世界の普及率は21%、日本では3% …生理の改善に避妊リング「ミレーナ」という選択肢はアリ?【医師監修】

世界の普及率は21%、日本では3% …生理の改善に避妊リング「ミレーナ」という選択肢はアリ?【医師監修】

多くの女性が抱える生理のトラブル。特に子宮筋腫があると、位置や大きさなどによっては出血が長引いたり、量が増えたりもするそうです。前編では状況を改善するためにミレーナを装着したものの、子宮全摘出に至った体験談をお伝えしました。


このようなケースについて専門家はどう見るのでしょうか。産婦人科医の宮本亜希子先生に意見を伺いました。

子宮摘出は「困っている症状があるかどうか」

――前編の記事「1時間で夜用ナプキンが溢れる大量出血…。子宮全摘出になった女性が伝えたいこと」でお伝えしたミレーナ挿入から子宮摘出に至るまでのケースを見て、どう感じられましたか?

宮本先生:この方が子宮摘出につながった要因はシンプルに子宮筋腫の増大による月経量の増加です。実際に診察をしたわけではないので推測にはなりますが、ミレーナを入れる前から筋腫が大きくなり月経量も増えてきているので、筋腫は成長していき、どこかの時点で手術が必要になったと予想されます。定期検査もしており、MRI撮影も提案しているので、最初の医師の診断は適切だったように思えます。


――そもそも、筋腫の治療として子宮摘出を行うのは珍しいことなのでしょうか。

宮本先生:珍しいことではありません。子宮筋腫は大きさや場所にもよりますが、基本的には「困っている症状があるかどうか」で治療対象となるかが決まります。

とくに女性ホルモンであるエストロゲンに反応して子宮筋腫は大きくなります。20代後半から40代はエストロゲンの分泌も多いので、大きくなりやすく、治療対象でなくても経過観察で定期的に超音波検査を行うなどは必要です。

卵巣が残ればしばらくホルモン分泌はされる

――どのような治療方法があるのでしょうか?

宮本先生:子宮筋腫の治療は大きさや場所にもよりますが、今回のように手術治療も選択肢の一つです。他には、薬物療法(ピルや黄体ホルモン製剤、偽閉経療法など)もありますが、場合によっては手術が第一選択となることもあります(※黄体ホルモン製剤の内服の薬は子宮の筋層が分厚すぎると出血が増えることがあるため、飲んではいけない場合もあります)。

挙児希望がない場合は子宮全摘をすることも普通です。なぜなら筋腫だけを掘り出す手術は全摘よりも出血量も増えますし、手術時間も長くなることもあるのと、再発の可能性があるからです。みなさんよく勘違いされますが、子宮をとっても卵巣が残っていればホルモンは本来閉経のご年齢になるまでは分泌されていますのでご安心ください。

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