もちろん、そこに絶対の正解はない。だが最先端の技術が詰め込まれたデジタル機器は、使いようによっては子どもの能力をぐんぐん伸ばす強力な武器にもなってくれるのだという。では具体的にどんな風に使えば、家庭でデジタル教育を実践できるのだろう?
『AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55』を上梓した明治大学専任講師の工学博士であり、2男1女の母親でもある五十嵐悠紀氏に、望ましいデジタル教育の形について詳しく聞いた。
●知育アプリを選ぶときのポイントは?
「今は子ども向けの教育アプリがたくさん出ていますよね。使い方次第では、タブレットでの遊びを通して子どものイマジネーションや創造性、論理性など、能力を伸ばせる知育アプリもたくさんあります」(五十嵐氏 以下同)
好きなタッチでお絵描きできるものから、歌や手遊びを楽しむもの、ゲーム系まで。子ども向けアプリは多種多様で、無料のものも多い。デジタルにさほど詳しくない親は戸惑ってしまうが、そんなときは6つのポイントをチェックしてみよう。
●アプリ選びのチェックポイント
□時間を区切って遊べるようになっているか
□目標をわかりやすく示してあげられるか
□親との関わりが意識されているか
□子どもが自分で遊び方を見つける余地があるか
□いま伸ばしたい能力と関係はあるか
□子どもが興味を持つか
『AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55』(五十嵐悠紀/河出書房新社)より引用
●子のどんな能力を伸ばしたいかを考えよう
「これらすべての条件を満たす必要はありませんが、あくまで選ぶ際の目安として、参考にしてください。デジタル教育という視点から考えると、『子どものどんな能力を伸ばしてあげたいか』という視点を持って選ぶといいですよ」
たとえば、「絵本が大好きなわが子の想像力をもっと伸ばしてあげたい」というときは、自分で物語を作れる本作りのアプリを。ひらがなを覚え始めた子には、ひらがなを学べるアプリを…というように、子どもが今、興味を持っていることに関係するアプリを選んでみよう。
「その際に大切なのは、最初から子どもに『やってごらん』とただ渡すのではなく、ママやパパが実際にちょっとやってみせてあげること。『こうやるとこんな風になるね』という例をいくつか見せてあげると、子どもは自分なりに遊び方を見つけようとするはずです」
スマホで動画をただ見せているだけでも、子どもは集中してくれるため、親は楽かもしれない。でも、教育的効果を考えるのであれば、まず親がアプリを選び、時間のルールを決めて、一緒に楽しんでみるといい。いろんなアプリを試していくうちに、わが子の思わぬ才能が発見できるかも!
(取材・文:阿部花恵 編集:ノオト)
書籍紹介:「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新社)