<白雪姫>「表現力すご過ぎ」“元宝塚”月城かなと、エレガントで邪悪な“女王”の歌声に反響 吹替版キャストとの親和性が光る作品

<白雪姫>「表現力すご過ぎ」“元宝塚”月城かなと、エレガントで邪悪な“女王”の歌声に反響 吹替版キャストとの親和性が光る作品


「白雪姫」より月城かなとが吹替を務める女王(ガル・ガドット) / (C) 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
ディズニーが名作アニメーション映画を新たにミュージカル版として実写化した「白雪姫」が3月20日より劇場公開中だ。誰もが知るプリンセスの新たな世界。今回は、演技力と歌唱力を兼ね備えた俳優や歌手、声優がキャスティングされたプレミアム吹替版をレビューする。(以下、ネタバレを含みます)

■ディズニーアニメーションの名作を新たにミュージカルで実写映画化

グリム童話にも収録された物語を基に、ウォルト・ディズニーが4年もの歳月と莫大な予算を投じて製作した長編アニメーション映画「白雪姫」(1937年)。ディズニー初の長編映画で、世界初のカラー長編アニメーション作品という記念すべき一作でもある。

ディズニー映画では、のちにたくさんのプリンセスが誕生するが、白雪姫はその始まり。世界中の子どもたちだけでなく、大人も魅了し続けている。

そんな中、2016年に実写映画化するという情報が明らかになり、世界中で話題に。アニメーション版も白雪姫をはじめキャラクターが歌うシーンがあったが、新たなミュージカル映画として製作された。

監督を「(500)日のサマー」(2009年)や「アメイジング・スパイダーマン」(2012年)のマーク・ウェブが務め、ミュージカル作品として重要な劇中音楽を「ラ・ラ・ランド」(2016年)や「グレイテスト・ショーマン」(2017年)を手掛けた作曲家コンビ、ベンジ・パセク&ジャスティン・ポールが担当している。

■白雪姫の優しさと強さに、吉柳咲良の声がぴったり

雪の降る日に生まれたことに由来する“白雪姫”。オリジナル版で2021年に映画デビューした新進俳優、レイチェル・ゼグラー演じる主人公の吹替版に抜てきされたのは、“最旬俳優”として注目されている吉柳咲良。先ごろ最終回を迎えたドラマ「御上先生」(TBS系)でも存在感を放った実力派だ。

俳優デビューは、2017年のミュージカル「ピーター・パン」の主役で、2024年にはアーティストデビューもしており、歌のうまさはお墨付き。ちょっと低めのハスキーボイスは、邪悪な女王に支配されてしまった王国を憂い、やがて変化していく白雪姫の優しさと強さを立体的にする。

白雪姫が歌う劇中歌「夢に見る~Waiting On A Wish~」は、実写版のために作曲家のパセク&ポールが作ったもの。白雪姫の変わりたいのに変われない葛藤と希望を表現し、作品世界に引き込む吉柳。王道のミュージカルナンバーといえる楽曲にのせ、伸びやかで情感たっぷりな歌声に聞きほれてしまう。

また、アニメーション版にもある曲「口笛ふいて働こう」などのキュートな白雪姫も魅力的だ。


「白雪姫」より / (C) 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

■月城かなと演じる女王が放つ有名なフレーズにゾクゾク

そんな白雪姫を苦しめる女王。オリジナル版ではガル・ガドットがヴィランの役回りを見事に際立たせているが、そこに日本語で息を吹き込むのは2024年に宝塚歌劇団を退団したばかりの月城かなと。

きっと誰しもがまねしたことがあるだろう有名なフレーズ、「魔法の鏡よ、この世で1番美しいのは誰?」は、美しさにとらわれた女王の邪悪さが漂う様子にゾクッとする。なお、魔法の鏡役は声優の諏訪部順一が務めている。

そして女王が歌唱するミュージカルナンバー「美しさがすべて」も圧巻の歌声だ。邪悪なのだけど、エレガントさを感じて引き付けられる。何ならこの歌声を聴くためだけにもう一度見に行こうかなと思うほど。

白雪姫と女王の世界へと、日本語で完璧に誘ってくれる吉柳と月城。SNSには「白雪姫、歌上手過ぎる 女王様、格好良過ぎる」「吉柳咲良ちゃんが安定の歌唱力と落ち着いた演技」「吉柳咲良さんの声がきれい」「吉柳咲良さんと月城かなとさんの表現力すご過ぎた」「声優デビューとは思えない月城さん」「耳が幸せ」といった声が続々と寄せられている。

■白雪姫の運命の人や7人のこびとも注目

白雪姫の運命の人となるジョナサンは、グローバルボーイズグループ・JO1の河野純喜が担当する。アニメーション版の王子様キャラではなく、白雪姫の父である王を慕う山賊一味のリーダーで、白雪姫を外の世界へと導く役どころ。爽やかな河野の声が現代的な青年を作り上げ、白雪姫と心を通わせていく様子を歌う「二人ならきっと」は、吉柳と河野のハーモニーがロマンティックに響き合う。

そして、白雪姫の人気キャラクター・7人のこびとは、大塚明夫が先生役、平川大輔がてれすけ役、日野聡がくしゃみ役、浪川大輔がねぼすけ役と人気声優陣がさすがの演技をみせ、お笑い芸人のダイアン・津田篤宏がおこりんぼ役、小島よしおがごきげん役で、ハマり役と言われるほどキャラクターになじんでいるのもすごい。

おとぼけ役で大のディズニーファンである風間俊介が念願のディズニー作品出演をかなえた。おとぼけはしゃべらないキャラクターなのだが、ふとした息づかいなどは、玄人肌の俳優として知られる風間の真骨頂。おとぼけの顔に風間の表情が重なるように思えてくるのが不思議だ。ちなみに、風間の声はちゃんと物語を彩っているので楽しんでほしい。

プレミアム吹替版を鑑賞して感じたのは、声優陣とキャラクターの親和性の高さだ。ディズニー作品の吹替は、本国の厳しいチェックがあるといわれているが、この「白雪姫」も例にもれず。また「一流の演技力と歌唱力を兼ね備えた豪華キャストが集結」と銘打たれた“プレミアム吹替版”ならではの醍醐味(だいごみ)がある。

最後に、物語についてもう少し紹介したい。アニメーション版では女王の毒リンゴで永遠の眠りに就いた白雪姫が、王子のキスで目覚めて幸せになるところで物語が終わるが、実写版の新しい世界では、目覚めてから白雪姫が大きな行動に出る。現代のプリンセスが自分の幸せに向かう姿が胸を熱くする。

不朽の名作がアップデートされた実写版「白雪姫」。とはいえ、アニメーション版のオープニングの演出などが引き継がれているのは、アニメーション版のファンにとってもエモい気持ちになるはずだ。

実写映画「白雪姫」は劇場公開中、アニメーション映画「白雪姫」はディズニープラスで配信中。

◆文=ザテレビジョンシネマ部

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