背筋の役割を部位別に知ろう
背筋とひとことで言っても、実は色々な筋肉が集まってできている。
背筋を鍛える前に、まずは背筋を構成している筋肉についてそれぞれの場所や役割を詳しく知ろう。
どこの筋肉を鍛えているのかがわかると、トレーニングの効果はより高まる。
「僧帽筋」とは
僧帽筋とは、首から肩甲骨あたりに位置する広い筋肉。肩甲骨を上に引き上げたり、内側に寄せたりする役割を担っており、美しい姿勢の維持には欠かせない。
「僧帽筋は、上部・中部・下部と3つに分けられます。一般的な日常生活では上部をよく使うので、上部はすでに発達しすぎている人が多いんです。」(重松さん、以下同)
ビジネスマンを悩ます肩こりも、この僧帽筋上部が発達しすぎることによって起こると重松さんは言う。
「トレーニングをする時は、上部はゆるめて、下部を意識的に鍛えると良いでしょう。」
肩こりの解消や姿勢の維持には、しっかりと僧帽筋下部を鍛えて、上部下部でのバランスが整えることが大切だ。
「広背筋」とは
広背筋とは、背中の下部から脇の下にまで広がる人体で最も面積の多い筋肉。腕を振る・あげる・引くなどといった動作の時に主に作用する。背中の広がりや逆三角形の体づくりなど、見栄えに直結する筋肉なので、ぜひ鍛えたい部位だが、意識しづらくトレーニングがおろそかになりがちだ。
「腕をしっかり後ろにふって歩くだけでも、広背筋は鍛えられます。腕をふらずに歩いている人が意外と多いので、ぜひ意識してみてください。また、懸垂も広背筋のトレーニングには効果的です。」
「脊柱起立筋」とは
脊柱起立筋とは、背骨に沿って細長く走っている筋肉。僧帽筋や広背筋よりも内側に位置し、体幹を安定させ姿勢をまっすぐ維持させるために働く。
「脊柱起立筋はこの部分単体で鍛えるということは、あまりありません。動かして鍛えるよりは、まっすぐに固めるという感覚です。また、反り腰だと言われる人は、脊柱起立筋が発達しすぎています。腰痛の原因にもなるので、反り腰が気になる人は、エロンゲーションを取り入れると良いでしょう。」
エロンゲーションとは、伸び・伸長を意味し、体を伸ばす動作を利用したトレーニングのことだ。この後紹介する「脊柱起立筋」のストレッチをぜひ参考にして欲しい。
自宅でできる背筋のトレーニング方法 部位別3選
「僧帽筋下部」を鍛えるブリッジ
<ブリッジの行い方>
1.仰向けになり膝を立てて寝る
2.耳の横に手を置く
3.体を持ち上げる
4.僧帽筋下部にハリを感じながら1,2秒止まる
5.ゆっくりと体を下ろす
6.3〜5を繰り返す
<トレーニング時の注意点>
・腰にハリを感じる人は、前ももや広背筋が硬くなっているのでストレッチでほぐしてからトレーニングを行う
・体を反りすぎると腰を痛める原因になるので注意
「広背筋」を鍛えるワンハンドローイング
<ワンハンドローイングの行い方>
1.片手・片足をベンチにしっかりと乗せる
2.ベンチに乗せた手は横向きにして体を支える
3.もう一方の手でダンベルを握る
4.肩甲骨をあげる
(この時、肘は曲げない)
5.肩甲骨がしっかり上がってから、肘を引き上げて曲げる
6.4・5を繰り返す
7.左右を入れ替えて行う
<トレーニング時の注意点>
・肩甲骨を上げた時に、なるべく肩と耳の距離が遠く離れることを意識する
・肘を上げた時に腰がひらかないように、頭からお尻までが一直線になったまま行う
・ベンチがない場合は、椅子を2つ並べて代用しても良い
