転移性乳がんで余命宣告された主人公が“性的欲望”を探求…大胆なテーマを明るく描くヒューマンドラマに喝采<人生の最期にシたいコト>

転移性乳がんで余命宣告された主人公が“性的欲望”を探求…大胆なテーマを明るく描くヒューマンドラマに喝采<人生の最期にシたいコト>


「人生の最期にシたいコト」はディズニープラスのスターで独占配信中 / (C)2025 Disney and its related entities
ミシェル・ウィリアムズ主演の海外ドラマ「人生の最期にシたいコト」が、4月4日に全8話一挙配信された。同作はステージIVの転移性乳がんと診断され、余命宣告された主人公が15年間夫婦生活を共にした夫に別れを告げ、人生で初めて自分の性的欲望を探求し始めるヒューマンドラマ。自分の死期が明確になったところから、残された時間で自分の内に秘めた“欲”と全力で向き合い、正直に生きようとする主人公の生き方が胸を打たれる作品になっている。今回は第1、2話のストーリーを交えながらタブーとされがちなトピックに切り込んだ本作の魅力を紹介する。(以下、第2話までのネタバレを含みます)

■余命宣告された主人公が人間の本質と向き合うヒューマンドラマ

同作は「性と死」というテーマを軸に、転移性乳がんと診断されたモリー・コーチャン(ウィリアムズ)が、人生の最期に向けて性的探求の旅を始める姿を描くヒューマンドラマ。映画「グレイテスト・ショーマン」(2017年)などで知られるウィリアムズが主演&プロデューサーを兼任し、実話に基づいたポッドキャストをドラマ化した。また、モリーの親友ニッキー・ボイヤーをジェニー・スレート、モリーの夫・スティーヴをロブ・ディレイニーといった実力派俳優が演じ、脇を固めている。

第1話は、モリーとスティーヴがカウンセラーのもとを訪れ、自分たちの性生活についての悩みをカジュアルに相談するところから始まる。カウンセリングの途中、モリーに病院の主治医から電話がかかってきて、2年前に完治した乳がんが再発し、腰に転移したことを告げられてしまう。

やるせない思いからいら立つ彼女は、カウンセリングルームを出て、親友のニッキーにがんの転移のことを伝えた。親友のつらい知らせに、路上で泣きわめくニッキーを見て、どこか冷静になるモリー。モリーは恐れることなく自分の感情をさらけ出す彼女をうらやましくも思っていた。

深刻な事態なのだが、モリーの表情からは高揚すら感じられ、この時から“欲”との対峙(たいじ)がスタートしていく。

モリーは、がん再発のことをスティーヴに伝えるが、彼女にとって望んでいない反応を取られたことと夫婦生活の不満が重なり、ひょんなことから彼女は若かりし頃の誰かとの甘い記憶を思い返すようになっていた。そして、その記憶のような体験をもう二度と味わえずに死を迎えたくないという衝動をニッキーに打ち明け、スティーヴとの離婚を決断し、ニッキーと人生の最期を謳歌することを選択した。

死を前にしてもなお、生きる喜びや自分の本能に向き合おうとするモリーの姿はとても輝いて見え、喝采を送りたくなる。「乳がんで余命宣告された女性」という部分だけを切り取ればシリアスな状況にいる主人公だが、コメディータッチで展開されていくストーリーからか彼女の人生を楽しく見届けたいという気持ちを呼び起こすのだ。

■性に貪欲なモリーの姿が赤裸々に…

第2話では、とにかく本能のまま“欲”にまっしぐらになるモリーの姿が描かれていく。

まるで思春期の若者のように、性に貪欲になるモリーだったが、再発したがんは骨盤へと転移してしまう。主治医に過酷な病状を告げられる場面でも、モリーの頭の中は性的欲求を満たすための“アレコレ”でいっぱい。現実世界の自分に残された時間がわずかなものだと知ると、始めたばかりのマッチングアプリで“ワンナイト”に励むべく、ホテルのスイートルームを予約するという大胆な行動を取る。

一方、そんな妻のことが心配なスティーヴは「君の欲望を尊重したい。僕は大丈夫」と、彼女の行動を理解しようと努めるが、彼の言動にいら立ちを覚えたモリーは再び出て行ってしまう。家を飛び出したモリーは、ニッキーとバーで会うことになるのだが、そのバーのカウンターで熱い視線を送ってくる男性に出会う。

勢いに身を任せ、一心不乱に欲を満たそうと試みる彼女は、彼と2人でバーを飛び出し、我慢できずに乗り込んだタクシーで彼と激しく求め合い、運転手から「すぐに出ていけ!」と叱責されてしまう――というクスッと笑える展開で2話は終わる。

過激な描写やワードも多く含む作品だが、人間の本能に従い、生と死、そして性と向き合おうと必死になるモリーには自然とエールを送りたくなる。タブーとされる表現やテーマを扱いながらも、人間のリアルをうそ偽りなく描こうとする本作に、視聴者から「女性視点の性欲探求ドラマでホント興味深い」「明るく真摯に死に向き合う作品でもあるので、ぜひ」「女性の選択と探求のヒューマン・コメディ。面白い」といった声も上がっている。

もちろんコミカルな部分だけではなく、刻一刻と“最期”に向かっている主人公の心情を慮ると、自分の人生についてあらためて考えさせられるような興味深い内容となっている。

「人生の最期にシたいコト」(全8話)はディズニープラス スターで全話独占配信中。

◆文=suzuki

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