男女のすれ違いは回避できない。それでも一緒に居るためには。
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

男女のすれ違いは回避できない。それでも一緒に居るためには。

第2回 20代の離婚白書
【20代の離婚白書vol.2】
結婚願望なんて、はじめからなかった。24歳の私はプロポーズを受け、「流れに乗ってみよう、ダメだったらその時はその時だ」、そのくらいのカジュアルさで2年後に結婚した。結婚生活に憧れがあったわけでも、夢見ていたわけでもない。だけど、結婚を選んだ。離婚した今となって思うのは、強く望まなければ幸せな結婚生活は手に入らないということ。29歳になった私は、今も結婚願望がないままでいる。

今ひとりで暮らしている所は、スカイツリーと東京タワーが見える隅田川の近く。考え事をする時、何も考えたくない時、誰かの声が聞きたくてもかけることができなくて、ただ電話を握りしめる時、だいたい川に出向きます。

今夜も水面に映り込むタワマンの煌めきが綺麗で、ふと、私を通り過ぎて行った人たちのことを思います。マルボロメンソールの彼とか、一重まぶたの彼とか……。でも、最近はめっきり寒くなってきて、川から遠ざかっているせいか、思い出すことも少なくなってきました。こうして私もまた、彼らを通り過ぎて行く。すれ違わずにはいられない。

この連載は、結婚・離婚を経て30歳を目前に控えた私への、拙い経験を糧にするための備忘録です。まだ結婚の予定がないけど、いつか結婚したいと思っている同世代の女性にも読んでもらえたら、と思い筆をとっています。

今回は離婚事由の多くに挙げられている「夫婦のすれ違い」について話したいと思います。

■手を繋ぎたい私と、ポケットに手をいれたい彼。

結婚していた時の、ある夜の話。仕事帰り、パソコンやら資料やらをギッシリ詰め込んだバッグと、スーパーで買い込んだ食材を両手いっぱいに持って家路を急いでいると、私の横に彼が乗ったバイクが止まりました。

お互いに多忙で、なかなか予定が合わない中、偶然帰り道が一緒になったことが私はすごく嬉しくて。くたくたに疲れている細胞が、グンと目をさましたのを覚えています。今日は、一緒に帰れる!

彼は私の手から荷物を取り、そのままバイクを走らせていきました。私は唖然として、どんどん小さくなっていく彼の後姿を、ただただ眺めていました。

自宅に帰ると、彼は買い物袋から荷物を取り出し、お風呂を沸かして待っていました。とても気の利く、なんて効率的で先読みのできる優しい彼。だけど私は、この日は、帰ってすぐにお風呂に入れることよりも、重い荷物を持ってでも彼と並んで一緒に歩いて帰りたかった。一緒に過ごせる数少ない時間の中で、彼は効率的な生活を優先した。合理的な判断。そして私にはできない判断。とても寂しかった。

こだわりの強い私に好みの結婚指輪を選ばせたかった彼と、彼が選んだ指輪をはめたかった私。
寒いからポケットに手をいれたい彼と、「寒いから」を口実に手を繋ぎたい私。

そういう些細なすれ違いが私たちの日常にはたくさん転がっていて、私はそれにいちいち躓いていました。彼が取った、私のことを思っての行動と、私が彼に求めていることも、ただひたすらすれ違っていった。結婚する前も、結婚している時も、終わる時も。

■すれ違いは回避できない。

すれ違いは回避できない。回避できないけど、すれ違った後、また元の場所へ戻るには、お互いが何を望んでいるか知ろうとする努力は欠かせません。心の機微に敏感にならないと、相手の気持ちはどんどん変容していってしまう。

「ずっと一緒にいようね」とか、「あなたのことが好きだ」とか、そんなものでは、変化の渦中に居続ける私たちを繋ぎとめられない。時を超えてもなお、ずっと2人であり続けるには、きっと常にすり合わせをしていくことが大事なんだと思います。本当にお互いを思いやっているのなら、自分が思う幸せを提供するのではなく、相手が幸せと感じてくれることを知ろうと努力して、それに幸せを感じることができるはず。そこに過度な期待や見返りは介在しない。私は「言わなくても察して欲しい」とか「彼は彼なりの愛情表現があるから」とか、ほとんど自己完結していて、すり合わせるのを放棄していたのかもしれないと、今になって思います。

それは今もできていない部分であり、私の不得意とするところです。結婚願望がないのは、きっとそのすり合わせができないことで関係が終わってしまうことへの恐怖があるから。好きな人が私への興味を失うのは、やっぱり怖い。一度結婚してみて浮き彫りになった、すり合わせの重要性。私がまた誰かと出会った時、今度はすれ違わないようにしたいけど、まだ私は動き出せずにいる。

(藤田佳奈美)
藤田佳奈美
藤田佳奈美
ALICEY副編 ●フリーの編集ライター、イラストレーター●オカメインコ溺愛 #今日のペッパー●だいたいマガジンハウスにいる●だいたい隅田川で飲んでる●発言は個人の見解@yakou_chuu_
藤田佳奈美@yakou_chuu_
藤田佳奈美
藤田佳奈美
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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