本当に結婚したいと思ってる? アラサー女性の焦りから脱却するには。
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

本当に結婚したいと思ってる? アラサー女性の焦りから脱却するには。

第8回 20代の離婚白書
離婚経験者が思う、結婚について。

【20代の離婚白書vol.8】

「ねえ、ひとつ聞いてもいい? 離婚した理由ってなんだったの?」

漠然と将来結婚することを考えている独身のアラサー女性が、少し申し訳なさそうに、だけどその好奇心を抑えられずに切り出す。

それを聞かれるたび私は、毎回タイピングする手は止まるし、口にしていたご飯は喉に詰まるし、その時生まれた空気の淀みをかき消そうと少し早口になる。

ひょんなことから、はあちゅうさんのボイシーに離婚について語るゲストとして出演することになり、私のしめっぽい話をコンテンツ化したことがある。その時も、よく喋っていたように思う。私はいつも、この離婚理由を聞かれた瞬間、一体どんな顔をしているのだろう。

浮気された、借金があった、暴力を振るわれた、そういった明快な決定打があったわけではない(浮気は私が知らないだけかもしれないから、信じたいことが真実だと思うことにしている)。

人を好きになった時、その人の好きなところをいくつか挙げることは誰でもできる。だけど、どうして好きなのかを明確に、ひとことで言える人は少ないと思う。好きな感情は徐々に育まれるものだから、いつからどのようにして今の感情に至ったのか、ひとことでは言えない。

別れもそれと同じで、離婚原因は一概に言えない。原因を分解すると、原因を構成するたくさんの要素があって、その要素の蓄積が離婚原因であるとしか言えない。
私が思うに、真面目な人ほど理由を欲しがるし、解決したくて向き合おうとするし、責任の所在を確認したがる。特に未婚のアラサー女性は後学のために私の失敗を知りたがる。でも、男女には言葉では説明できない部分で惹かれあい、そして決定打もなく終わるのだ。だから私はこう問いたい。

「ねえ、ひとつ聞いてもいい? どうして結婚したいの? 本当に結婚したいと思っているの?」

言葉に詰まることなく、この問いに答えられますか?

経済的に自立しているのであれば、結婚という契約を結ばなくても一緒にいることはできるし、むしろ結婚することの方が煩わしいことも増えると思う。ひとつ屋根の下で暮らすと、相手との距離感がうまくとれなくなって、衝突もきっと増える。その度、「好き」がちょっとずつ剥がれ落ちてしまうかもしれない。

本当に結婚したいの? 世間が敷いたレールや、隣のあの子の幸せを見て、なんとなくするもんだと思っていないですか?
前置きが長くなりましたが、この連載は、私が20代で経験した恋愛・結婚・離婚の10年間を糧にするための備忘録です。まだ結婚の予定はないけど、いつか結婚したいと思っている同世代の女性にも読んでもらえたら、と思い筆をとっています。

連載8回目となる今回は、離婚してからちょうど1年が経つ月。だから原点に帰って、結婚とはなんぞやと考えてみたいと思います。

■私は彼のオカメインコになれなかった

私は今年で30歳を迎えますが、離婚経験関係なしに、もともと結婚願望が希薄だから、結婚に焦りはありません。両親が幸せそうじゃなかったからかもしれないし、めちゃくちゃ子どもが欲しいわけじゃないからかもしれないし、結婚するとセックスレスになったり愛情が冷たく変質するからかもしれない。要は、結婚にキラリと光る希望を感じない。

先日、同じように考えているアラフォー女性の双子に、結婚を選択しない人生について取材しました。彼女たちの話を聞いて思ったのは、「パートナーが男性である必要はない」ということ。

これは同性愛の可能性の話をしているのではなく、彼女たち双子はお互いを補完しあうパートナーで、お互いがお互いのそばにいつもいるから、他の誰かを必要としないし、結婚を選ばないのだということです。

彼女たちは恋愛をしているし、女性として男性を必要としている。だけど、結婚=パートナーとして男性を選んでいない。なぜならパートナーは双子で自分の片割れだから。

彼女たちからは将来の不安とか、女性としての自己肯定感の喪失とか、そういうものは一切感じず、とても生き生きしていました。その横顔を、たぶん私は羨ましそうに見ていたんだと思います。

でもたしかに、結婚ってときめきとかセックスとかじゃなくて、安らぎとか共同作業とかそういうものだと思うのですが、だとするなら、それを共にするパートナーは男性じゃなくていい。

酔った夜の帰り道、つい電話してしまう相手が妹で、妹がぶーたれながらも話を聞いてくれて、味方してくれるなら、パートナーが妹だっていい。

いつもお互いを助け合っている唯一無二と言える親友だっていい、不用意な言葉で傷つけてきたりしないペットだっていい。

経済的自立と心の安定が取れているなら、パートナーは男性である必要はないし、結婚しなくていい。そう思いました。
私の元旦那さんは、自分のInstagramに2人で育てていたオカメインコの成長記録をアップしていて、私はそれをこっそり見るのが日課。

最新の投稿には、元旦那さんの膝の上であくびをしたオカメインコの画像と「こういう何気ない姿を見てると幸せだなー」というコメントがありました。お酒が入っていたこともあったし、双子の話を聞いた後ということもあって、なぜか涙が止まらなかった。

「ああ、私は彼のオカメインコにはなれなかったんだなあ」

結婚しなくても、何気ない姿を愛おしく思えるパートナーがいれば大丈夫。きっと生きていける。元旦那さんはきっとそれが今はオカメインコで、もう大丈夫なんだ。

女性が男性なしには生きていけない時代ではもうないし、結婚の概念や必要性は多様性を持って変わってきていると思う。結婚に焦る必要は全くないし、お互いを慈しみ合える存在がいるなら、それを大切にしていくことのほうが重要なんじゃないかな。

選択肢はたくさんあって、選ぶのはいつだって自分だ。


■結婚について真剣に悩んでいる女性へ

私は真面目だから、問題があって目の前に壁が立ちはだかると、それを乗り越えようと向き合い続けて消耗してしまうことが多いんです。だけど、限りある時間を疲れた顔して過ごしたくない。

無理に解決しようとしなくてもいいし、回避できるなら回避してもいい。私は結婚したからには関係を修復しようとしがみついて、余計に苦しくなった。でも離婚したら、あっけなく幸せになれた。

結婚してくれない彼や、結婚したけどうまくいかなくなってしまった彼について悩みすぎたり向き合いすぎたりすると、幸せな顔でいられない。そして、悩みながら向き合い続けたほうが、実は破局が近づいてくる。幸せな顔してないと、不幸がにじり寄ってくる。

物理的距離を取った方がうまくいく人だっているし、鈍感なほうが幸せだったりする。仕事で精一杯のキャパの中で、恋愛や結婚で悩み続けるのは無理なことだから、幸せな顔でいられる選択をして欲しい。

だから結婚に対して真面目に悩んでいる女性は、まず結婚について考えることをやめることから始めてみるといいと思います。

いつも幸せな顔でいられたら、きっとパートナーもつられて幸せな顔になる。
その顔を見た時、まずは自分の幸せを考えることが一番大事なんだと思えるはず。うまくいかないことにばかり目を向けず、結婚にとらわれず、何が自分の幸せなのかを。

結婚という制度を取らなくても、パートナーが男性じゃなくても、自分が自分らしくいられる存在を大切にすれば、自分なりの幸せが手に入ると、私は信じているから。

(藤田佳奈美)
藤田佳奈美
藤田佳奈美
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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