監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
TNF受容体関連周期性症候群の概要
TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)は、腫瘍壊死因子(TNF)に関連する自己炎症性疾患です。TNFは体内の炎症や免疫反応において重要な役割を果たし、腫瘍や病原体から体を守る機能を持っています。
TNF受容体関連周期性症候群は、TNFの受容体である「TNFR1」に異常が生じることで、特徴的な症状が引き起こされます。
主な症状として、38度を超える高熱が数日から数週間続き、これに伴って筋肉痛、関節痛、発疹、腹痛、まぶたの浮腫み、結膜炎などが現れます。
これらの症状は周期的に繰り返し発生し、患者の生活に大きな影響を与えます。
症状の発現メカニズムの詳細は未だ解明されていませんが、遺伝的要因が関与していることが明らかになっています。
TNF受容体関連周期性症候群の発症は主に幼少期に見られますが、60歳以降で初めて症状が現れる例も報告されています。
遺伝子解析により、TNFR1遺伝子を作る「TNFRSF1A」という遺伝子の変異を確認することで確定診断がおこなわれます。
治療は主に対症療法が中心となり、ステロイド剤や抗IL-1製剤などの抗炎症薬が使用されます。
これらの薬剤により、症状の軽減や発作の頻度を抑えることが可能です。
しかし、根本的な治療法は確立されておらず、患者の状態に応じて個別に治療計画が立てられます。
TNF受容体関連周期性症候群はまれな疾患であり、発症頻度は100万人に1人程度と推定されています。
日本国内では30数家系の存在が確認されており、専門医による適切な診断と管理が重要となります。
出典:難病情報センター「TNF受容体関連周期性症候群(指定難病108)」
TNF受容体関連周期性症候群の原因
TNF受容体関連周期性症候群の詳細な発症メカニズムは未だ解明されていませんが、遺伝子異常が主な原因であることが明らかになっています。
特に、TNFRSF1A遺伝子の変異が関与していることがわかっています。
しかし、遺伝子異常が発熱、筋肉痛、関節痛などの特徴的な症状を引き起こすメカニズムについては、詳細な解明がなされていません。
また、TNF受容体関連周期性症候群は常染色体優性遺伝であり、両親のどちらかが遺伝子異常を持っている場合、その子どもは1/2の確立で発症します。
配信: Medical DOC