自重トレーニングの頻度は何で決まる?毎日取り組んでもいい?
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自重トレーニングの頻度は何で決まる?毎日取り組んでもいい?

第35回 【筋トレまとめ】効果を最大化するおすすめのやり方
自重トレーニングは、自分の体重を使って筋肉に負荷をかけるトレーニングである。マシントレーニングなどと比べて大きな負荷がかからないため、毎日取り組んでも良いという論調があるが、これは正確ではない。正しくは、各筋肉の超回復期間を設ける事ができる場合に限り、毎日取り組んでも良い、ということである。自重トレーニングの頻度は、この超回復によって左右される。この記事では、自重トレーニングと超回復についてまとめた。超回復の知識を身に着けて、適切なトレーニング頻度を理解しよう。

自重トレーニングとは

筋肉を鍛える一般的な方法は、筋肉に負荷をかけて筋繊維を破壊し、回復するときにより強い状態で回復する「超回復」という生体反応を利用する方法だ。これがウェイトトレーニングであり、通称「筋力トレーニング=筋トレ」である。筋トレは大きく分けると3つの種類が存在しており、その中の1つの分類に含まれているのが自重トレーニングである。つまり、自重トレーニングはウェイトトレーニングの一種と言える。自重トレーニングは英語で「Self Weight Training(自己体重トレーニング)」だ。

筋トレの3つの分類

それでは、筋トレにはどのような分類があるのだろうか。1つずつ、具体的なトレーニングメニューを見ながら確認していこう。

おもりを使ったトレーニング

おもりを使ったトレーニングは主に3つの種類がある。どれも比較的大きな負荷をかけることができるトレーニングだ。筋肥大を目的としたトレーニングなどで用いられることが多い。

・ダンベルトレーニング
・バーベルトレーニング
・ケトルベルトレーニング

軌道器具を使ったトレーニング

これは、ジムにあるトレーニングマシンなどを使ったトレーニングだ。狙った部位を効率的に鍛えることができる。

・チューブトレーニング
・ケーブルマシントレーニング
・スミスマシントレーニング
・その他マシントレーニング

体重を使ったトレーニング

自分の体重を使ったトレーニングだ。自重トレーニングはこの分類に含まれる。自宅でも取り組むことができる手軽さがメリットと言える。一方で自分の体重以上の負荷をかけることは出来ないので、ダイエットや健康維持を目的とする場合に多く取り入れられる。

・体幹トレーニング
・自重トレーニング
・バランスボール筋トレ

参照記事:

自重トレーニングの頻度は超回復で決まる

既に述べたように、筋トレは筋繊維が破壊された後強くなって回復する超回復を利用する。ただし、筋肉が超回復する前に筋トレをすると、筋繊維は破壊されたままとなり、徐々に細く弱くなっていってしまう。これをオーバートレーニングという。筋肉によって超回復の時間には差があるため、トレーニングは超回復の時間によって頻度を決めるのが一般的だ。自重トレーニングは負荷が大きくないため、毎日取り組んでも問題ないという論調があるが、実際は超回復の期間を設けなければならない。

各部位の超回復の時間

それでは、超回復にはどれくらい時間がかかるのだろうか。ここでは、各部位の超回復にかかる時間をまとめている。個人差や条件による時間の変化もあるので、あくまで目安として考えてほしい。

上半身の押す筋肉グループ

上半身の筋肉のうち、何かを押すときに使われる筋肉のグループだ。超回復に48時間程度かかる筋肉が多い。

・大胸筋:48時間
・三角筋:48時間
・上腕三頭筋:48時間

上半身の引く筋肉グループ

上半身の筋肉のうち、何かを引くときに使われる筋肉グループ。広背筋など、大きな筋肉の超回復に必要な時間は長い。

・僧帽筋:48時間
・広背筋:48時間
・上腕二頭筋:48時間

体幹の筋肉グループ

体幹を支える筋肉グループ。いわゆる腹筋や背筋などが含まれる。腹筋の超回復に必要な時間は短いが、反対に背中の筋肉は長時間必要だ。

・腹筋群:24時間
・長背筋群:72時間

下半身の筋肉グループ

下半身の筋肉グループ。大きな筋肉が多いので、超回復に必要な時間も長めだ。

・大臀筋:48時間
・大腿四頭筋:72時間
・大腿二頭筋:72時間

手足の筋肉グループ

腕や足のグループ。超回復にかかる時間は短いが、いろいろなトレーニングで負荷がかかるため、トレーニングを組む際には慎重に取り入れる必要がある。

・前腕筋群:24時間
・下腿三頭筋:24時間

参照記事:

