「あなたはなぜネイルをするんですか?」
気分を上げたいから。身だしなみとして。爪を保護するため。
人によって答えはさまざまだと思います。かくいう筆者もセルフネイルが趣味で、だいたい週に1度はネイルを変えています。今となっては「爪に色が乗っていないと違和感を覚える」というのがネイルを続ける理由かもしれません。
気分を上げたいから。身だしなみとして。爪を保護するため。
人によって答えはさまざまだと思います。かくいう筆者もセルフネイルが趣味で、だいたい週に1度はネイルを変えています。今となっては「爪に色が乗っていないと違和感を覚える」というのがネイルを続ける理由かもしれません。
かねてより、その答えを聞いてみたいと思っていた人がいます。それは、爪作家としてTwitterを中心に活動する「つめをぬるひと」さん。斬新で独特なネイルアートが生み出される秘密について、ご本人にインタビューしてきました。
■転職を機に、今まで興味のなかったネイルに挑戦
──まずは、簡単に自己紹介をお願いします。
「爪作家の“つめをぬるひと”と申します。『身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪』というコンセプトで活動しています。CDジャケットや、ライブストリーミングサイト『DOMMUNE』の配信内容を題材にしたネイルアートをTwitterに投稿したり、音楽フェスで人の爪を塗る『塗る企画』などを行なったりしています」
──転職をきっかけにネイルを始めた、というエッセイを読みました。その時になぜネイルにしようと思ったのですか?
「かなりハードだった前職を辞めた開放感から、それまで全く興味のなかったことに挑戦しようと思ったんです。そんな時に目に止まったのが、モデルのkanocoさんがやってらっしゃる、爪に少し色を乗せるだけのkanocoネイル。その爪がかわいくて、最初は真似して塗り始め、徐々に自分の好きな絵や柄を描くようになりました」
「爪作家の“つめをぬるひと”と申します。『身につけるためであり 身につけるためでない 気張らない爪』というコンセプトで活動しています。CDジャケットや、ライブストリーミングサイト『DOMMUNE』の配信内容を題材にしたネイルアートをTwitterに投稿したり、音楽フェスで人の爪を塗る『塗る企画』などを行なったりしています」
──転職をきっかけにネイルを始めた、というエッセイを読みました。その時になぜネイルにしようと思ったのですか?
「かなりハードだった前職を辞めた開放感から、それまで全く興味のなかったことに挑戦しようと思ったんです。そんな時に目に止まったのが、モデルのkanocoさんがやってらっしゃる、爪に少し色を乗せるだけのkanocoネイル。その爪がかわいくて、最初は真似して塗り始め、徐々に自分の好きな絵や柄を描くようになりました」
──美しい配色や繊細なイラストが魅力的ですよね。もともと絵やデザインの勉強をしていたのでしょうか?
「絵の勉強は全くしていません。なので、模写が苦手で、点や線しかまともに描けません。テーブルに無造作に並んだネイルポリッシュの配色がたまたますごく素敵な配色だったりすると『今のうちにこの配色を形に残したい!』と勢いで作っちゃうことも。
でも、普段から美術館やギャラリーに展示を見に行くことは好きです。昔から雰囲気が好きで影響を受けている方は、擬音を中心とした漫画を描く横山裕一さんと、イラストレーターのチルチッタさんです」
「絵の勉強は全くしていません。なので、模写が苦手で、点や線しかまともに描けません。テーブルに無造作に並んだネイルポリッシュの配色がたまたますごく素敵な配色だったりすると『今のうちにこの配色を形に残したい!』と勢いで作っちゃうことも。
でも、普段から美術館やギャラリーに展示を見に行くことは好きです。昔から雰囲気が好きで影響を受けている方は、擬音を中心とした漫画を描く横山裕一さんと、イラストレーターのチルチッタさんです」
■電気グルーヴ・石野卓球さんのRTでTwitterが通知ラッシュに
──SNSに投稿を始めたきっかけを教えてください。
「爪のアカウントを始めたのは5年前。たまたま私の爪を見た転職先の方から『つけ爪とか作って売ってみたら良いんじゃない』と言われたことが、作品を発表していこうと思ったきっかけの一つです。
あと、大学時代の仲間とバンドを組んだことがあったんですが、同期が曲を作って動画サイトにアップして好評を得ている様子を見る機会があったんです。私はそこに関わってはいなかったんですが、素直に尊敬し、刺激になりました。どんなに良いものを作っていても、それを誰かへ届けるための準備や努力、行動力があって始めて価値は生まれるんだと思ったんです」
──SNSの反響で印象に残っているエピソードを教えてください。フォロワーが増えたきっかけになったネイルなどはありますか?
「爪のアカウントを始めたのは5年前。たまたま私の爪を見た転職先の方から『つけ爪とか作って売ってみたら良いんじゃない』と言われたことが、作品を発表していこうと思ったきっかけの一つです。
あと、大学時代の仲間とバンドを組んだことがあったんですが、同期が曲を作って動画サイトにアップして好評を得ている様子を見る機会があったんです。私はそこに関わってはいなかったんですが、素直に尊敬し、刺激になりました。どんなに良いものを作っていても、それを誰かへ届けるための準備や努力、行動力があって始めて価値は生まれるんだと思ったんです」
──SNSの反響で印象に残っているエピソードを教えてください。フォロワーが増えたきっかけになったネイルなどはありますか?
「時々、CDジャケットのデザインを爪に描いてアップしているんですが、それを見た方から『ゆらゆら帝国の“空洞です”はモチーフが5個あるから5本の爪に一つひとつ描いたらどうか?』という声をいただいて描いたことがありました。これはかなり反響が大きかったです」
「電気グルーヴのCDジャケットを爪に描いた時には、石野卓球さんご本人にRTしていただきました。それがたまたま年末に帰省している時だったので、実家で父とぼーっとテレビを見ていたらスマホの画面が突然通知ラッシュになったのが今でも印象に残っています」
──題材はどうやって決めていますか?
