親としてはなんとかしなければ! と思う一方で、どうしたら良いかわからず…。ときどき「夫婦仲が悪いと子どもがニートになりやすい」と聞くこともあるけど、これって本当? 日本心理コンサルティング代表の櫻井勝彦先生に聞いた。
「夫婦仲の善し悪しは、子どもがニートになりやすいひとつの要因にはなり得る話です。両親の関係性が良いと、子どもの情緒が安定し、逆に仲が悪いと情緒不安定になって、それがきっかけで学校や社会に出る不安を抱く傾向がありますから」(櫻井先生 以下同)
櫻井先生に子どもがニートになりやすい家庭の特徴を挙げてもらった。以下の通りだ。
●父親が仕事人間で厳しく、母親は家にいて、優しく面倒見が良い(過保護)。
●比較的裕福な家庭で、父親もしくは母親の経済的・社会的地位がそれなりに恵まれている。
●父親は子どもにかわまず、お金だけ出す。母親はそれをそのまま子どもに渡してしまう。
つまり、「働かなくてもお金が得られる環境」で育つことが、子どもをニートにしてしまうのだ。
「引きこもっている高校生・大学生のお母さんの相談を多数受けますが、いずれにも共通している特徴は、お母さんが毎朝起こすということ。『子育て』は本来、守って保護することではなく、1人立ちできるように支援することなんです」
昔は兄弟が多く、親の手がまわらないため、子どもが自分のことを自分自身でするしかなかった。でも、今は子どもが少ないため、親の目も手も行き届き、ついつい手助けしてしまう。
すると、子どもが自分で問題解決できる力が育たず、学校や社会で親が助けてくれなくなると、ちょっとしたつまずきで、引きこもってしまう。そこからニートが生まれるわけだ。
「子どもに目は向けつつも、先回りを止めて、ときにはあえて失敗させる。その上で、『克服するためのサポート』をしてあげることが、子どもの自立の手助けになります」
子どもが転んだときは、ぐっとこらえて手を出さず、自分で立ちあがる姿を見守る。そして、できたときにはしっかりホメてあげるのが、ニートにしない第一歩かも。
(田幸和歌子+ノオト)