いったいどこから、何を始めれば? 片付けのコツについて、整理収納アドバイザーの西口理恵子さんは言う。
●片付けを始めるなら”よく使う場所”から!
「整理・収納は、まずよく使う場所から行うこと。人がモノを探す時間は、1日に12分あるといわれています。年間では73時間も奪われていることに。あまりにももったいないですよね」(西口さん 以下同)
「よく使う場所」として片付けたいのは、まずは「キッチン→洗面所→リビング」の順という。
「片付けするというと、皆さん、書類や納戸など、使ってないもの、使用頻度の低いものから始めがちです。でも、これは効率が悪く、もったいないです」
確かに、不要になった書類やDM類、手紙類などを整理し始めると、時間がたっぷりかかるわりに、意外と片付いた感はしない。
その点、キッチンや洗面所は、モノが多いうえ、面積が狭い場所。だからこそ、手をつけやすく、効果もわかりやすいという。
「特に、キッチンと洗面所の2カ所を片付けると、朝の動線が大きく変わります。すると、ムダがなくなることで、4つのゆとりが生まれます」
4つのゆとりとは、「場所」「時間」「お金(ムダなモノを買わなくなるから)」「心のゆとり」だとか。
●家族の1日の行動導線を間取り図に色分けして書いてみる
「オススメは、間取り図に家族全員の1日の行動動線を色分けして書いてみることです。例えば、ママの場合、ベッドから起きてトイレに行き、洗面所で顔を洗って化粧水をつけ、キッチンへ…といった行動動線を赤いボールペンで書くのです」
さらに、夫の行動動線を青いボールペン、子どもの行動動線を緑のボールペンでといった具合に、一人ひとり1日の動きを考えて色分けしたペンで書いてみる。
「赤と青、緑が重なる箇所は、色が混ざり合って真っ黒になるんです。そこは、みんながいちばん通る、あるいは過ごしている場所。そこに収納がない場合、置き場がなく、困っていることが多いと思います」
例えば、寝室にクローゼットがある家庭は多いが、寝室の奥まで服をとりに行ったり、毎朝、ママが朝食の支度をしながら、子ども部屋の奥まで行って、着替えを出してあげたりというのは、動線が悪く、ムダが多いもの。
「そこで、リビングにひとつ家族で使えるクローゼットを作っておくと、わざわざ忙しい時間に行ったり来たりしなくて済みます。モノの住所、定位置を決めるとき、人間の動線に合わせると便利ですよ」
●動線の多い場所にオススメのアイテムとは
オススメは、引き出し3段くらいのチェストをひとつリビングに置くこと。そこに、毎日使う幼稚園や小学校の道具を入れておき、子どもが大きくなったら、子ども部屋にチェストごと移動させるなど、将来を見据えた家具選びをすると良いという。
「また、収納には、棚収納と引き出し収納がありますが、立った姿勢で腰から上まである場合(高さ70~80cm以上)は、棚収納。それより下は引き出し収納にすると良いですよ」
また、収納にカラーボックスを使用している人は多いが、西口さんのオススメは天井まで活用する方法だそう。
「上のほうのスペースを使わないのはもったいないですよね。ただし、置き方にはコツがあります。目の高さから腰までが、『収納のゴールデンゾーン』といいますが、そこをうまく使えているかどうかが大切です」
■収納場所のゴールデンゾーンの5つの使い方
1、毎日使うもの
2、2~3日に1回使うもの
3、週に1~2回使うもの
4、月に1~2回使うもの
5、年に1~2回使うもの
上記のうち使用頻度1~3を「よく使うもの」として「ゴールデンゾーン」の範囲内に起き、4と5は「ゴールデンゾーン」の範囲外に置くのがオススメという。
「特定の季節のものや、友だちが来たときくらいしか使わないものを、ゴールデンゾーンに置いている方、けっこう多いんですよ。いちばん出し入れしやすい場所に、あまり使わないものを置いているのは、もったいないですよね?」
収納は、見た目の良さ以上に、「モノを出し入れしやすい」「使いやすい」ことが大切。それには、使いやすさを考えて置き場を決めることが重要で、それだけで散らかりが改善されるそう。ぜひお試しを。
(取材・文:田幸和歌子 編集:ノオト)
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