親としては子どもの意思を尊重したいところだが、場合によっては洗濯中だったりサイズアウトしていたりするなどで、物理的に無理なケースもあるだろう。
そうなると「この服じゃなきゃヤダ!」と、親子で大バトルに発展する事態も珍しくないが、子どもが一時的に服に対して強いこだわりを持つのは、一体なぜなのだろうか?
●お気に入りの服ばかり着るのは、大人だって同じ
「まず大前提として、程度の差こそあれ、大人でもお気に入りで何度も着てしまう服ってありますよね。逆にせっかく買ったのにほとんど出番がない服もある。子どもにもお気に入りの服があるのは自然なことです」
こう語るのは、『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』の著書などで知られる、子育て本作家の立石美津子さん。立石さんご自身もお子さんの皮膚感覚が過敏だったために「この服の感覚じゃなきゃダメ」というこだわりに苦労した経験を持つ。
「子どもがお気に入りの服ばかり着たがる理由は本当にさまざまです。例えばよくあるのは、着心地の問題。特に寒い季節になるとタートルネックやニットを着させるママが増えますが、首回りや肌ざわりがチクチクして嫌がるお子さんはとても多いです。あとは名前を書いたタグがチクチクすることもあります」(立石さん、以下同)
また、キャラクターものばかりを着たがる子どももいる。
「そうしたものを着たがるのは、子どもがそれを身に着けることで安心するのかもしれません。基本的には子どもが着たいなら着せてあげていいと思いますが、場合によっては気温とマッチしないアイテムだったり、洗濯が間に合わないなどで無理なこともありますよね。そういった場合は、ハンカチや靴下など、別のアイテムにキャラクターを取り入れると、服へのこだわりが弱くなるかもしれませんね」
●服の問題ではなく「ママの言う通りが嫌」なケースも!
また子どもがお気に入りの服ばかり着たがる理由として、案外多いのが「ママの言う通りにすること自体が嫌」というケースだという。
「いわゆる“イヤイヤ期”といわれる反抗期で、服が問題ではありません。この解決法はとにかく、ママが選ばないこと。何着か“このなかから選んでも問題ない”候補を決めて子どもに選ばせたり、『今日は天気予報のお姉さんが“上に1枚羽織るものをお持ちください”って言っているよ』などと、うまく第三者を利用すればいいと思います」
ママとしては「ママの言う通りが嫌」と言われると、自分が嫌われているようで正直つらい。時に感情的になって「だったら何も着ないでいい!」と、なかば脅しのようなことを口走ってしまうこともあるだろう。
しかし子どものイヤイヤ期はずっと続くわけではない。これも親として試練だと思って乗り越えたいところだ。
(取材・文:高山惠 編集:ノオト)
書籍紹介
「テキトー母さん」になれば、子どもが自立する&お母さんもラクになる。イラストで楽しく読める、6歳までの子育て45のルールを紹介。
期待しない、比べない、あるがままを受け入れる。これらの「テキトー母さん」3カ条を取り入れれば、子育てがもっとラクになるはず。
自閉症児(16歳)を子育て中の著者が、自身のエピソードや、発達障害児を持つさまざまな親の話を交えながら、子どもがのびのび育つための子育てのポイントを紹介します。