離婚からの卒業/藤田佳奈美 #卒業コラム
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

離婚からの卒業/藤田佳奈美 #卒業コラム

第9回 想いを文字にしてみる。
\アリシー 編集長の #卒業コラム /
小学生の時は何もかもうまくいっていて、怖いものはなかった。

卒業して、制服が馴染む頃には、
家族が変になって、親友もいなくなって、
情緒不安定になって、いつも発狂しそうだったから、
出来るだけ早くこの世界から脱出するためにたくさん勉強した。
だから中学生の時は早く高校生になりたいと思ってやり過ごしていた。

8倍の高倍率をくぐり抜け、待ちに待った高校生になったけど、速攻で人間関係詰んだので、人生を諦めペンを置き本を閉じた(学生にとって学校が社会で世界の全てだから)。

デザインの学校を卒業してデザイナーになったけど、色々あってクビに近い形で1年でやめた。

卒業は、新しい第一歩を踏み出すための、希望に満ちたものという印象があったけど、大人になるに連れ、それは違うと悟った。

卒業したら変われる、手放しで幸せになれるって、どうして思っちゃうんだろう。

それからも、卒業という名の環境の変化を何度か迎えたけど、ポジティブなものばかりじゃなかった。

気づいたら、結婚して離婚していた。
結婚からの卒業。

自発的な卒業は、後から人生に効いてくる

つい先日のこと。しばらく海外に行くことになり、ペットの鳥を元旦那さんに預かってもらうため、1年半ぶりに連絡を取った。離婚してから初めて会う。

不思議と緊張感はなかった。

彼は私の家の前まで車で迎えにきてくれて、
あたたかいお茶を買って待っていた。
本来なら私がお茶を用意すべきなのに、
そういうところが私と彼らしかった。

鳥が覚えた芸を披露させたり、鳥が大脱走したことを話したり、私は面白おかしく鳥の近況を話した。

彼は「ほーちゃん(※鳥の名前)と今生の別れだね、ほーちゃん、この人にお別れ言いな」なんて軽口を叩いた。

30分くらい楽しいだけのひと時を車の中で過ごして、彼は鳥を連れて帰っていった。

彼は、私の名前を一度も呼ばなかった。

今は他人なんだなって思うと同時に、
離婚を選択できたことで、お互いが前に進めたのだと思う。

好きなのにつらくて苦しい気持ちばかりに苛まれていた結婚時代が嘘のように、今こうして楽しいだけの時間を過ごせたのは、きっと離婚できたからだ。

離婚を選択するまでは苦しかったけど、彼からの自発的な卒業は、確実に今の私を勇気付けている。

10年一緒にいた人でも、執着を捨て、手放して、離婚を選択できる。それはとても勇気のいることだったから。

家に帰り、なんだかホッとして、すっかり冷たくなった残りのお茶を飲み干してすぐに眠りについた。




何かを始めること、何かをやめること

離婚したばかりの頃は、何もかも変えてみたくて、
ボディコンバットやズンバ、キックボクササイズなど、快活な人たちに混じっては世界を広げようと頑張っていた。

一筋縄ではいかないけど、仕事も組織形成も新しい挑戦が続き、力をつけてきた。

新しいことを吸収するのは楽しいし、自分が広がる気がするし、何より私が笑顔だと周りも笑顔になることを知った。

結婚からの卒業で「やめる勇気」を、
離婚からの卒業で「はじめる勇気」を、手に入れたように思う。

卒業したからって世界が一変するわけじゃないけど、自分の意思で選んできた事実が、何より大きな自信につながる。

正直、今は仕事もプライベートも大変で、感情が大きく波立つことが増えたけど、これからは自分がご機嫌になれる選択をしていきたい。それはきっと、ポジティブな卒業になるはずなのを、私は知っているから。

(藤田佳奈美)
藤田佳奈美
藤田佳奈美
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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