「食後すぐの歯磨きはNG」って本当? 歯科医師に確かめてきた
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「食後すぐの歯磨きはNG」って本当? 歯科医師に確かめてきた

\歯磨きの新常識!/

「ごはんを食べたら、すぐに歯を磨きなさい」。子どもの頃に大人から言われたことはありませんか? しかし、食後すぐの歯磨きは、むしろ虫歯や歯周病の原因になることもあるようです。その理由や口腔ケアの新常識について、竹屋町森歯科クリニック院長の森昭先生に聞きました。
<森昭先生のプロフィール>
竹屋町森歯科クリニック(京都府舞鶴市)院長。人口8万人の同市にて総世帯数の25%がクライアントという人気歯科医。予防歯科、予防医学を重点的にとらえ、唾液やオーラルケアの大切さを全国に発信している。ベストセラー『歯はみがいてはいけない』(講談社+α新書)『体の不調は「唾液」を増やして解消する』など、口腔ケアに関する著書多数。情報ライブミヤネ屋(読売テレビ)、ビビット(TBSテレビ)など数多くの情報番組テレビでお口の健康の大切さを啓発。

■虫歯や歯周病予防にも有効? 唾液の働きを解説

──食後すぐの歯磨きを推奨されない理由について、教えてください。

「食後は歯の表面のカルシウムやリンが唾液中に溶け出し、唾液の働きによって30分〜60分かけて元に戻ります。その時に、歯磨剤(歯磨き剤)をたっぷりとつけて歯磨きをすると、唾液の働きを弱めてしまう可能性があるのです。

唾液には殺菌作用もあり、プラーク(歯垢)を除去する効果もあります。そのため、虫歯や歯周病予防のほか、体全体の免疫力を上げるためにも非常に有効と考えられています。食後すぐは、唾液の分泌量が一番多くなり、効力も高まっている状態です」

──“食後すぐの歯磨き”そのものでなく、“食後すぐに歯磨剤をつけて歯を磨くこと”がNGということですね。歯磨剤には、唾液の働きを弱める作用があるということでしょうか?

「歯磨剤が唾液の効果を薄めるというよりも、うがいの回数に問題があります。特に気をつけたいのは、界面活性剤の含まれた歯磨剤です。界面活性剤とは台所洗剤にも含まれている成分で、大量につけることにより口の中が泡だらけになります。泡をすすぐためには必要以上にうがいをしなくてはならないため、せっかくの唾液を吐き出してしまうことになるのです。界面活性剤には清涼感があるため、市販の歯磨剤にはかなりの割合で含まれています」

──食後すぐに歯を磨く習慣がある人の場合、口の中が不快に感じることもあるかもしれません。対処法はあるのでしょうか?

「どうしても歯ブラシを使いたい場合は、歯磨剤をつけない状態で余計な力を加えずに磨くことをオススメします。

しかし、どちらかというと私は、デンタルフロスや舌を使って歯についた食べカスやプラークを取り除くことを推奨しています。細菌の塊であるプラークは歯と歯の間にたまるため、むしろ歯磨きよりも重要な働きをすると考えています」

■朝の歯磨きは●●の前に! 口腔ケアの新常識

──歯や口腔内を健康に保つために心がけた方がいいことを教えてください。

「まずは、起床後すぐの歯磨きです。睡眠時は唾液がほとんど分泌されていないため、寝ている間に口の中の菌が繁殖します。つまり、口の中の菌が最も多いのは、起床直後です。歯磨きをしないまま朝食を摂ると、菌が血管や胃に入り込んでしまうのです」

──朝は食前に磨くことが大切なのですね。他に押さえておくべきポイントはありますか?

「同じ歯ブラシを1カ月以上使用することもオススメできません。毛束が埋め込んである部分に菌が繁殖するからです。唾液の恩恵を最大限に受けるために、歯磨きの前にデンタルフロスを使用することもポイントの一つ。食べカスやプラークを取り除き、歯と歯の間に唾液の通る道を作ります」

──デンタルフロスは歯磨き後に使用するものだと思っていました。デンタルフロスを使用する上での注意点はありますか?

「歯科治療の経験が多い方は、糸タイプのデンタルフロスが適しています。歯に詰め物をしていると、デンタルフロスが引っかかってしまうことがあるからです。糸タイプのデンタルフロスであれば、引っかかりがあっても歯と歯の間から引き抜くことができます。

一方、柄付きのタイプは力一杯引っ張らないと口の中から出すことができません。引っかかっているデンタルフロスを無理に取ろうとすることにより、詰め物が欠けたり、外れたりするトラブルにつながってしまうのです」

──歯ブラシのサイズや種類など、口腔ケアに必要な商品を選ぶポイントを教えてください。

「一概に“このタイプがいい”とは言い切れません。歯並びや歯の大きさ、歯周ポケットの大きさなど口の中の状態は一人ひとり異なるからです。歯磨剤を選ぶにしても、虫歯を予防するのか歯周病を予防するのかなど、目的によって選ぶ商品も変わります。私がオススメするのは、かかりつけの歯科医を持つこと。ご自分の口の中のことをよく知っている専門家に口腔ケア商品を処方してもらうのが望ましい方法だと思います」
虫歯や歯周病予防のためによかれと思って続けていたことが、かえってお口の健康を損なっていることがわかりました。まずは歯磨きやデンタルフロスを使うタイミングを見直して、新しい口腔ケアを習慣づけることから始めてみるといいかもしれません。

(畑菜穂子+アリシー編集部)
畑菜穂子
畑菜穂子
フリーライター。1児の母。スタイリッシュなものより、まぬけ要素があるものが好き。「嫌いまではいかないけど、好きでもない」日々のごはん作りを楽しむための方法を模索している。
フリーライター。1児の母。スタイリッシュなものより、まぬけ要素があるものが好き。「嫌いまではいかないけど、好きでもない」日々のごはん作りを楽しむための方法を模索している。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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