長年、ブログで生活や人生の悩みとして寄せられるあらゆるモヤモヤを解決してきた斗比主閲子さん(@topisyu)。お金や投資に関する投稿も多いのですが、実は、会社員として働きながら資産2億円を達成した億り人でもあります。そんな斗比主さんによる初のお金本『ふつうの会社員が投資の勉強をしてみたら資産が2億円になった話』より、一部抜粋してお届けします。
人生設計をExcelで作り始める
少額ながらも毎月投資をするようになり、私は二つのことを考え始めました。
一つ目は「資産を増やすには投資する金額を増やさないといけないのではないか」ということです。
毎月一定額、例えば2万円を投資したとすると年間で24万円、10年間で240万円を投資できるのに対し、仮に毎月10万円なら、10年間で1200万円を投資できます。早く、大きな金額を投資するのは投資の基本ですから、投資資金をどう捻出するかを考えるようになりました。
二つ目は「そもそも資産を増やして何がしたいのか」です。
私はマネーゲームみたいに単にお金を増やしたいわけではなかったのですが、いつまでにどのくらいのお金があったらいいかと考えてみると、漠然としたイメージしか浮かびません。
どのように投資資産を増やし、資産を増やした後に何をするのか――。前述の『ゴミ投資家のための人生設計入門』を読んでいると、Excel形式での人生設計シートというもので整理することが推奨されていました(現在でもダウンロード可能)。
具体的には、現在の年齢から始めて90歳に至るまでの収入、支出、貯金額、投資額、ライフイベントを1年単位で整理していくという内容です。
最初は何から手を付けていいか分かりませんでしたが、収入については自分の給与明細や源泉徴収票をチェックし、支出はざっくりとした金額を入力するだけでも、年間でどれだけ貯金ができて、投資できるかのイメージが湧いてきました。
そして、上司や会社の顔色をうかがうブラック労働は早く辞めたかったので、早期リタイアできるだけの資産を増やすことを一つの目標にしました。
目標金額を定めて、Excelで収支をあーでもない、こーでもないといじっていると、収入をかなり増やして支出も相当抑え、高い利率(投資した金額に対して支払われる利子の割合のこと)で投資資産を運用しないと、簡単には早期リタイアできないことに気付きました。残業時間を増やして収入のテコ入れをするのも限界があります。
そこで、「いっそのこと結婚した方がダブルインカムで支出も抑えられて、早く資産形成できるのでは?」と考えました。平日は長時間労働をし、土日は疲れて家で過ごす日々に飽き飽きしていたこともあり、当時付き合っていた人との結婚を決断するのに時間はかかりませんでした。
ただ、結婚にあたっては、お金の観点で大きな変数が二つあります。一つは、家の購入費。もう一つは子どもの人数×養育費です。人生設計シートでも、家と子どもをどうするかは大きなイベントとして扱われています。結婚して、新築の大きな家を買おうとすれば支出が増えて投資額は減り、私の早期リタイアは遠ざかります。また、子どもの人数が多いと、それだけ養育費はかさみます。
私は家には思い入れはなく、一方で、子どもは多く持ちたいという気持ちがあったので、結婚相手に、子どもは複数人育てたいこと、家は相手の実家を二世帯住宅にしてお金を節約し、その上で、早期リタイアしたいことを結婚前に提案・相談して、合意を得ておきました。
今から思い返してみると、Excelで作った人生設計をもとに結婚と二世帯住宅生活を決めるなんてあまりに合理的すぎますが、当時の私はそれぐらい「経済的な自由」を得たかったのだと思います。
地道に毎月コツコツ投資を続けていたら「え、私が富裕層に!?」
そんなこんなで、20代から約20年間、ひたすら貯金を投資に回し続けていたら、気付いた時には資産が2億円を超えていました。
内訳は、現金が1000万円、投資資産が残りの1億9000万円、投資資産の半分強が投資をして増えた部分(含み益)です。つまり、投資をしていなければ1億1000万円は得られておらず、資産は2億円には到達していませんでした。
特別なことはせず、人生設計シートを時々眺めながら地道に収入を増やし、支出を減らし、できるだけ多くの金額を投資するようにした結果です。
投資金額を増やしたこと以外に、資産2億円を達成できたポイントがあるとすれば、いついかなる時でも、投資を継続してきたことが大きいと思います。
私が本格的に投資を始めた2006年以降で、株価が大幅に値下がりした時期は大きく4回ありました。2008年のリーマン・ショックでは、世界中の株価が40~50%下落。2011年の東日本大震災でも日本の株価が一気に下がりました。他には、2015年のチャイナ・ショック、記憶に新しいところでは2020年にコロナ・ショックがありました。長期スパンで投資をしていると、株価が大きく下がることもあるし、長く低迷することもあります。
個人投資家の中には、株価が下がったことで狼狽したり、なかなか利益が増えないことに我慢できなくなって投資資産を売り、もう二度と投資はしないと負の学習をしてしまう人が多くいます。
しかし、先に紹介した四つの出来事に限定しても、その後、株価が回復しているのは皆さんもご存じの通りです。
投資を始めた時に固く誓った「長期投資で負けない投資を」という方針を貫き、日本、そして世界で何が起ころうとも投資を継続したことが、大きく資産を築くことに繋がったのです。
配信: 幻冬舎Plus
