渋滞を予測してPR活動も行う渋滞予報士の存在
そんな高速道路の渋滞に関する疑問を払拭すべく、NEXCO東日本でお馴染みの東日本高速道路株式会社の5代目渋滞予報士・外山敬祐(とやまけいすけ)さんに話を聞きました。
そもそも渋滞予報士とは、どんなことをしているのでしょうか?
「いつ・どこで・どのくらいの渋滞が高速道路上で起きるのかを予測しています。とはいえ、予測が目的ではなく、混雑する日を予測して、利用者に利用日時をずらしてもらうために行っています」(外山さん、以下同)
ひとりでも多くの人に渋滞に関する情報を知ってもらうために、PR活動などをすることも渋滞予報士の仕事のうちのひとつだといいます。ちなみに渋滞予報士は、NEXCO東日本各支社に1名だけで、定期的に交代になり、外山さんは関東支社の5代目予報士です。
高速道路の渋滞予測は過去3年分のデータから導き出す
では、実際に高速道路の渋滞予測はどんな情報を見て、予測しているのでしょう?
「渋滞の長さや時間の経過など、過去の渋滞を三角形のグラフにして、3年分のデータを重ね合わせることで、渋滞を予測しています。ですが、過去のデータは古く、現在の道路状況とは違っていたり、高速道路料金や曜日の並びなども異なるので、それらも加味した上で予測しているんです」
ここで注意したいのは、過去3年分のデータは直近だけではないということ。曜日の並びなどが近しいものなどを使用するので、3年以上前のデータも参照するそうです。
「例えば面白いところでは、潮干狩りが楽しめる千葉方面の高速道路の渋滞は、潮の満ち引きが関係しています。干満の差が激しいと潮干狩りができるため、渋滞が起こりやすくなるんです。渋滞予測には、こういった土地勘も必要です」
他にも、過去の渋滞情報を見る際は、渋滞付近で事故や速度規制が起きていなかったか? 天気の状況はどうだったか? など、多角的に状況を判断する必要があるといいます。細かい状況を分析することで、渋滞予測の的中率はなんと約8割!
ちなみに渋滞予測は、サービスエリアやパーキングに設置されている冊子「渋滞予報ガイド」や、「ドラぷら」という高速道路の料金やルート検索などを行えるアプリなどで確認可能です。
年末年始の高速道路は、出発時刻を数時間ずらすだけで渋滞を回避できる可能性があります。車を運転する予定のある方は、事前に渋滞予測をチェックして、渋滞ストレスのないドライブを楽しんでみてはいかがでしょうか。
(文・奈古善晴/考務店)