「僧帽筋」「広背筋」を鍛えるダンベルルーマニアンデッドリフト
<ダンベルルーマニアンデッドリフトの行い方>
1.ダンベルを両手に持って立つ
2.股関節を深く曲げて前傾姿勢になる。この時、背中が丸くなったり反ったりしないように、まっすぐに
3.背中をまっすぐにしたまま、ハムストリングと臀部のストレッチを感じ、息を吐きながら立ち上がる
4.息を吸いながら下げる
5.一定のリズムで3、4を繰り返す
<トレーニング時の注意点>
・腰が反らないように注意。腰痛の原因に
・肩がダンベルの重さに負けて下がり、背中が丸くならないよう注意。肩甲骨を安定させ、背中をまっすぐに保ったままトレーニングを行う
背筋を鍛えるならストレッチも取り入れると効果的
ここまで背筋を鍛える筋トレの方法を紹介してきたが、「ストレッチ」も背筋を鍛える上でぜひ取り入れて欲しい。
「なぜなら、ストレッチをすることで、背筋を鍛えるために重要な肩甲骨の可動性が高まり、正しいフォームを覚えることにつながります。また、どこの部位を鍛えているかがよくわかるようにもなるので、筋トレ初心者のかたこそ、ぜひ取り入れるべきですね。」
重松さんによると、腕が上がらないなど四十肩で悩んでいる人も、ストレッチは効果的だそうだ。
筋トレと組みわせたい背筋のストレッチ3選
「僧帽筋下部」と「広背筋」のストレッチ
<僧帽筋下部と広背筋のストレッチの行い方>
1.腰幅に足をひらき膝をつく
2.肩幅程度に開いた肘をベンチに乗せる
3.棒を両手で握る
4.お尻をかかとの方にゆっくりと近づける
(この時、肘も一緒にしっかりと曲げていく)
5.体を元に戻す
6.4・5を繰り返す
<ストレッチ時の注意点>
・スタートの時の姿勢は、頭からお尻までが一直線になるように
・体を下ろした時に胸のハリを感じ、僧帽筋と広背筋が伸びていることを意識する
・ベンチがない場合は、椅子などを代用しても良い
「広背筋」のストレッチ
<広背筋のストレッチの行い方>
1.足を開いて直立し、上体を左に倒して壁などをしっかりつかむ
2.両手の指でしっかりと体を引っ張る
3.右の広背筋が伸びていることを感じる
4.鼻から息を吸って口から吐く
5.反対側も同様に行う
<ストレッチ時の注意点>
・体を引っ張った時に広背筋が伸びていることを感じながら、呼吸をとめないで行う
・負荷を強くしたい場合は、右足を後ろにして強く引っ張ってみる
「脊柱起立筋」のストレッチ(キャット&ドッグ)
<脊柱起立筋のストレッチ(キャット&ドッグ)の行い方>
1.肩関節の下に手首、骨盤の下に膝がくるように四つん這いになる
2.息を吐きながら背中をゆっくりと丸めていく
3.息を吸いながら背中をゆっくり反りながら頭をあげる
4.2・3を繰り返す
<ストレッチ時の注意点>
・背中を丸める時は、頭からお尻まで丸めるようなイメージで。肩だけがあがらないよう、お腹もしっかり持ち上げる
・背中を反る時は、背骨が1つずつ動いていることを感じながら行う
・呼吸をしっかりと意識しながら行う
筋トレとストレッチを組み合わせて効果的に背筋を鍛えよう!
体の中でも非常に大きな面積を占める背筋。自分では見えないが、実は他人からはよく見える部位。
だからこそ、しっかり鍛えてスキのない男らしい背中を手に入れたい。今回は日常生活で取り入れやすいトレーニングやストレッチを中心にご紹介したので、ぜひ今日からさっそく取り組もう。 2,3ヶ月で確実に後ろ姿が変わるはずだ。
Text by Saki Ebisu