「私、変わりたい」 フォロワー2万人超えのイラストレーター・やぎこさんの作品に心が揺れる理由
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

「私、変わりたい」 フォロワー2万人超えのイラストレーター・やぎこさんの作品に心が揺れる理由

第14回 クリエイターインタビュー
捉え方は人それぞれ
ぱっと目を惹く一枚のイラスト。
「 わ た し を み て 。 」
紫陽花の間から見つめる女の子の瞳が印象的……。淡い水彩画のようなタッチが魅力のこちらのイラストは、Twitterで話題のイラストレーター、やぎこさん(@aiueko2828)の作品。
お買い得のシールが貼られた女の子の瞳に、あなたは何を思いますか?
ドキッとするようなテーマや、エッジの効いた題材を取り扱う作品も多いやぎこさんは、「捉え方はひとそれぞれでいい」と語ります。女の子の心を揺さぶるイラストの数々をインタビューとともにご紹介します。

■自分にだからこそ、できること。

──簡単な自己紹介をお願いします。

「グラフィックデザイナー兼イラストレーターのやぎこです。普段はグラフィックデザイナーとして働いていて、空いた時間にイラストを描いています。主にTwitterをメインに活動しています」

──どうしてTwitterにイラストを投稿し始めたのですか?

「学生時代に好きだったイラストも、就職活動を期に描かなくなり、仕事や遊びに忙しい毎日で、すっかり『描く』という行為を忘れてしまって……。だけど仕事にも慣れた時、ふと何もない自分に気付き、怖くなったんです。このまま何も残せず、成果もなく、普通に暮らす自分を想像したら本当に鳥肌が立ちました。何のために私はココにいるんだ! という自問自答の繰り返しで、『自分ができることは絵を描くことだ』と思ったのが1番のきっかけです。

それまでゆるりだらりと過ごしていた自分が、嘘みたいに変わった瞬間でしたね。仕事から帰ってひたすら描いていました。誰かに共有したい、発信したい、そう思った時に一番身近だったのがTwitterだったんです」
いつもそこにTwitterがあったから。

■心の捉え方はひとそれぞれ。

──女の子の繊細な気持ちを描いたやぎこさんのイラストの数々。アイディアはどこから生まれているのでしょうか?

「『今の自分』が冷静に『昔の自分』を見つめ直すこと、でしょうか。無意識のうちに心に浮かぶこともあるのですが、自分の経験から生まれてくるイメージが多いような気がします。恋人のこと、友だちのこと、家族のこと、仕事のこと……。いろいろな過去(思い出)を振り返って、その時の出来事や感情を思い出すことが多いんです」
このまま溶けてなくなってしまいそうな心も、きっといつかの記憶の一部。
──やぎこさんがイラストとともに掲載されていた言葉で「捉え方はひとそれぞれでいい」というのがとても印象に残っています。実際、Twitterで印象的な反響はありましたか?

「フォロワーさんの数だけいろいろな捉え方をしてもらえるので、とてもおもしろいです。『私はこんな感情を描いたのに、まさか逆に捉えられているとは!』ということも結構あって。刺激を受けるし、フォロワーさんの感性を知ることができて得した気分にもなるんです」
「隠れきれない気持ち」
「例えば、これは、わざと捉え方をぼかしたくて曖昧な言葉とともにアップしたイラストです。隠したくなかったのか、隠せなかったのか。どちらの意味にも捉えることができるイラストだと思います」

■私、変わりたい。

──筆者個人の感想ですが、やぎこさんのイラストに描かれる不安や切なさの中に「私、変わりたい」と女の子が思っているような印象を受けるんです。現状に大きな不満はないけれど、なんとなく将来に漠然とした不安を感じていたり、今の自分ではダメだと心に浮かべてみたり。そんな女子を後押しするようなイラストをご紹介ください。

「後押しするようなイラストなら、こちらの一連のイラストです」
「それぞれの女の子たちが自分で放つ『嫌い』という言葉と向き合い、戦うイラストです。自分のやっていることに自信が持てなくなった時、人から叱責や注意を受けて落ち込んで、自分が嫌いになってしまいそうな時。たぶん、みんなどこかでそんな経験をしたことがあると思うんです。でも、結局しんどくても向き合わなくちゃいけないんですよね。だから向き合って、打ち勝って、変わってやる! そんな想いを込めています」

──断ち切ろうとする強い意志や、悔しさを糧に乗り越えようとする気持ちがイラストに表れていますよね。とても勇気をもらえるイラストだなと思います!
あなたもきっと輝ける。
「それから、こちらのイラストも『変わりたい』というテーマに合っているかもしれません。仲の良い絵描きさんがとてもステキなハンドメイドのアクセサリーをしていた時に『これ、かわいいでしょ!』ってうれしそうにお話してくれたのが、とても印象的だったんです。その時のイメージをイラストにしました。アクセサリーひとつ身に付けるだけで、こんなにかわいくキラキラと輝けるなんてステキですよね」

■誰かとつながっていたい

──やぎこさんが一番思い入れのあるイラストをご紹介ください。
充電式でもいいから、つながりが欲しい。
「こちらのイラストですね。『つながり』って大事だなと思うことが、社会人になって増えました。仕事も、会話も、情報共有も、すべて誰かとつながっていないとできないこと。友だちも職場も家族も恋人もSNSも、みんなそう。社会人になって疎遠になる人も多く、自分が求めないとつながりって消えてしまうのかもしれない。そう思った時に希望の意味合いも込めて描きました」

──やぎこさんがこれから先、描いてみたいイラストや想いを教えてください。

「誰かの記憶に残り、誰かの1番『好き』な絵を描きたいです」

──最後に「私、変わりたい」と思っている女子にエールをお願いします。

「変わりたい誰かがいるように、私も変わりたい誰かの一部です。あなたも私も、みんな同志ですね。お互いにがんばりましょうね」
そんなやぎこさんのイラストはイラストレーターの図録「ILLUSTRATION 2018」(翔泳社)にも掲載。やぎこさんが描く繊細な女の子の心情を描いた世界から、これからも目が離せませんね。

画像提供/やぎこ

(伊東ししゃも+ノオト)
伊東 ししゃも
伊東 ししゃも
フリーライター。元システムエンジニアで、趣味はインターネットとパン作り。食べることも大好きで、流行ってるグルメは見逃せない! 現在2児の母。すっかり失われかけた女子力を、また取り戻そうと奮闘中。
フリーライター。元システムエンジニアで、趣味はインターネットとパン作り。食べることも大好きで、流行ってるグルメは見逃せない! 現在2児の母。すっかり失われかけた女子力を、また取り戻そうと奮闘中。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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