歯磨き粉は何を予防したいのかを考えて選ぶと◎
「歯磨き粉選びは『虫歯』『歯周病』『着色除去』といった用途別の3本柱を基準に選ぶとわかりやすいと思います」。そう話すのは、大手町デンタルクリニックの歯科衛生士・須藤夕鶴さん。
たとえば、歯周病のリスクが高まる40代くらいなら、歯周病用の歯磨き粉を選ぶと良いそうですが、子育て中のママの場合は?
「ママやお子さんの場合、歯周病よりも虫歯のリスクのほうが高いので、虫歯予防用を選ぶと良いと思います。また、見た目を真っ白にしたいという方も多いと思いますので、着色除去用も需要があるように思います」(須藤さん 以下同)
虫歯予防用の歯磨き粉の場合は、さらに「フッ素」にも注目。「フッ素には虫歯に対抗する役割がある」と、須藤さんは続けます。
「これまではどの歯磨き粉も法律で定められた950ppmまでしか入れられなかったのですが、現在は1450ppmまで入っている製品もあります。フッ素の濃度が濃いほうが口の中に残りやすくなるため、より高い効果を期待できます」
歯磨き粉の選び方ひとつで“歯磨き上手”に!
もうひとつ、歯磨き粉選びの基準として、「低香料」「低発泡」のものを選ぶと良いと須藤さん。こうすることで、歯磨きの基礎が身につきやすくなるといいます。
「現在お使いになっている方もいらっしゃるかもしれませんが、からくて、サッパリしやすい歯磨き粉ってありますよね。こうした製品には、香料や発泡剤が使用されていることが多いです。すぐに泡立ってくれて、適当に30秒くらい磨いただけでも口の中がスッキリとするので、“磨いたつもり”になりやすいのですが、低香料・低発泡のものを使うことで、スッキリ感はないかもしれませんが、きちんと磨けているかの判断がしやすくなります」
須藤さんいわく、虫歯や歯周病の原因となるプラークは、「触れて、擦る」という動作があれば、簡単に落とせるそうですが、マウスウォッシュや歯磨き粉では洗い流すことができないそう。
歯磨き粉はあくまでも手段のひとつであり、食生活とブラッシング能力、歯磨きをするという意識がもっとも大事。極論、歯磨き粉を使わずともきちんと磨けていれば、虫歯や歯周病は防げるのだとか。
汚れを落とす作業とケアをする作業の2回に分ける
これまでのお話を踏まえ、最後に歯磨きのコツを教えてもらいました。
「プラークを落としたうえで、虫歯や歯周病、着色除去といったそれぞれに特化したものを使うのがもっとも効果的です。まずは、何もつけずに水で磨いて、食べ物のカスやプラークを落とす。その後、仕上げ磨きとして歯磨き粉を使うのが良いです」
また、歯磨き後には何度も口をゆすぎがちですが、じつはあまりゆすがないのがベスト。ゆすぎすぎてしまうことで、せっかくのフッ素も一緒に洗い流されてしまいます。そのため、落とし切らないほうが良いとのこと。
毎日消費していくものだから、歯磨き粉選びってなんとなく適当に済ませてしまいますよね。だけど、何を防ぎたくて歯磨きするのか、歯磨きを通して子どもに何を感じてほしいのかなどを考えるようにすると、その見方も変わってくるのではないでしょうか?
(文・明日陽樹/考務店)