シジミの味噌汁でアルコールは分解されない?
お酒好きな人もそうでない人も、「二日酔いには、シジミ汁を飲むといい」ということはご存じのはず。しかし、テレビや雑誌などでも活躍中の医師・ジャーナリストである森田豊さんは、「嘘」と断言します。
「“アサリやシジミなどの貝類のエキスが、肝臓にいい”といわれているため、実際にお酒を飲んだ翌日の朝食にシジミの味噌汁を飲む人もいるでしょう。ですが、肝臓にいい食べ物は存在しません。シジミの味噌汁を飲んだからといって、肝機能が回復するわけではないのです。たしかに、二日酔いの症状が改善されて気分がよくなったという報告はありますが、アルコールの分解を促進したというきちんとした研究結果はないのです」(森田さん、以下同)
シジミの味噌汁でアルコールを分解できないとなれば、いったいどうすればいいのでしょうか?
「睡眠をしっかりとって体を休めることで、アルコールを分解するときにできるアセトアルデヒドを代謝することが肝臓にはいいのです。ただし、飲んだあとにすぐ寝てしまうと、アルコールの分解速度が遅くなるという研究結果もありますから、翌朝元気に過ごすためには、すぐに寝ない方がよさそうです」
体内のアルコールを分解して、二日酔いを防ぎたいのであれば、シジミの味噌汁を飲むよりも、ひと晩ぐっすり眠れる環境を整えるようにしましょう。
飲んだ直後にしておきたい二日酔い対策
森田さんによると、二日酔い対策にはいくつか方法があるそう。例えば、以下の通りです。
・卵かけごはん
「卵に豊富に含まれているアミノ酸は肝臓のはたらきを助け、アルコールの分解を促してくれると考えられています。アミノ酸は熱を加えると変性するので、生の卵がいいでしょう」
・水
「アルコールには利尿効果があります。利尿によって脱水を起こすので、水分をしっかり補給することで、翌日のアルコールの残り方が違ってきます。お酒によって失われる体の水分は、ビールの場合、飲んだ量のおよそ1.2倍といわれているので、多めの水を飲むことが大切です」
・トマトジュース
「アサヒグループホールディングスとカゴメの共同研究によると、体からアルコールがなくなるスピードが速くなるという結果だったそうです。トマトジュースとアルコールを同時に摂取すると、トマトジュースを飲んでいない場合と比較して、血中のアルコール濃度や体内に留まる量が平均で約30%減少し、体内からのアルコール消失も50分早まることが確認されたそうです」
…ということは、酒席ではアルコールと一緒に水を飲むようにしたり、しめの雑炊を卵かけごはんに変えたり、つまみに冷やしトマトを選択したり。取り入れる方法はいくらでもあります。ちなみに、これらを摂取するタイミングは翌日の朝食でもいいとのこと。
「酒は飲むべし、飲まるるべからず」。お酒とは適度な付き合いを心がけて、できるだけ二日酔いにならないよう工夫したいもの。新年会で飲み機会が増えている人は、一緒に水を飲むことをお忘れなく。
(文・奈古善晴/考務店)