ターゲットは上腕二頭筋と上腕筋
「たくましい腕」=「力こぶ」を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。これを作るのが、かの有名な上腕二頭筋だ。ここを鍛えることで、憧れの筋骨隆々な腕に近付ける。
さらに見映えのする太く屈強な腕を手に入れたければ、力こぶだけでなく腕を曲げた時の側面の筋肉も大きくするとよいとパーソナルトレーナーの重松祐介さんは進言する。ボリュームが増し、「鍛えている感」が高まるのだ。この真に鍛えられた腕を作るには、「上腕二頭筋のより深層にある上腕筋を鍛えることが必須です」(重松さん。以下同)と言う。これら2つの筋肉が鍛えられて初めて、半袖Tシャツの袖部分がパンパンに膨らんだ「マッチョ」で「鍛えている体」という印象与えることができるのだ。
ダンベルカールの行い方
そんな上腕二頭筋、上腕筋を鍛える上で欠かせないトレーニング種目が「ダンベルカール」。ダンベルさえ用意すれば自宅でもできるので始めやすい。
ただし、我流では効果が半減したり怪我も招きかねない。正しいトレーニング方法を、重松さんに動画で解説してもらう。
ダンベルカール動画解説
<トレーニングの行い方>
1.ダンベルを両手に持って立つ。腰の幅程度に足を開く。膝は伸ばしすぎず軽く曲げてクッション性を保つ
2.手の平を前方に向けてダンベルを横に並べるように持ち、肘を曲げてダンベルを上げる
3.肘が伸び切る直前まで腕を伸ばしてダンベルを下ろす
4.2・3を繰り返す
<悪い例>
・ダンベルを腕の反動を使って上げる
・背中を反り過ぎる
・ダンベルを急に下ろす
→狙った筋肉に効かないだけでなく、怪我にもつながるため避けよう。
ダンベルカールのポイント
ダンベルを握る際は、小指から軽く!
トレーニングの際に大事なのが「初動」だと重松さんは強調する。「最初に力を入れた部分に負荷はかかります。スタートポジションで、重さを乗せたい場所、つまり効かせる筋肉を意識することが重要です」
よくある悪い例は、手首に力を入れて親指からぎゅっとダンベルを握ってしまうこと。そうすると、初動で腕橈骨筋に負荷がかってしまい、本来効かせたい上腕二頭筋、上腕筋への負荷が軽減してしまうのだ。結果、どれほどダンベルを上げ下げしたとて、マッチョな二の腕になることは難しい。
小指を上げて上腕二頭筋に効かせる!
ダンベルを持ち上げる際(2の時)、「最後に小指を上げると上腕二頭筋の収縮をより感じることができる」と重松さんは言う。腕を曲げて筋肉が収縮した状態で回外(上腕部をひねって手の平を上に向けること)すると、上腕二頭筋により効かせることができるのだ。
また、「ダンベルを上げる時に肘を少し前に出すのも負荷が大きくなります」
基本形に慣れてきたら是非試していただきたい。
ゆっくりダンベルを下ろす
「早くダンベルを下ろすと、筋肉ではなく関節を動かしているだけになってしまいます。さらに、手首を痛める原因にもなります」
素人が冒しやすいありがちな筋トレ失敗例なので、注意しよう。
回数×セットは?
初心者の場合、
ダンベルの重さ:5〜10kg
回数・セット数:10〜15回×4セット
から始めよう。
腕を鍛えるカールのトレーニング種目
ムキムキな二の腕を手に入れるには、ただ思いつくままに種目をこなすだけでは合理的とは言えない。そこで重松さんが推奨するのがPOF法だ。「Positions Of Flexion(屈曲の位置)」の頭文字をとったもので、筋トレテクニックの一つだ。同じ部位を鍛える際、3つの可動域にわけてトレーニング種目を設定することで、鍛え漏れなく負荷をかけていく手法だ。
その3つとは、
1.ストレッチ種目 …筋肉が伸びている状態で最大負荷がかかる種目
2.コントラクト種目 …筋肉が縮んだ状態で最大負荷がかかる種目
3.ミッドレンジ種目 …上記2つの中間で最大負荷がかかる種目
に分類され、「これらを組み合わせてトレーニングすることで、相乗効果が生まれます」
これを上腕二頭筋、上腕筋を鍛える種目にあてはめると、
1.ストレッチ種目 …インクラインダンベルカール
2.コントラクト種目 …コンセントレーションカール
3.ミッドレンジ種目 … ダンベルカール、ハンマーカール
となる。
ここからは、各種目を動画で重松さんに解説いただく。
コンセントレーションカール(メインターゲット:上腕二頭筋)
<トレーニングの行い方>
1.ダンベルを1つ用意し、ベンチに腰掛ける
2.ダンベルを握り、肘を膝の内側にセット
3.肘を曲げ、1秒でダンベル上げながら上腕二頭筋の収縮を感じる
4.ゆっくりと肘を伸ばしてダンベルを下ろす
5.3・4を繰り返す
<悪い例>
・腕を上げた時に肩がすくんで内側に入ってしまう
→背中や首の筋肉に力が入ってしまうので、ターゲットマッスルに効かない。肩を落として上げ下げを行う。
<ポイント>
最後に小指を上げると、上腕二頭筋の筋収縮をより感じられる
<初心者の推奨回数>
ダンベルの重さ:3〜5㎏
回数・セット数:15回×3セット
ハンマーカール(メインターゲット:上腕筋)
<トレーニングの行い方>
1.ダンベルを両手に握り、腰の幅に足を広げて立つ。両膝は軽く曲げてクッション性を保つ
2.最初のポジションから肘の位置を変えずに、肘を曲げてダンベルを持ち上げる
3.3秒くらいかけてゆっくりと下げる
4.2・3を繰り返す
<悪い例>
・ダンベルを持ち上げる際に背中が反る
・ダンベルが内側に入ったり外側に開いたりと、向きや軌道が変わる
<ポイント>
リズム、ダンベルの軌道を一定に保つ
インクラインダンベルカール(メインターゲット:上腕二頭筋)
<トレーニングの行い方>
1.両手にダンベルを握り、インクラインベンチに寝る。ベンチの角度は45度。ダンベルを持った腕を下ろし、上腕二頭筋が強くストレッチされた状態を作る。足の幅は腰幅に開く
2.1秒でダンベルを上げる。この時、肘の位置が変わらないようにする
3.3秒かけてダンベルを下ろし、上腕二頭筋のストレッチを感じる
4.2・3を繰り返す
<悪い例>
・上げた時に、肘が前に出る
<初心者の推奨回数>
ダンベルの重さ:3〜5㎏
回数・セット数:15回×3セット
ダンベルカール種目をものにして理想の腕に
ダンベルカール種目は、「回内(上腕部をひねって手の平を下に向けること)・回外(上腕部をひねって手の平を上に向けること)によって、上腕二頭筋なのか、上腕筋なのか効く筋が変わるので、ご自分で調整することができて実用性が高い」と重松さん。
自宅でトレーニングが可能、かつ自分の腕の状態によって効かせたい筋肉をアレンジできるこの種目を使いこなして、この夏は魅せる腕を手に入れよう。
Text by 武田尚子