「急性壊死性潰瘍性歯肉炎」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

「急性壊死性潰瘍性歯肉炎」の初期症状をご存じですか? 早期発見のポイントを併せて医師が解説

監修歯科医師:
加藤 大地(歯科医師)

東京歯科大学卒業。日本歯科大学附属病院研修修了。都内歯科医院勤務。現在は医療法人かとう歯科勤務。日本口腔インプラント学会、日本臨床歯周病学会、近未来オステオインプラント学会、保田矯正塾。

急性壊死性潰瘍性歯肉炎の概要

急性壊死性潰瘍性歯肉炎は、通常は急性で痛みを伴い、急速に進行する歯肉の炎症です。適切な治療が行われなければ、短時間で限局性潰瘍性歯周炎へ進行します。急性壊死性潰瘍性歯肉炎は一般の歯肉炎とは進行や重症度が異なります。具体的には歯肉が壊死や潰瘍が生じます。前歯部で重症に進行するケースがあるものの、大臼歯や小臼歯にはほぼ症状がみられない、もしくは軽度であることも少なくありません。

急性壊死性潰瘍性歯肉炎においては、アタッチメントロスと呼ばれる歯と歯肉の結合が失われた状態となり、症状が進むと歯周組織が壊死するため、プロービングデプス(歯周ポケット)が浅い状態になります。さらに症状が進むと歯肉の壊死が進行し、合併症が生じるリスクが高まります。したがって、急性壊死性潰瘍性歯肉炎は早期の診断と適切な治療が大変重要です。

急性壊死性潰瘍性歯肉炎の原因

急性壊死性潰瘍性歯肉炎の原因は以下の2種類に大別できます。

局所的因子

急性壊死性潰瘍性歯肉炎の主な局所的原因は下記の3点です。

口腔清掃不良

喫煙(タール生成物質による局所的な刺激)

プラーク中にスピロヘータ、紡錘筋、P.intermediaが優勢である

局所的な急性壊死性潰瘍性歯肉炎の原因は口腔清掃不良や喫煙、ストレスにあるといわれています。口腔内の衛生状態が悪化すると、細菌が増殖しやすくなり感染症が発現するリスクが高くなります。また喫煙は口腔内に常在する細菌のバランスを乱し、免疫機能を低下させることがわかっています。ストレスも口腔内の免疫機能低下の一因です。

全身的因子

急性壊死性潰瘍性歯肉炎の全身的因子は下記の通りです。

全身の健康状態不良、精神的ストレス、アルコール摂取

喫煙(交感神経刺激用物質としてのニコチン、走化性阻害毒として一酸化炭素CO)

年齢(主に15~30歳)

季節(9~10月、12~1月が好発とされている)

急性壊死性潰瘍性歯肉炎は細菌感染によるものが多いとされています。全身状態の不調による自己免疫の低下やホルモンバランスの乱れにより、感染が促進されます。

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