「眼精疲労に効くツボ」はご存知ですか?マッサージ法も解説!【医師監修】

「眼精疲労に効くツボ」はご存知ですか?マッサージ法も解説!【医師監修】

眼精疲労は、眼を酷使することや自律神経症状などが原因となり、眼そのものや全身に症状が現れます。

眼の周りや手や足などのツボを押すことは、血行不良の改善になるため症状の改善が見られますが、ツボ押しのほかにマッサージも効果的です。

この記事では、眼精疲労の症状や原因だけでなく、予防方法についても解説します。

眼精疲労に悩んでいる方の参考になれば幸いです。

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監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

眼精疲労の症状と原因

眼精疲労の症状を教えてください。

眼精疲労の症状は、眼または全身にも影響を及ぼすことがあります。しかし、眼と全身の両方に症状が現れることもあります。眼に現れる症状を以下に解説します。

眼痛

視力低下

羞明(しゅうめい)

複視(ふくし)

結膜充血

乾燥

眼痛には神経障害性眼痛という神経に関連する痛みが見られることがあります。痛みの感じ方は個人差があり、眼の奥に痛みを感じる方もいます。視力低下は、物が見えにくくなることなどです。羞明は光に過敏に反応して、眼を開けているのが困難になります。複視は物が二重に見えてしまうことですが、左右どちらかの片目だけで見ているときは、物が普通に見えるのが特徴です。結膜充血は、白目の部分が赤く見えることです。普段は白目の部分の血管は細いため白く見えていますが、何らかの理由で血管が拡張してしまうと赤く見えてしまいます。乾燥はドライアイです。次に全身に現れる症状を解説します。

頭痛

肩こり

首のこり

疲労感

めまい

悪心(おしん)

嘔吐

イライラ

不安

不眠

頭痛と肩こりや首こりなどは、眼精疲労の症状と関連性が高いと考えられています。悪心とは胸のむかつきや吐き気があり、嘔吐もこれに関連した症状です。イライラや不安や不眠は、ストレスなどの精神的な症状と関連しています。眼精疲労の患者さんのなかで、問診の際に軽度ではありますが精神神経症状が認められたケースもありました。

眼精疲労が起こる原因は何ですか?

眼精疲労の原因は、調節機能の低下や異常だったり、自律神経とも深い関連があります。自律神経が乱れることで、毛様体筋が緊張してしまいピントを合わせる調節機能に影響を及ぼすことがあります。なぜなら、毛様体筋の働きをコントロールしているのが自律神経だからです。そのために、自律神経の影響によりストレスなど精神的な要因も毛様体筋の調節機能に影響します。また、長時間のパソコン作業やスマートフォンの直視によって、ブルーライトが眼精疲労の原因となることもよく知られていることです。眼精疲労の原因を以下に解説します。

毛様体筋の調節機能の低下や異常

ドライアイなど眼の疾患

VDT(Visual Display Terminals)の長時間作業

ストレス

睡眠不足や不眠

不同視

輻湊(ふくそう)異常

毛様体筋の調節機能の低下は、加齢も関連していると考えられます。調節機能の異常については、ドライアイのほか白内障や緑内障といった眼の疾患の場合もあります。VDT(Visual Display Terminals)はパソコンやスマートフォンなど液晶のディスプレイのことで、長時間作業することにより自律神経の乱れからVDT症候群に進行する症状です。さらに、ストレス・睡眠不足・不眠などは自律神経のバランスを乱す要因なので、毛様体筋の働きに影響を及ぼすため眼精疲労の原因と考えられます。不同視は左右の視力に差が出るため、眼に大きく負担がかかります。輻湊異常は両眼の視線を眼前の一点に集中させることができなくなることです。眼精疲労の原因として特に注意が必要なのは、調整機能の低下や異常です。そのため、眼精疲労の原因になるようなストレス・睡眠不足・不眠などは、改善しておくことが重要です。

眼精疲労は眼の病気のサインですか?

眼精疲労は一時的な疲れ目と違い、休息や睡眠をとってもなかなか症状が改善しない場合をいいます。眼精疲労の症状で病気と感じなくても、長期間にわたって症状が改善しなければ病気のサインと考えられます。眼精疲労の症状や原因のところでも解説しましたが、自律神経の乱れが原因の場合もありますので、病気のサインと考えることも可能性としてあるでしょう。

眼精疲労に効くツボとマッサージ方法

眼の周りにあるツボを教えてください。

眼の周りのツボを押すことで、血行不良の改善や疲労物質を排除することができ、眼の疲労回復が期待できます。眼の周りのツボを以下に解説します。

攅竹(さんちく)

太陽(たいよう)

晴明(せいめい)

承泣(しょうきゅう)

魚腰(ぎょよう)

攅竹(さんちく)は眉頭の少し下にあるくぼみで、眼精疲労による筋肉の凝りをほぐし、眼の疲れや痛み・かすみ・頭痛の軽減に効果が期待できます。太陽(たいよう)はこめかみのくぼみにあり、眉尻と目尻の間からやや後ろに位置します。眼精疲労による頭痛を和らげるのに効果的で、正確な位置でなくても血行の改善が可能です。晴明(せいめい)は目頭と鼻の付け根にあるツボで、無意識に押してしまうことも多い場所です。眼の疲れや充血を和らげるのに役立ちます。承泣(しょうきゅう)は黒目の下、骨の際にあるツボで、血流を促進し、クマやむくみの改善になるでしょう。魚腰(ぎょよう)は黒目の真上、眉の中央にある小さなくぼみで、眼精疲労やまぶたのたるみ、視界のぼやけを軽減する効果があります。これらのツボを優しく押すことで血行が促進され、眼の疲れが軽減します。

眼から離れた箇所にも眼精疲労に効くツボがありますか?

眼のほかにも眼精疲労に効果のあるツボは、手・首・耳・足の周辺にあります。以下に解説します。

首のツボ:天柱(てんちゅう)

手のツボ:小骨空(しょうこっくう)

手のツボ:合谷(ごうこく)

首のツボ:風池(ふうち)

足のツボ:光明(こうみょう)

小骨空は小指にあるツボで、指の第一関節です。合谷は人差し指と親指の間のくぼんだ部分にあるツボで、骨が交差しているところです。首の眼精疲労に効くツボは首の後ろにあり、天柱は首の襟足付近にあるツボで、わかりやすい場所にあります。その一方で、風池は天柱から上の方に指一本分ほどずれた耳寄りにあるツボなので、位置がわかりにくいかもしれません。首のところにあるツボは眼精疲労や頭痛以外に、肩こりや首残りにも効果があります。光明は足の外側にあるツボで、光に対して過敏に反応する方に、特に効果が期待されます。

ツボ押しのコツと注意点を教えてください。

ツボ押しをするときは位置がよくわからなくても、ツボの周辺を押してみて気持ちよく感じれば大丈夫です。ツボを押すときは力を入れすぎないように、指の腹や手のひらで押したり離したりを交互に数回繰り返してみましょう。特に眼の周りのツボは、眼球を傷つけてしまう可能性もありますから、慎重に押しましょう。

眼の疲れに効果的なマッサージ方法を教えてください。

眼の疲れには、眼の周辺を円を描くように指の腹や手のひらを使ってマッサージを行うと効果的です。眼の周辺にたまっている疲労物質は、お顔の中心から外側へリンパに沿って流すと改善されます。眉頭から眉尻に向かって疲労物質を流すようにするとよいでしょう。

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