「CDジャケットの爪は『 #描いてみたつめ 』というハッシュタグを付けてアップしているんですが、それは自分が好きな音楽を選ぶことが多いです。また、製品パッケージや企業ロゴなどを題材にする時は、爪にあったらかわいいだろうな、面白そうだから描いてみたいな、と思って選んでいます。あと、時事ネタは思い付いたらなるべくすぐ描いていますね」
──題材はどうやって決めていますか?
「CDジャケットの爪は『 #描いてみたつめ 』というハッシュタグを付けてアップしているんですが、それは自分が好きな音楽を選ぶことが多いです。また、製品パッケージや企業ロゴなどを題材にする時は、爪にあったらかわいいだろうな、面白そうだから描いてみたいな、と思って選んでいます。あと、時事ネタは思い付いたらなるべくすぐ描いていますね」
■爪は、身体の部位で唯一手軽に描写できる表現媒体
──ネイルというと、「人に見せたい」、「自慢したい」という気持ちから施す人も少なくないと思います。つめをぬるひとさんは、ネイルをする本当の理由とはなんだと考えていますか?
「よく『ネイルの感想を求められて困る男性』が多いと聞きます。でもそれって、私が言うのもおかしいですが、正直女性も感じていると思います。ストーンのたくさんついた、長くてゴテゴテしたネイル。批判したいわけではありませんが、好きな人もいれば、そうじゃない人もいる。それなのに、選択肢が『ゴテゴテしたネイルをする or ネイルをしない』の二つしかないのって変ですよね。
爪は、身体の部位で唯一手軽に描写・書き換えのできる表現媒体だと思うんです。上手く言えませんが、なんかもういい加減、美容というカテゴリの外側にネイルがあっても良いんじゃないの、と思っています。
昨年の花見シーズンに代々木公園でそのへんを犬や亀(!)が散歩している中で爪を塗ったり、音楽フェスで演奏しているアーティストを見ながら爪を塗ったりしましたが、これって普通ならありえないシチュエーションですよね。この活動をしていなかったら会えなかったであろう人と会って話をしたり、知らなかったことを知ることができたり。私は、それらが全て『爪』というものありきで行われているという事実が滑稽で、面白くて仕方ないんです。『ネイルをする本当の理由はなんですか?』と聞かれて思ったのはそこだと思います。いろいろなことが、まさかの! まさかの爪で! というのをどこかで面白がっている自分がいます。もっと爪を塗ることに選択肢があって良いと思うし、理由も人の数と同じくらいあって良いものだと思っています」
──胸にストンと落ちる答えでした。最後に今後の展望や、挑戦してみたいことを教えてください。
「今後も爪でなにか面白いことがしたい、という興味や好奇心は変わらず持っていたいです。展望や挑戦って言ってしまうと力んでしまうので具体的なことはお話しできないのですが、まるでプレゼントを選んでいる時のような気持ちでこそこそと水面下で準備して、皆さんにお知らせする楽しさも実は好きなので、今後もそれに付き合っていただきたいです」
「よく『ネイルの感想を求められて困る男性』が多いと聞きます。でもそれって、私が言うのもおかしいですが、正直女性も感じていると思います。ストーンのたくさんついた、長くてゴテゴテしたネイル。批判したいわけではありませんが、好きな人もいれば、そうじゃない人もいる。それなのに、選択肢が『ゴテゴテしたネイルをする or ネイルをしない』の二つしかないのって変ですよね。
爪は、身体の部位で唯一手軽に描写・書き換えのできる表現媒体だと思うんです。上手く言えませんが、なんかもういい加減、美容というカテゴリの外側にネイルがあっても良いんじゃないの、と思っています。
昨年の花見シーズンに代々木公園でそのへんを犬や亀(!)が散歩している中で爪を塗ったり、音楽フェスで演奏しているアーティストを見ながら爪を塗ったりしましたが、これって普通ならありえないシチュエーションですよね。この活動をしていなかったら会えなかったであろう人と会って話をしたり、知らなかったことを知ることができたり。私は、それらが全て『爪』というものありきで行われているという事実が滑稽で、面白くて仕方ないんです。『ネイルをする本当の理由はなんですか?』と聞かれて思ったのはそこだと思います。いろいろなことが、まさかの! まさかの爪で! というのをどこかで面白がっている自分がいます。もっと爪を塗ることに選択肢があって良いと思うし、理由も人の数と同じくらいあって良いものだと思っています」
──胸にストンと落ちる答えでした。最後に今後の展望や、挑戦してみたいことを教えてください。
「今後も爪でなにか面白いことがしたい、という興味や好奇心は変わらず持っていたいです。展望や挑戦って言ってしまうと力んでしまうので具体的なことはお話しできないのですが、まるでプレゼントを選んでいる時のような気持ちでこそこそと水面下で準備して、皆さんにお知らせする楽しさも実は好きなので、今後もそれに付き合っていただきたいです」
自己表現の媒体である爪からコミュニケーションが生まれると語る、つめをぬるひと さん。まさに作品からは、思わず手に取って誰かと話したくなるような遊び心が存分に表れています。その柔軟な考え方から生み出される自由な作品がファンを魅了する秘密だと感じました。
(阿部綾奈/ノオト)
(阿部綾奈/ノオト)
阿部 綾奈
編集プロダクション・ノオト所属の編集者・ライター。ALICEYディレクター 。趣味はセルフネイルと映画鑑賞。
編集プロダクション・ノオト所属の編集者・ライター。ALICEYディレクター 。趣味はセルフネイルと映画鑑賞。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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