各トレーニングメニューの頻度の目安

自重トレーニングには大きく「腕立て伏せ系」「懸垂系」「腹筋系」「スクワット系」の4つの分類がある。超回復の時間を考えると、それぞれの望ましい頻度は以下の通りだ。ただし前提としてトレーニングの量などによって当然目安は変わる。

腕立て伏せ系

主に負荷がかかる大胸筋・三角筋・上腕三頭筋の超回復期間が48時間のため、1日おきが最短だ。

懸垂系

主に負荷のかかる広背筋・僧帽筋・上腕二頭筋の超回復期間が48時間のため、腕立て伏せ系と同様に1日おきが最短となる。

腹筋系

主に負荷のかかる腹筋群の超回復期間が24時間のため、毎日取り組んでも問題ない。ただし、腹筋系の拮抗筋(筋肉運動の際に反対の動きをする筋肉)である長背筋群の超回復期間は72時間のため、腰に負担を感じたら1日おきにするなど調整が必要だ。

スクワット系

主に負荷のかかる大腿四頭筋・大腿二頭筋の超回復期間が72時間のため、2日おきに行うのが最短となる。

スケジュールを立てる際のポイント

ここまでに説明してきた超回復の時間を元にスケジュールを立てるが、その前に知っておきたいポイントがある以下の2点だ。

無理せず続けられる頻度

筋トレは継続して初めて効果が出る。トレーニングを始めたばかりの頃は気合が入るので負荷を大きくしがちだが、それでトレーニングが続かなければ意味がない。最初は誰でも大きな負荷でのトレーニングは難しいので、自分の成長に合わせて徐々にレベルアップしていくイメージでいるといいだろう。これを過負荷の原則という。最初は週1回から2回、多くても3回程度から始めてみるのがおすすめだ。物足りなく感じるかもしれないが、なれるまでは少なめで取り組むことをおすすめする。週1回でもやらないよりはずっと効果があるので、気長に取り組んでほしい。

慣れてきたら種目を増やす

自重トレーニングは、自分の体重以上に負荷をかけることが出来ない。そのため、継続していると体が慣れてきて筋繊維を破壊しにくくなる。その場合、頻度や回数を増やすよりも、種目を変えて負荷を増やすのがポイントだ。例えば腕立て伏せ系(プッシュアップ)なら、膝付き腕立て伏せ、腕立て伏せ、プッシュアップバーを使用した腕立て伏せ、補助あり片手腕立て伏せ、補助なし片手腕立て伏せ等がある。様々な種類の刺激を与えることで、体の慣れを防ぐことを意識するといいだろう。

具体的なスケジュール例

鍛える筋肉を部位ごとに分けてローテーションでトレーニングする方法をスプリットトレーニングという。メニューを組む際には、超回復をする部位と鍛える部位を分けることで、それぞれを同時並行で進めることができる。例えば週6回トレーニングする場合、以下のように組むとスプリットトレーニングの真価を発揮できる。

・月曜日:腕立て伏せ系+腹筋
・火曜日:懸垂系+腹筋
・水曜日:スクワット系
・木曜日:腕立て伏せ系+腹筋
・金曜日:懸垂系+腹筋
・土曜日:スクワット系
・日曜日:休息日

同じ筋肉を2日連続で鍛えないようにメニューを組むのがポイントだ。週2回〜3回で組む場合は、胸や背中、太腿や腹筋などの大きい筋肉のトレーニングを優先するといいだろう。腕立て伏せ系とスクワット系を軸にすると、全身をまんべんなく鍛えることができる。もし仕事などの関係で土日など2日連続トレーニングする場合は、

・1日目:上半身
・2日目:下半身

のように分けると良いだろう。

参照記事:

自重トレーニングの適切な頻度|毎日はNG|超回復を考慮した一週間のプログラムの組み方

参照記事:

監修者HP:上岡 岳

一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟

今回のアドバイザー

上岡 岳
上岡 岳
一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟常任理事
アームレスリングの元日本代表でアジア選手権マスターズ90kg級3位などの戦績を持つ。自身のジムでアームレスリングやパワーリフティング選手の育成指導を行っている。生物学博物館学芸員。
アームレスリングの元日本代表でアジア選手権マスターズ90kg級3位などの戦績を持つ。自身のジムでアームレスリングやパワーリフティング選手の育成指導を行っている。生物学博物館学芸員。
Webメディア「éditeur」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。一部コンテンツは、「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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