「大腸がんのステージ別再発率」はご存知ですか?治療法も解説!【医師監修】

「大腸がんのステージ別再発率」はご存知ですか?治療法も解説!【医師監修】

食生活の欧米化などにより大腸がんはがんのなかでも患者数の増加が激しく、現在では男女ともに2位と上位です。

がんのなかでもある程度進行しないと初期症状が出ないのが特徴で、発見が遅れたことによる病状の悪化が不安視されています。

がんの進行はステージによって分類します。ステージの進行とがんの再発率は正比例の関係です。この記事では大腸がんのステージごとの再発率と、治療法などを解説します。

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監修医師:
山本 康博(MYメディカルクリニック横浜みなとみらい)

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長
東京大学医学部医学科卒業 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医 日本内科学会認定総合内科専門医

大腸がんの種類

大腸と一口にいっても1.5mと長く盲腸から始まりS状結腸と呼ばれる部分までを結腸、直腸S状部から肛門の手前までを直腸と呼びます。これだけの距離があるため同じ大腸でもがんが発生した部分によって症状や遺伝の関係性などが変わってきます。
発症件数にも差があり、結腸がんが全体の約3分の2を占めていることが特徴です。ここでは結腸がん、直腸がんそれぞれの発生件数や症状を解説します。

結腸がん

結腸は小腸から送られてきた内容物から水分やミネラルを吸収する役割を持ちます。そのため内容物が固形化するに従いがんの自覚症状に変化が出るのが特徴です。
結腸がんは盲腸がん・上行結腸がん・横行結腸がん・下行結腸がん・S状結腸がんに分かれます。盲腸がんから横行結腸がんまでは血便や体重減少などが自覚症状です。下行結腸がんとS状結腸がんでは自覚症状が便秘や鮮血便に変化します。しかしいずれの場合も症状が進行しないと自覚症状が出ないため、定期健診などで早期発見するのが重要です。
2020年のデータによると、日本では98,240人が結腸がんを発症しています。

直腸がん

直腸は、肛門から15~20cmの位置にある臓器で、便を一時的に貯める役割を果たしています。直腸は肛門に近い臓器であり、直腸がんを疑う症状は血便・下痢・便秘の繰り返し・残便感・便の狭小化・腹部膨満・腹部不快感などです。
直腸がんの発症原因はいろいろありますが、そのなかでも食生活の欧米化が特に関与しているといわれています。2020年のデータによると、日本では49,485人が直腸がんを発症しています。

ステージごとの大腸がんの再発率

がんの進行の程度はステージとして分類します。ステージは0~4に分類され、数字が大きいほどがんが進行していることを示します。がんが進行すると完治が難しくなるだけでなく、再発の可能性も高くなり危険です。5年生存率でみるとステージ0で94%、ステージ4で19%です。
ここでは症状がある程度進行したステージ1から5年生存率が60%とある程度高いステージ3までに絞って、大腸がんの再発率を解説します。

ステージ1

ステージ1とは、大腸の粘膜で発生したがんが固有筋層まで浸透している状態を指します。まだまだ再発リスクは低く、ステージ1の再発率は約6%です。

ステージ2

ステージ2とは、がんが固有筋層を超えて大腸壁内を貫通しているものの、リンパ節への転移をしていない状態を指します。肝臓や肺などへの遠隔転移の可能性が高くなり、再発率は約15%~20%です。
再発の可能性は3年以内までが高く、全体の約85%を占めます。再発リスクを考慮し、手術後に薬物療法を行うのが一般的です。

ステージ3

ステージ3とは、がんが大腸壁内を貫通し、リンパ節への転移が認められた状態を指します。再発する可能性は約30~40%とステージ2の約2倍まで増加します。
リンパ節へと転移すると、リンパ液を介して広範囲にがん細胞が広がる可能性があり、早急な対応が必要です。ステージ3でも同様に再発の可能性は3年以内までが高く、全体の約85%を占めます。
手術後2~3年は特に転移しやすい肝臓・肺・骨盤腔に関する諸検査を行い、再発の有無をチェックします。

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