高校の卒業生が「制服」で居酒屋出入り→学校にクレーム届く…恩師も嘆く「制服居酒屋」は違法なのか?

高校の卒業生が「制服」で居酒屋出入り→学校にクレーム届く…恩師も嘆く「制服居酒屋」は違法なのか?

学校の制服を着てテーマパークで遊ぶ「制服ディズニー」や「制服ユニバ」といった活動が、現役の中高生だけでなく、大学生や20代の若者にも楽しまれているそうだ。

そんなキラキラした活動とは似ても似つかぬ相談が弁護士ドットコムに寄せられた。

とある高校の卒業生が「高校の制服で居酒屋に行ったら母校の教師に注意された」というのだ。

卒業生による「制服居酒屋」「制服パチンコ」の問題を考えたい。

●嘆く母校の教師「学校にクレームが届く」

相談者は「卒業した高校のブレザーの制服がまだ着れるので、校章や名札などを外してたまに着ている」という。

制服を着て友人らと居酒屋に行くと、たまたま居合わせた母校の先生から「『うちの学校の生徒が学校をサボってパチンコや居酒屋に出入りしている』という噂があるのでこういう場所では着てこないで」と言われたそうだ。

この先生によれば、”制服居酒屋”や”制服パチンコ”をしている卒業生は、相談者以外にも少なくないそうで、学校にはクレームが届いているという。

たしかに、第三者からすれば、制服を着た現役の高校生が居酒屋やパチンコに出入りしていると見えてしまうだろう。どんな問題が考えられるか。櫻井俊宏弁護士に聞いた。

●母校の制服を着ること自体は「不法行為」といえない

——高校の卒業生が、母校の制服を着て、地域の居酒屋やパチンコに出入りすることにはどのような問題があるでしょうか

その高校の生徒が、酒を飲んだり、パチンコをしたりしていると第三者に思われることは、学校にとっては「マイナス」のことではあるでしょうが、学校に対する民法上の不法行為(民法709条)になるかということは、慎重に考える必要があります。

まず、母校の制服を着て街に出かけること自体は、その制服が本人の所有物である以上、違法ではありません。また、その制服で地域の居酒屋やパチンコに出入りしたからといって、ただちに学校に対する不法行為が成立するとはいえません。

ただし、各方面から学校に苦情がきて業務に支障が出てしまい、卒業生に対して、”制服居酒屋”や”制服パチンコ”をやめるように再三要請をしていたにもかかわらず続けていたなど、特段の事情がある場合、学校に対する不法行為が成立する可能性があります。

また、制服を着て来店しているからといって、店の業務を妨害しているから、店との関係で「違法」ということにもいえないでしょう。店側も、必要があれば、そのような者の入店を事前に禁止し、またはお断りすればよいと思います。

とはいえ、卒業後とはいえ、他人に迷惑がかかる行為は、好ましいとはいえないでしょう。

学校側が、校則などで「卒業後、制服を着て〇〇へ行くようなことはしない」というようなルールを設けることも一案でしょう。卒業後なので「絶対に守らないといけない」わけではありませんが「抑止力」くらいにはなるでしょう。

また、母校の評価が下がれば、それがめぐりめぐって、自分の社会における評価にも影響を与えることについて、生徒の在学時から啓発していくことによって対応していく必要があると思います。

【取材協力弁護士】
櫻井 俊宏(さくらい・としひろ)弁護士
企業法務・交通事故・相続・離婚問題等を得意としている千代田区・青梅市の弁護士法人アズバーズ代表弁護士。中央大学の法律顧問(法実務カウンセル)を担当している。応援団出身であり現在監督。「弁護士 ラーメン」と検索すると自身のラーメンブログが一番上に出てくる程のラーメン通。
事務所名:弁護士法人アズバーズ
事務所URL:http://as-birds.com

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