3.ニオイを利用した情報交換

お互いの情報交換のために、ニオイを利用することも猫の本能に由来しています。
スプレーによるマーキング、頬やおでこをこすりつける行動、飼い主の足元に体をすり寄せる行動、爪とぎなども、すべてニオイ付け行動のひとつです。野良猫の場合は、排泄物によるマーキングも見られます。
ニオイには、性別や健康状態、猫社会での地位などの情報が含まれ、それを嗅ぐことで「どんな猫が、いつそこにいたのか」を知ることができます。
また、猫同士がすれ違うとき、お尻のニオイを嗅ぎ合う行動は、個体識別や体調の確認などの目的があり、あいさつ行動のひとつです。相手に先にニオイを嗅がせる猫は、服従や親しみを示しており、社会的に下位であるとされることもあります。
猫たちは、ニオイのやりとりによって自分の存在を示し、同時に、相手の情報を把握することで無用な接触や衝突を避けているのです。
4.静かなボディランゲージで意思表示

時期によって、野良猫がうるさく鳴く地域もあるかも知れませんが、本来、猫はあまり鳴かない動物で、猫同士のコミュニケーションでも、鳴き声よりも耳やしっぽ、姿勢などのボディランゲージが主に使われます。
たとえば、しっぽをピンと立てて近づくのは友好的なサイン。耳を倒していれば不快感や警戒心のあらわれです。背中を丸めて毛を逆立てたり、しっぽを膨らませたりしている場合は、威嚇や防御の意味があります。
ボディランゲージは、相手と距離を置きながらも自分の意思を伝えられ、さらに相手をあまり刺激しすぎることもありません。また、音を立てないことでほかの外敵から身を守れます。これは、できる限りの争いを避けることが前提となる、猫社会での重要な進化でした。
なお、飼い猫が鳴き声で人とコミュニケーションを取るのは、猫は食事を人から提供されることで、子猫のような行動を残す「幼児性保持」の影響だともいわれています。
配信: ねこちゃんホンポ