自然流産は、人工的に流産手術などを行って流産するのではなく、胎児や母体などの原因により起こる妊娠22週未満の流産のことを指します。
出血や腹痛などの痛みが事前に起こる場合もあれば、自分では気付かないうちに始まっていたケースもあります。
実際に流産した後は様々な処置等をって過ごす必要がありますが、初めて体験する人は分からない人も多いでしょう。今回はそんな自然流産の原因、確率などを紹介します。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
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※この記事はMedical DOCにて『「自然流産」の兆候となる症状はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
自然流産の特徴
自然流産には種類があるのですか?
自然流産には完全流産・進行流産・稽留流産の3種類があります。それぞれ異なる症状を持っており、出血や腹痛を伴うものや、自覚症状がないものなど様々です。状況によっては手術が必要なものもあるため、しっかり把握したうえで対処可能なものは対策として役立てて下さい。
完全流産
出血や腹痛が起こり、子宮内容物が自然に排出される流産です。この完全流産が最も一般的な流産です。
流産を終えるまでは出血や痛みが続きますが、子宮内から完全に排出されると徐々に治まっていきます。しばらくすると出血や腹痛による痛みは完全に治まるため、流産の後はしばらく安静にしておけば問題ありません。流産後に手術を受ける必要もないため、体の調子が回復したら再び妊活も行えます。
進行流産
出血が起こった状態で子宮内容物が外に排出されようとしている流産です。流産が始まっている最中であり、流産後の状態によって完全流産か不全流産かが判明します。
子宮内容物が問題なく全て排出されたら完全流産です。逆に、子宮内容物が残ったままだと不全流産であり、出血や腹痛が続きます。痛みが継続して危険なため、不全流産の場合は手術を必要とする時もあります。まずは病院を受診しましょう。
稽留流産
子宮内にいる胎児が死んでしまった状態で子宮内に残っているのが稽留流産です。完全流産とは異なり、出血や腹痛などの痛みによる自覚症状がほとんど感じられません。そのため、病院などで診察を受けて初めて判明するケースが多いです。
稽留流産が起こった時は、経過をみての自然排出による方法と子宮内容除去手術を行う方法があります。希望により好きなほうを選べたり、医師の判断によって決められる場合もあります。
考えられる原因を知りたいです。
自然流産が起こるのは、お腹の中にいる胎児が原因であるケースが多いです。胎児による染色体異常や遺伝病により、流産する可能性が高まります。
その他にも母体による子宮の病気や、夫婦による染色体異常なども流産の原因になる場合があります。胎児が原因で流産するのはどの女性にもありえるため、自分を責める必要はありません。
兆候はあるのでしょうか?
実際に流産が起こる予兆として、出血や腹痛といった症状が起こる場合があります。しかし、妊娠初期の段階では胎盤ができるために子宮内が傷つきやすい状態です。そのため、正常の状態でも出血しやすくなっています。
いつもより真っ赤な出血や、生理よりも出血が多い場合は流産の予兆かもしれないと考えましょう。その他にも基礎体温が下がったり、つわりが急に楽になったりした時も流産の兆候である可能性が考えられます。
また、流産の種類によっては出血や腹痛などの自覚症状がほとんど表れないものも存在します。処置の仕方なども異なるため、少しでも体に異変を感じたらすぐに病院に受診しましょう。
どのくらいの確率で起こりますか?
自然流産が起こる確率は約10〜20%です。6~7回の妊娠につき1回程度起こる計算です。妊娠時の女性の体質や状態は関係なく、全ての女性に当てはまります。
しかし、妊娠している女性の年齢が高いほど流産の起こる確率は上がります。高齢者のほうが若い層よりも、受精卵に染色体異常がみられる確率が高いためです。年齢が40歳以上の場合は最大で40%近くまで上がります。
編集部まとめ
今回は自然流産について紹介してきました。流産が起こる原因は様々であり、確実に処置するのが困難な症状です。
流産は病院の処置では基本的にほぼ防ぐことができません。
大変つらい経験であり、すぐには難しいですが少しずつ気持ちを切り替え、自分を責めずに落ち着いて日々を過ごしましょう。
参考文献
流産~からだと心のケアを大切に~(日本家族計画協会)
配信: Medical DOC
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