柳楽優弥、35歳の誕生日 唯一無二の色気あるヒーロー像を確立「ガンニバル」での狂気感じる演技も見事

柳楽優弥、35歳の誕生日 唯一無二の色気あるヒーロー像を確立「ガンニバル」での狂気感じる演技も見事


柳楽優弥 / ※2025年ザテレビジョン撮影
3月19日からディズニープラスのスターで配信が始まったヴィレッジ・サイコスリラー「ガンニバル」シーズン2。人里離れた閉鎖的な村を舞台にしたシーズン1から続く狂気に満ちた物語で、主人公の警察官・阿川大悟を演じているのが柳楽優弥だ。3月26日に35歳になった柳楽だが、20年以上になるキャリアの中で、艶っぽさを備えた格好いいヒーロー像を開拓してきた。

■見る者を因習村の世界に誘うジャパニーズホラー

同名コミックを原作に、架空の山村・供花村(くげむら)を舞台に展開される「ガンニバル」。村で奇怪な事件が起こり、怪しげな村人の視線、謎めいた祭り…と、いわゆる「因習村」の要素がちりばめられ、ジャパニーズホラーの王道をゆく一作だ。柳楽が演じる主人公の大悟は、東京からこの村に赴任してきた駐在所の巡査。というわけで、シーズン1冒頭の大悟は、いかにも快活な若き警察官という姿で現れる。序盤にしてすでに怪しげな村人の言動との対比で、見る者を因習村の世界に誘ってくれる。

その大悟も、村を事実上支配する「後藤家」の内実を調べていくうちに、目が据わってくる。実は子どもを誘拐して祭りの生贄にしているのでは…。こんなおぞましい村の疑惑に近づいていく一方で、大悟には娘のましろ(志水心音)を誘拐した小児性愛犯を射殺した過去があった。おかげで愛娘から「暴力警官」と言われるほどの激情家で、警察のチームワークを無視して暴走することもしばしば。

激しいアクションに挑み、血にまみれ、銃をぶっ放す柳楽のバイオレンスな演技は、本作のスリラー要素をいっそう引き立てる。もともと狂気を秘めていた部分はあるものの、シーズン1の第1話からの変貌ぶりを見て行くと、彼までもが供花村の狂気にとらわれているようだ。

■是枝裕和監督が抜てき「誰も知らない」から21年

本作で見せる柳楽の目力の強さは、スクリーンデビュー作「誰も知らない」(2004年)から変わっていない。このデビュー作も、実際に起きた児童置き去り事件をモチーフにしたシリアスな展開。その中で彼が演じた福島明は、母親に置き去りにされて弟妹の面倒を見ている12歳の少年。「目力がある」とオーディションで柳楽を抜てきした是枝裕和監督の期待通りに、12歳の心境を繊細に見る者に伝えた。

柳楽は、いわゆる美少年タイプというよりはデビュー以来の目力と濃い色気が倒錯的な魅力を放つタイプ。ゆえに映画「銀魂」(2017年ほか)シリーズでの“鬼の副長”土方十四郎のように漫画を実写化したけれん味の強い役も似合うし、クセのあるダークヒーローはまさに真骨頂。中学受験を舞台にしたドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」(2021年、日本テレビ系)での二面性のあるスーパー塾講師・黒木蔵人もそうだろう。

「二月の勝者―」は原作コミック同様、黒木は桜花ゼミナールの生徒たちの前ではきっちりと髪をセットしているが、夜の街で恵まれない子どもたちを教えるシーンでは髪をぐしゃぐしゃにしてラフなスタイル。黒木のポーカーフェイスながら情に厚く、桜花の同僚や生徒にはプライベートを明かそうとしないミステリアスさまで柳楽は見事に体現した。


柳楽優弥 / ※2024年ザテレビジョン撮影

■“誰かを守るために奔走”する姿が似合う

柳楽の大人な色気は、作品の中の子どもたちと対比するとよりヒーローらしく見える。「ガンニバル」に「二月の勝者―」、そしてドラマ「ライオンの隠れ家」(2024年、TBS系)も記憶に新しい。柳楽が演じる市役所職員の小森洸人は、自閉スペクトラム症である弟の美路人(坂東龍汰)と共に2人で穏やかに暮らしてきたが、ある日「ライオン」と名乗る少年(佐藤大空)が現れ、3人での生活が始まる。

繊細な弟に加え、やってきたライオンの面倒まで見る羽目になった洸人は、ある日「何なんだよ、疲れるな」とぼやく。反響の大きかったこのセリフにも、柳楽は単なるイライラではない感情を込めた。そしてライオンにも愛着を持つようになり、中盤からの彼の出自に迫っていくサスペンスな展開では、実の親子同然にライオンのために行動する。そんな姿は多くの視聴者の心を揺さぶった。

きっちりとした服装をしていても色気を隠せない柳楽は、いかにも「格好いいお兄さん」であり、「ガンニバル」に「ライオンの隠れ家」と、誰かを守るために奔走していく姿には憧れてしまう。

配信が始まったばかりの「ガンニバル」シーズン2では、後藤家の暴走は止まらず警察との全面抗争に至り、もはや大悟1人の手には負えない事態になっている。それでも子どもたちを助けるために奔走する柳楽の姿は、狂気をはらみながらも表情に正義感がにじむヒーローなのだ。やっぱりこの人には、全力疾走する姿が似合っている。

◆文=大宮高史

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