「約半年続けていたアルバイトですが、遅刻、欠勤が多いことを理由に解雇されました。突然の解雇に納得できません」
弁護士ドットコムにこのような相談が寄せられています。
店長から突然「休みや遅刻が多く、あてにならないし、示しもつかない」と言われ、アルバイトをクビになったといいます。
解雇される前に、遅刻や欠勤の連絡が遅いことなどについて注意は受けていましたが、「これ以上休んだら解雇する」など、明確に解雇する事は事前に伝えられておらず、相談者は解雇について納得がいっていません。
事前に伝えていなくても解雇できるのでしょうか、河村健夫弁護士に聞きました。
●アルバイトでも突然解雇はできない
——アルバイトを突然解雇することに問題はないのでしょうか。
今回のケースでは、解雇は無効と考えます。
正社員と違って簡単に解雇できると思われがちですが、アルバイトであっても、正社員とほぼ同じ基準で解雇の有効性が判断されます。
相談者にも遅刻・欠勤など勤務態度に問題がありますが、突然の解雇は厳しすぎます。
就業規則などに沿って戒告・譴責などの懲戒処分による警告と、業務改善アドバイスなどの指導をおこなっても、なお、業務不良が著しい場合の最終手段が「解雇」です。
今回のケースでは、店長が「突然」解雇しており、指導も警告も十分ではないようなので、解雇は無効と考えられます。
●「解雇予告手当」を請求できる?
——労働者に対して、解雇の予告をしない場合は、解雇と同時に30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うと定められています(労働基準法20条)。アルバイトでも請求できるでしょうか。
もちろん請求できます。アルバイトの解雇でよくある誤解は「解雇予告手当は30日分だから、1カ月分の給与を渡せば良い」とする処理です。
解雇予告手当には複数の計算方法があり、出勤日数が少ない場合には「3カ月の賃金総額÷3カ月の労働日数×0.6」が適用されるでしょう。
月に8日のシフト制で日給1万円の条件で働いていた場合、解雇予告手当は1カ月のアルバイト代8万円でOKではなく、「24万円÷24日×0.6」=6000円を算出したあと、さらに30日分以上として18万円以上を支払う必要があります。
配信: 弁護士ドットコム