【闘病】背中の鈍痛がまさかの大動脈解離に「いつ破裂してもおかしくない」死の宣告

【闘病】背中の鈍痛がまさかの大動脈解離に「いつ破裂してもおかしくない」死の宣告

「野球ボールのような重みを感じた」2019年3月5日の朝、いつものように朝食を準備していたゆみさんの背中に、突然異様な鈍痛が襲いかかりました。その後、救急搬送されるも、検査中に激痛へと変わり、診断されたのは「急性大動脈解離スタンフォードB型」でした。「一度裂けた大動脈は二度と元に戻らない」そう告げられた彼女は、痛みに耐えながら絶対安静の治療を受けることに。しかし、数ヵ月後の検査で「いつ破裂してもおかしくない」と宣告され、12時間に及ぶ命がけの大手術を決意しました。絶望と恐怖に苛まれながらも、家族の支えと医師の技術により生還した彼女の壮絶な闘病記とは。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年10月取材。

体験者プロフィール:
ゆみさん(仮称)

1963年(昭和38年)生まれ。4児の母。長男・長女は独立し、夫・次女・三女と4人暮らし。2019年に大動脈瘤解離を発症し、2度の入院と2度の手術を受ける。後遺症は、幸いにも少し足が痺れる程度。現在は、見た目にもわからないほどに回復しているが、大動脈解離は完治していない。日常生活では食べることも大切にしながら、ウォーキングなども始めた。

Instagram
@petit_beads_momo

何気ない日常が一転

編集部

病気がわかった時の状況を教えてください。

ゆみさん

2019年3月5日の朝、いつも通り朝の食事の準備をしていると、背中の上の方に「野球ボールくらいの鉛玉をグイグイ押し込まれる」ような、鈍い痛みを感じました。激痛ではなかったですが、鈍痛で座りこんでしまいました。少しすると治まった感じもありましたが、鈍く痛むような感じが続きました。

編集部

その後どのように病気が判明するのですか?

ゆみさん

主人が救急車を手配してくれて、病院へ行きました。病院では痛みも引いていて、意識もハッキリとしていましたが、検査をしている内に激痛に変わりました。CTを撮ったところ、大動脈が肩下から足の付け根まで裂けている事が判明し、「急性大動脈解離スタンフォードB型」と診断名を告げられました。

編集部

医師からはどのような治療方針を告げられましたか?

ゆみさん

大動脈解離スタンフォードB型は心臓から少し離れている大きな血管なので、緊急手術はせず、降圧治療(内服などで血圧を下げる治療)をすると言われました。絶対安静の中、点滴で痛み止めと降圧剤投与が続きました。

編集部

治療中に辛かったことはありますか?

ゆみさん

肩下から足の付け根にかけて激痛があり、何度もナースコールで痛みを訴えました。医師からは痛み止めを過剰投与はできないと言われたのが辛かったです。また、数日間は、絶食の指示を受けました。夜は睡眠薬で寝ることができましたが、起きている間は、痛みで苦しかったです。また、痛み止めによって幻覚のようなものが見えるようになりました。夢か現実なのか分からなくなり、とても怖く、主人に「助けて」とLINEを打ったのを覚えています。

編集部

どのくらいの入院期間でしたか?

ゆみさん

2週間くらいで、血圧も落ち着き、リハビリを開始して、3月末に退院しました。先生からは「一度裂けた大動脈は元には戻らない」と言われました。今後は、経過観察していくということで、とりあえず安心しました。減塩食を心掛け、5月には、長女の結婚式に参列することができたので良かったです。

想像もしなかった急激な病気の悪化

編集部

その後は、安定して過ごせているのですか?

ゆみさん

いいえ、6月半ばの検診で、先生から「急激に悪化しています。いつ、大動脈が破裂してもおかしくありません。直ぐに手術をしないと命に関わります」と言われました。その後、家族と一緒に詳しく話を聞きましたが、内容に驚きすぎて、先生に言われたことはあまり覚えていません。

編集部

具体的に覚えている範囲で結構なので教えていただけますか?

ゆみさん

断片的ですが、「大変な手術で、12時間かかります」「手術の途中で10人に1人位の割合で亡くなる場合があります」「命は助かっても、半身不随などの後遺症が残ることも覚悟してください」「深い麻酔をかけて、体温を下げ、人工心肺に切りかえて心臓を止めます」など、たくさんのことを告げられました。不安が大きくなって「そんな手術はしません」とハッキリ伝えました。先生からは「少し考える時間もいるでしょう。でも早くしなければいけない」と手術を勧められました。主人からも手術を勧められ、言い争いになりましたね。

編集部

結論はどうされたのですか?

ゆみさん

昔からお世話になっている先生(かかりつけ医)に相談しました。その先生は、セカンドオピニオンを強く勧めてくれました。熱心に「今死んではダメ。助かって欲しい」と言われ、この先生の言葉を信じて、心臓血管外科で有名な先生の元へ、セカンドオピニオンを受けに行くことにしました。

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