん最初に隼人を預けたときは、もういてもたってもいられない感覚だったんですが(笑)。やはり何回も経験していくうちに、今は離れている時間にも慣れてきました。こうやって親離れしていくのも大切だと考えています。

下の子たちに思うことは、それぞれ個性があったり病気があったりしても、子どもたちの裏側に隠れている本当の気持ちを見逃がさず、ありのままに受け入れようということ。もしも子どもがマイナスなことをしてしまったときも、その行動だけ叱るんだったら解決にならない。1回その子の気持ちを考えて、悪いことを含め受け入れてあげるってことを意識しています。

これから育児が始まるママやパパ自身も、どうしてもつらいことがあったときって、早く前を向こうと頑張りすぎてしまうと思う。そんなときほど頑張らなくていいし、つらくていいし、悲しくていい。マイナスな感情も、一度受け止めてみてください。

子育てする前はだれしもいろんな理想がありますが、実際に子どもを産んでみると障害や病気の有無に限らず、子どもによってそれぞれ悩みはあって、たくさん壁があると思うんです。そういうとき、ママやパパが苦しくなる要因として、人と比べてしまうことが大きい。苦しくなったときは、人と比べることはいったん休んで、ただ目の前のお子さんとの時間を大切にしてほしいです」(庄司さん)

お話・写真提供/庄司あいかさん 取材・文/安田萌、たまひよONLINE編集部

自身の経験から「絵本屋だっこ」を立ち上げ、絵本を通じて障害理解を広めるため活動を続ける庄司さん。私たち1人ひとりが関心を持ち、少しでも障害について知ることが、庄司さんがめざす、“多様性を認め合うインクルーシブな社会”への一歩となるはずです。

「 #たまひよ家族を考える 」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

庄司あいかさん

PROFILE
3児の母で長男が難病の重心児。「絵本で障害への理解を広めたい」という思いから、絵本作家の活動を始め、障害者や家族の支援を目的としたインクルーシブな絵本屋さん「絵本屋だっこ」を立ち上げる。現在は、絵本から障害への理解を広める活動をする非営利活動法人「NPO法人絵本屋だっこ」の代表を務め、障害者やその家族をはじめ、だれもが笑顔ですごせる社会をめざし活動中。

■NPO法人絵本屋だっこのHP
https://ehonya-dakko-npo.com/

■庄司あいかさんのInstagram @aika.shoji
https://www.instagram.com/aika.shoji/

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2025年2月の情報で、現在と異なる場合があります。

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