標高が低い山でも事前に積雪を確認しよう
夏に標高の低い山を歩くと、気温が高く汗だくになり、熱中症になったりする危険もあります。そういった意味では、低山は、実は冬のほうが快適に山歩きができるとか。
「都市部に近い、標高200〜500mほどの山なら、冬でも積雪が無い場所も多く、特別な冬山の装備無しで歩くことができます。しかし、いくら低い山でも、必ずビジターセンターや観光案内所などに連絡をして、積雪が無いかを確認してから出かけてください」(東さん、以下同)
ロープウェイがある山の場合は、ロープウェイを運行している会社に聞いてみるという方法もあるとか。
また、標高が低くても、子どもが歩きにくい鎖場や岩場があるコースもあるので、子どもが歩けるコースかどうか、ガイドブックや専門誌などで調べたり、上記のようなビジターセンターなどに聞いてみてから行き先を決めましょう。
冬こそ危険! 汗冷えを甘くみるなかれ!
さて、東さんいわく、冬のハイキングでもっとも気をつけなければならないのは服装だそうです。
「冬でも、どんなにアップダウンが緩やかな山でも歩けば意外と汗をかきます。そして、休憩時に止まると、冬は外気が低いのであっという間にその汗が冷えます。そうすると、体温を奪われて汗冷えが起こり危険です。低体温症になる危険性もあるんですよ。そのため、汗がすぐに乾くアウトドア用やスポーツ用の素材を内側に着ることが大切です」
ハイキング時の服装選びのポイントを3つ教えてもらいました。
・下着やインナーに着るシャツは汗がすぐに乾く素材。
・その上にウールや化繊の、暖かく薄手のものを何枚か重ねる。
・一番上に防風機能のあるアウターを着る(レインウェアを兼ねた防水のアウターでも)。
登山の時には、薄手のウェアを何枚か重ねて、動いて暑くなったら脱ぎ、冷えたら着て、体温を調整していくのが基本です。例えば、大人の女性の場合、冬のハイキングでは、以下のような順番で重ね着して行きます。
スポーツ用のブラジャー→速乾素材の下着→速乾素材の長袖Tシャツ→ウールのネルシャツ→薄手の化繊のフリース→アウター
ウールや化繊は、濡れた場合に速乾性もあり、通気性、保温性にも優れていて、アウトドアウェアとして最適です。ただし、インナーも含めたこれらのウェアを購入する際、アウトドアメーカーのものでも、素材に綿が混ざっていて汗が乾きにくいものもあるので、購入する時には、表示をよく見たりお店の人に聞いたりして、登山に適したものか確認するようにしましょう。
上記のウェア以外に、雨が降ったときのレインウェア(上下別のもの)、小さく収納できるライトダウンを持っていけば万全です。
お昼には温かいものが食べたくなる
では、持っていく食べ物について、冬ならではの工夫点はあるのでしょうか?
「体を動かさないお昼休憩では体温が下がるので、温かいお湯を保温性の高い水筒に入れて持っていってインスタントスープやラーメンを食べると、体が温まって下山時も頑張れます。アウトドア用のシングルバーナーを持っているなら、それを持っていってお湯を沸かしてもいいでしょう」
または、山頂の茶屋が営業している山を選ぶのもおすすめだそう。そこで、うどんなど温かいお昼を食べるのもいいかもしれません。また、飲み物は、温かいものと常温のもの両方を持っていくといいそうです。
休憩はこまめに取る、スケジュールは余裕を持って
子どもと一緒に山歩きをする時には、目安としてガイドブックや地図などに載っているコースタイムの2倍はかかると見ておいたほうがいいと東さん。
「冬は特に、早く日が暮れるので、余裕を持って早めに出発し、午後3時くらいには帰りの駅に到着できるよう予定を組みましょう。短いコースでも、子連れだと何が起こるかわからないので、午後から出発するのは避けてください。また、休憩は長く取ると集中力が切れ、体が冷えるので、5分くらいでちょっとおやつを食べたらまたすぐ出発し、子どもの様子を見ながら、15分〜30分に1回くらいのペースで休んでください」
もしロープウェイがある山なら、行きは歩いて登り、帰りはロープウェイで下りてくるという方法もあります。子供と歩くときは、登りの方が見守りやすいので、帰りにロープウェイを利用するプランがおすすめだそうです。ロープウェイがあれば、山歩き初心者でも安心ですよね。
落ち葉の上をカサカサ歩いたり、野鳥が見つけやすいのも、冬ならではの自然の楽しさ。近くの山で、冬の身近な自然を満喫してみませんか。
(取材・文:相馬由子/ディライトフル)