EMSで筋力アップは本当だった!しかし思わぬ落とし穴も…

第12回 ウソ?ホント?スマホ時代の情報Q&A
テレビの通販番組で、有名スポーツ選手がカラダに器具を取り付けてトレーニングをしている光景を見たことがある人は多いはず。EMS(Electrical Muscle Stimulation)と呼ばれるもので、電気刺激を直接筋肉に与え、筋肉を動かし、トレーニングを行うもの。とはいえ、ただ取り付けてスイッチを入れるだけで、本当にトレーニングになるのでしょうか?

EMSで筋力アップにはなるがシックスパックは作れない

「EMSを使用することで筋力の強化につながります。たとえば、同じ筋肉量だとしても、“その人がどのくらい筋肉を使えるのか?(筋肉の動員数)”には、個人差があります。EMSで強制的に外部から筋肉を刺激することによって、筋肉に力が入れやすくなりますので、筋力強化につながります」

EMSで筋力アップは本当だった!しかし思わぬ落とし穴も…

そう話すのは、北海道札幌市でひのまる整骨院の院長であり、パーソナルトレーナーとしても活躍中の相馬一字(そうまかずね)さん。

カラダを動かしてトレーニングをしても、100%すべての筋肉を使えているわけではありません。でも、EMSを使用すれば、そういった普段は使われていない筋肉に刺激を与え、強化することができるそうです。

ということは、テレビ番組に出ているような、お腹が割れたいわゆるシックスパックも、EMSで手に入れられるということ?

「前述の通り“筋力を強化する”効果が高いとされているため、脂肪の燃焼効果は期待できません。一般的にいわれているシックスパックは筋肉量も大切ですが、皮下脂肪が多いとシックスパックにならないと思われますので、EMSだけでは難しいです。しかし、EMSを行うことで体重や皮下脂肪に変化はなかったものの、お腹周りや腰回りが引き締まったという研究報告はあります」(相馬さん、以下同)

残念なことに、ミケランジェロのようなボディは手に入らなそうですが、日常生活のなかにEMSを取り入れることで、ダイエットや健康増進の効果は期待できるといいます。

低周波治療器でもEMSと同等の効果を得られる?

EMSと同じように、カラダに取り付けて電気刺激を与える低周波治療器。素人目線では、どちらも同じようなものに思える…。もしかしたら、低周波治療器でも筋力を強化できるのでしょうか?

「低周波治療器だと皮膚抵抗が大きいので、筋肉に刺激を与える強さまで電気刺激を強くすると皮膚に痛みを感じたり、ひどいと火傷につながる可能性があります。したがって、EMS専用の機器を使用することをおすすめします」

同じ電気刺激だから、「もしかしたら」と試したくなるものですが、場合によってはケガをする可能性があるので、低周波治療器での筋力トレーニングはしないように注意しましょう。

最後に相馬さんは、次のようにアドバイスします。

「EMSだけでシックスパックが手に入ったり、モデルさんのようなくびれになれると過度な期待を寄せていらっしゃる方が多いように感じますが、これは難しいです。とはいえ、“女性で腹筋が自力で出来ないけど、腹筋運動をしてお腹周りを引き締めたい”そんなときには有効です。EMSを使って筋肉量や動員数を増やすことで、自然と腹筋運動が自力で出来るようになります。もちろん、EMSだけで痩せる訳ではないですが、ダイエットや健康増進を助けてくれるツールのひとつなので、そのような認識を持っていただけると嬉しいです」

ネット上には、「EMSは効果がない」という口コミが散見されますが、それらはただ単に“期待過剰”だった可能性があります。気になる人は、過度な期待はせずに、使用してみてはいかがでしょうか。
(文・奈古善晴/考務店)

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

お話をお聞きした人

相馬一字さん
相馬一字
ひのまる整骨院 院長
2015年より北海道札幌市にて整骨院を開業後、翌年2016年からパーソナルトレーニングジムを増設。2018年よりインターネットを利用したオンラインパーソナルトレーニングのサービスを展開している。
2015年より北海道札幌市にて整骨院を開業後、翌年2016年からパーソナルトレーニングジムを増設。2018年よりインターネットを利用したオンラインパーソナルトレーニングのサービスを展開している。