【専門家に聞いた!】神社の参拝マナーQ&A

第2回 大人なら知っておきたいお正月のルールとマナー
新年の初詣から始まり、合格祈願や健康祈願など、神社にお参りに行く機会は意外と多いもの。また旅行などにでかけた際、観光がてら神社を訪れることもあります。でも、神社の参拝マナーってじつはたくさんあるから、知らないうちにマナー違反をしているかも。

そこで今回は、“神社の参拝マナー”について、國學院大學の新谷尚紀教授にQ&A方式で解説してもらいました。

1●参道を歩く時、どこを歩いても良いの?

参道や境内を歩く時、真ん中を歩く人をたまに見かけますよね。でもそれ、NGマナーです!

「どうして真ん中を歩いてはいけないかというと、それは神様が通る道だからです」(新谷教授、以下同)

では、真ん中以外ならどこでも良いのでしょうか?

「左側通行のイメージで、歩くのが良いと思います。というのも、右利きの人にしてみれば左を歩く方が、たとえば右から攻撃された時に利き腕の右腕で対抗できます。心理的にも、右利きの人は左端を歩くほうが安全で、おそらく自然とそうしていることが多いと思います。それは神社仏閣に行った時も同じです」

神様に会いに来ている立場なのに、神様の通り道を堂々と歩くというのは、とても失礼なこと。自分はどこを歩いているか考えてみたら、あまり人が多くない神社だと、つい真ん中を歩いてしまっているかもと気づき、反省…。同じような経験がある人はきっと多いはず。これからは、真ん中は避けて歩くようにしましょう。ただし、神社によっては、あらかじめルールを決めているところもあるそうです。その場合は、神社のルールに従いましょう。

【専門家に聞いた!】神社の参拝マナーQ&A

2●お参りする時間はいつでも関係ない?

続いて、参拝する時間帯についての疑問。旅行なら昼間の明るいうちに行くことが多いけど、近所の神社だと、通りがかった時にフラッとお参りすることが多いですよね。参拝の時間って、いつでも変わりはないのでしょうか?

「参拝は基本的にいつ行っても問題はありませんが、より良いのは午前10~12時くらい。気持ちをさっぱりさせた状態で行くのは、お昼前までが形のいい時間帯です」

いつも午前中に参拝するというのはなかなか難しいこと。基本的にはいつでも参拝OKとのことですが、できる限り意識してみると良いのかもしれません。

3●二礼二拍手一礼にはどんな意味があるの?

みなさんすでにご存じだとは思いますが、お参りする時の作法として、「二礼二拍手一礼」というものがあります。この行動には、いったいどんな意味があるのでしょう?

「『柏手』は、昔から偶数回やるというのが慣わしです。なぜ偶数回なのかというと、日本では伝統的に偶数を良しとしているから。柏手を打つのは、『魏志倭人伝』や『日本書紀』などの古い時代から高貴な人へは、手を打って挨拶するというのがあります。今は万歳ですが、天皇陛下への挨拶なども元々は手を打っていました。手を打つことで、尊敬の気持ちを表しているのです」

偶数というのなら、4回、6回、8回など、多ければ多いほど良い気もするけど…。

「二拍手が偶数の最小単位で、一般庶民がやるものになります。たとえば伊勢神宮で神主さんが正式参拝する時は八拍手、出雲大社などでは四拍手と、神社の位によって変わるのです。現在は、伊勢神宮がトップですので、最多の八拍手になっています。とはいえ、伊勢神宮でも普段は神主さんも二拍手ですが」

手を打つことは、尊敬の気持ちを表すための行動だったんですね。なんとなく手を叩くこともあったけど、これからはきちんと心を込めてやってみようと思いました。

このように、知っているようで知らない参拝マナーは意外と多いもの。2018年は、よりスマートな参拝を!
(文・明日陽樹/考務店)

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

お話を聞いた人

新谷尚紀
國學院大學教授
1948年広島県生まれ。71年早稲田大学文学部史学科卒業、81年同・大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士課程後期単位取得退学。國學院大學文学部・日本文学科教授。専門は、日本民俗学。『家族で楽しむ 子どものお祝いごとと季節の行事(日本文芸社)』、『日本のしきたりがまるごとわかる本(晋遊舎)』 、『氏神さまと鎮守さま 神社の民俗史 (講談社)』など著書多数。
1948年広島県生まれ。71年早稲田大学文学部史学科卒業、81年同・大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士課程後期単位取得退学。國學院大學文学部・日本文学科教授。専門は、日本民俗学。『家族で楽しむ 子どものお祝いごとと季節の行事(日本文芸社)』、『日本のしきたりがまるごとわかる本(晋遊舎)』 、『氏神さまと鎮守さま 神社の民俗史 (講談社)』など著書多数。