糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどなく、自分では気づきにくい病気です。しかし、「根岸医院」の根岸先生によると、年に1回の健診で早期に発見できることが多いといいます。健診の際に特に注意すべき数値があるそうです。どの数値に気をつけるべきなのか、また境界型糖尿病とはどんな状態なのかについて、伺いました。
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編集部
自分で気がつかないとなると、どうやって見つけるのですか?
根岸先生
初期で見つかるのは、会社や市区町村で行っている年に1回の健診が多いようです。
編集部
健診結果を受け取った時に、特に注意しなければいけない数値はありますか?
根岸先生
健診結果では次の3つの数値を見てください。
・HbA1c(ヘモグロビンエー・ワンシー)が6.5%以上かどうか
・空腹時の血糖が126㎎/dl以上かどうか
・随時血糖という食後の血糖が200㎎/dl以上かどうか
この3つのうちの2つに当てはまると糖尿病という診断が下されます。また、このうちの1つだけが当てはまった場合には境界型糖尿病とされます。もちろん、健診結果には所見も記載されていますから、「まだ大丈夫」などと油断せず、いずれかの数値が引っかかっているなら、病院で再度診てもらい、栄養指導などの治療を受ける必要があります。
編集部
境界型糖尿病とはどういう状態ですか?
根岸先生
糖尿病予備軍という言葉を聞いたことがあると思いますが、それは境界型の人たちのことを指します。糖尿病ではないものの、糖を処理する能力が弱まっていて、食後に血糖値が上がっている状態です。
編集部
境界型というと、まだ糖尿病にはなっていないから大丈夫というイメージです
根岸先生
それは違います。この状態でもインスリンの働きは弱くなっていますし、血糖値が高い状態が続くと血管はダメージを受けて、血管が硬くなってしまいます。血管が硬くなると狭心症や心筋梗塞などの病気の危険性も高くなってしまいます。
なお、HbA1cが5.6%くらいから食後の高血糖がある人がいます。これが動脈硬化を進める一因になっています。境界型までいってなくてもそのような患者さんに対し食事の時に野菜から食べるなどの指導はした方がいいでしょう。
編集部
健診以外に糖尿病に気づく方法はないのでしょうか?
根岸先生
糖尿病が見つかるわけではありませんが、20歳の時の体重と過去の最大体重を比べて10kg以上開きがあるようであれば、糖尿病になりやすいといわれています。たとえ現在は肥満(体重kg÷<身長m×身長m>=BMI が25以上)ではなくても、過去に20歳時の体重に比べ10kg以上オーバーの時期があれば発症率は高いという研究結果が発表されています。
監修医師:
根岸 雅嗣(根岸医院)
※この記事はメディカルドックにて【糖尿病の初期症状は自分でわかる?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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