疼痛とは怪我や病気で感じる痛みや辛さのことをいいます。言葉に表すことのできない痛みや感覚もあるでしょう。
そのために周りの人に痛みや辛さが伝わりにくく、より辛い思いをされる方も多いのです。
今回は特に神経障害性疼痛について解説していきます。治療法や痛みに対する対処法も紹介しています。
誰にもわかってもらえないと、痛みや辛さで悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
“痛みの専門科”ペインクリニックは、どんな痛みでも行って大丈夫?
※この記事はMedical DOCにて『元記事タイトル』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
疼痛の種類や主な原因
疼痛とはどんな痛みのことですか?
疼痛とは痛みやそれにともなう嫌な気持ちをいいます。
痛みの定義は広く国際疼痛学会では「実質的あるいは潜在的な組織損傷に起因する、派生する不快な感覚的および情動的経験」とされています。実質的に言葉で言い表せる痛み(ズキズキする・ヒリヒリする・チクチクするなど)だけでなく、不快に感じる症状も疼痛といえるのです。
例えば足が異常にだるい・腕がしびれるなど患者にとって不快な症状も疼痛と呼ばれます。
疼痛にはどんな種類がありますか?
疼痛には2つの種類があります。1つ目は急性疼痛(急性痛)で実際に怪我や病気によって起きる痛みです。急性疼痛は痛みを脳が感知することで患部を安静に保ち治癒を高める力を呼び起こすための警告反応の意味を持つ痛みでもあります。
2つ目の疼痛は慢性疼痛(慢性痛)といわれるもので、原因となる怪我や病気が完治した後も痛みのような不快感が残ってしまう場合の感覚をいいます。
さらに慢性疼痛には次のような種類があり、怪我や病気は治っているはずなのに新たな悩みとなってしまうのです。
一次性慢性疼痛
がん性慢性疼痛
外傷後慢性疼痛
慢性神経障害性疼痛
慢性内臓痛
このようにさまざまな慢性疼痛がありますが、分かりやすく大きく分けると次の3つの痛みに分類されます。
刺激の痛み
神経の痛み
心因性の痛み
そしてこの3つが慢性疼痛の原因となり痛みを感じると考えられます。
疼痛の原因はなんですか?
疼痛の原因としては外側から傷を負ったことが原因の侵害受容性疼痛・神経の異常が原因で感じる神経障害性疼痛・心因的原因を持つ疼痛とあります。
急性疼痛は怪我をしたことや病気などの一時的な痛みをいい、脳が正常に痛みを感知することで「痛い」という感覚が生まれるのです。
慢性疼痛は痛みの原因は取り除けているはずなのに、3ヶ月以上たっても痛みや不快な感じが続く場合をいいます。その原因は痛みの情報が大脳にある感情に関わっている部分にも伝わってしまうことにあります。
このような慢性疼痛を代表するものの1つが神経障害性疼痛です。次の項目では神経障害性疼痛について解説します。
神経障害性疼痛の特徴を教えてください。
慢性疼痛で重症といわれる症状に神経障害性疼痛があります。神経障害性疼痛の特徴は、触れただけで電気が走るようなしびれや痛みを感じることです。そして神経障害性疼痛が痛覚過敏の症状をきたすことも多いのです。
この痛みは神経の異常な活動から来るもので、実際には痛いと感じない場合にも痛みを感じてしまいます。原因は中枢神経や抹消神経が切断されたり圧迫されたりして起こる異常な状態です。それが長く続くために不安な気持ちに襲われてしまい、ますます痛みに敏感になってしまうのです。
このような神経障害性疼痛の代表的なものには、帯状疱疹後神経痛・糖尿病性神経障害・三叉神経痛などがあります。
編集部まとめ
疼痛には大きく分けて、急性疼痛と慢性疼痛の2つに分けられます。
急性疼痛は脳に伝わった痛みが怪我や病気のシグナルとして安静を促し、免疫反応を促進する効果のある痛みです。
慢性疼痛は怪我や病気が治癒した後にも続く痛みをいい、特に神経障害性疼痛は解明できない痛みも多く長く続くほどに心をむしばむこともあるのです。
痛みを我慢するのではなく、しっかりと痛みに向き合い自分の痛みに合った治療方法を探すことで必ず解決の糸口は見つかります。
前向きに好きなことを考えて身体を動かしながら日常生活を過ごすことも、痛みによるストレスを回避する1つの方法です。
参考文献
慢性疼痛診療ガイドライン
帯状疱疹関連痛を含む神経障害性痛(日本ペインクリニック学会)
配信: Medical DOC
