道具を使って遊ぶことの大切さ
「子どもにとって、遊ぶことは生きることと一緒です。特に、能動的な遊びで得られた経験は、その後の発育に大きな影響を与えますし、思考の発達や協調性、想像力を働かせることなど、すべてがその子の一生に関わる体験なのです。そして、その遊びの時間を豊かにするために“あそび道具”があります」(村上さん 以下同)
子どもたちが能動的に取り組んだことはすべて、経験として蓄積されるのですね。
「知育玩具」ってどんなもの?
「子どもが遊ぶときにいろいろな遊び方ができたり、やってみようという意欲が引き出される玩具があります。そして子ども自身が考え、失敗してもトライアンドエラーを繰り返す。そんな“あそび道具”のことを、私たちは『知育玩具』と定義しています。
たとえばオランダには、小学校の授業で、30年にわたって使われているアバカス(ジェグロ社)という『知育玩具』があります。これは、ビーズを手で動かして、自分の目で増減を意識することで、数を五感で覚えることができるという、そろばんに似た玩具です。数字を抽象的に覚えるのではなく、具体的に認識できるようになるので、その後の算数の考え方の基礎を身につけることができるなどの効果が出ているようです」
「知育玩具」は、それを使って子どもが自らの手で触り考え、結果として考える力や知識が得られる道具。それゆえ、子どもの発達段階に合わせて使用することが大切で、やりたいことを伸ばしたり、自発性を育んだりすることができることが重要だと村上さんはいいます。
「知育玩具」に大切なこと
では、いったいどういったものを選ぶべきなのか?
舐めたりしても剥げない、衝撃に強く壊れにくい、色あせしにくいなど、長く安全に使えるものを選ぶことはもちろんですが、「使い道に多様性があることが大切」と村上さん。
「ひとつの『知育玩具』でも、年齢に合わせて遊び方を変えて楽しめるものがいいですね。だからこそ、『知育玩具』は、子どもが自ら興味をもって選ぶことが必要なのです」
子どもが興味を持つもので、なおかつ、多様性をもって、長く使えるということが、選ぶときの重要なポイントといえそうですね。耐久性も意識しながら選びたいものです。
(文・浅子百合/クレッシェント)