頭痛くらいで病院に行くのは大げさなのでしょうか? 実は、ひどい頭痛の陰には、くも膜下出血や脳腫瘍など命に関わる病気が潜んでいることもあります。CT検査とMRI検査、どちらを受けるべきか迷ったことがある方も多いのではないでしょうか? それぞれの検査の違いやメリット・デメリットを、宮崎先生に解説していただきました。
監修医師:
宮崎 良平(井土ヶ谷脳神経外科・内科頭痛・めまい・しびれクリニック)
平成23年福島県立医科大学医学部卒業。平成25年横浜市立大学脳神経外科学教室に入局、同年横須賀共済病院で後期研修開始。横浜市立大学附属市民総合医療センター脳神経外科/救急救命センター、神奈川県立こども医療センター脳神経外科、横浜市立大学附属病院脳神経外科を経て、平成30年横浜市立大学大学院 医学研究科博士課程入学。基礎研究を行いながら、在宅クリニックでの診療経験、内科外来でのトレーニング、漢方診療経験を積む。令和3年まこと在宅クリニック神奈川県央開院、令和5年 井土ヶ谷脳神経外科・内科頭痛・めまい・しびれクリニック開院。
編集部
頭痛がひどい場合、どの検査を受けたら良いのでしょうか?
宮崎先生
通常はCT検査とMRI検査の比較になります。ただし、CT検査とMRI検査ではそれぞれメリットとデメリットがあるので、考慮しながら選択する必要があります。
編集部
CT検査のメリットはなんですか?
宮崎先生
撮影時間が3分程度と短いため、頭部の外傷や脳出血、くも膜下出血など緊急性の高い疾患の鑑別に有効ということです。また骨の状態も得られるため、骨折の有無もわかります。
編集部
デメリットはありますか?
宮崎先生
一番は、放射線被曝があるということです。そのため、子どもには使いづらいというデメリットがあります。また、造影剤を使わないと血管を映し出すことができないので、血管の狭窄や詰まりなどは極めて見つけづらいというのもデメリットです。
編集部
一方、MRI検査のメリットはなんですか?
宮崎先生
CT検査と違って被曝の心配が一切なく、低侵襲で疾患を早期発見することができます。また血管を映し出すのも得意なので、くも膜下出血の原因となる危険性の高い脳動脈瘤などの発見に有効です。それからCT検査は1種類の画像しか取得できないのに比べ、MRI検査は一度でさまざまな画像を取得することが可能です。
編集部
さまざまな画像を取得できる、とはどういうことですか?
宮崎先生
MRI検査では、たとえば「1か月以内の脳梗塞だけ調べたい」「脳の形を細かく調べたい」「神経だけを映したい」など、多種類の画像を一度で取得することができるのです。そのため緊急性はそれほど高くないけれど、頭痛の原因をはっきりとさせたいというときには、MRI検査が有効です。
編集部
逆にMRI検査のデメリットはありますか?
宮崎先生
一般的に撮影時間30分程度とCT検査に比べて長いので、緊急性の高い疾患にはあまり有効ではないというデメリットがあります。ただし、当院のように10分で綺麗に撮影することができるところもあるので、必ずしも「MRI検査は撮影時間が長い」とは言えません。
編集部
そのほか、MRI検査のデメリットはありますか?
宮崎先生
ペースメーカーなど、金属を体内に埋め込んでいる人は検査ができない場合があります。ただし、近年はチタンであれば検査が可能な場合もあるので、詳しくは医師に確認が必要です。またタトゥーを入れている人もMRI検査をする前には確認が必要です。検査はできますがタトゥーが入っている部位が熱くなることがあります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
宮崎先生
現在では「頭痛は我慢するのが当たり前」となっている人が多く、頭痛を理由に受診する人は少ないのが現状です。しかし、「痛みがあること自体が、異常である」という認識をしていただきたいと思います。頭痛で悩まれている方は一度頭痛外来を受診し怖い疾患を除外し、適切な治療を受けて頂くことが大切です。最近は片頭痛に対する治療薬や予防薬も非常に進化していますから、痛みがない快適な生活を、ぜひ、手に入れていただきたいと思います。
※この記事はMedical DOCにて<その「頭痛」が危険ではない根拠はどこに? 頭痛の検査の内容と重要性を解説>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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