⚫︎偽札だと知った後に使用すると処罰される
もし仮に偽札だった場合はどうなるのか。
手に入れたときには本物だと思っていたお札が、偽札だとあとで気づいた場合、そのまま使ってしまうと、「偽造通貨拾得後知情行使罪」(刑法152条)という犯罪になってしまうので注意が必要だ。
刑法152条は以下のように規定している。
(収得後知情行使等)
第百五十二条 貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の三倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、二千円以下にすることはできない。
「額面価額の3倍以下の罰金または科料(2000円以下にはできない)」という法定刑は、通常の偽造通貨行使罪(刑法148条2項、無期または3年以上の懲役。※裁判員裁判対象事件)と比べると、かなり軽い法定刑になっている。
これは本物だと思って手に入れたお札が「偽札だ」とあとで気づいても、その人自身も被害者であり、ついそのまま使ってしまうことをそこまで強く責められない、という理由によるものといわれている。
ただし、犯罪であることは明らかで、場合によっては、警察からあらぬ疑いをかけられることも考えられる。
たとえば、「最初から偽札だと知っていて入手し、使ったのではないか?」と、非常に重い罪である通常の偽造通貨行使罪の疑いで捜査対象とされかねない。
いろいろと面倒に巻き込まれることを避けるためにも、偽札だと気づいた段階で、すぐに警察に届け出たほうがよいだろう。
配信: 弁護士ドットコム