筋トレの頻度や種類、効率のよい筋肉のつけ方、正しい順番
この記事は「éditeur」から提供を受けて掲載しています

筋トレの頻度や種類、効率のよい筋肉のつけ方、正しい順番

第37回 【筋トレまとめ】効果を最大化するおすすめのやり方
筋トレ上級者の方でも意識できていないことが多い、正しい筋トレの頻度や順番。初心者の方であればなおさら難しいであろう。正しい筋トレの頻度や順番は、初心者の方から上級者の方まで、改めて確認しておいてほしい。この記事では、筋トレをする上での部位ごとの頻度や、ローテーションの回し方、休養のとり方などを具体的にご紹介する。

筋トレの頻度はどのぐらいがよいか

筋トレには、適切なトレーニング頻度がある。筋トレの効果を出すためには、頻度が高すぎても低すぎても良くない。運動を始めたての初心者は、週2〜3回、スポーツ経験者は週3〜4回ほどがよいだろう。

筋トレと休養は『48〜72時間』のサイクルで

部位やトレーニングの強度にもよるが、主な筋肉は、トレーニング後から約2〜3日(48〜72時間)で修復し、元の筋肉より少し太い状態になる。この状態の時に次のトレーニングを行うと、より効果的に筋力や筋持久力を鍛えることができる。このサイクルを、1回きりではなく定期的に継続して行うことが大切だ。また、トレーニング効果をより引き出すために、適切な休息時間を確保しよう。筋トレにより破断した筋組織は、休息時間中にタンパク質を吸収することで新しい筋組織として修復するからだ。したがって、筋トレ→筋組織の破断→休息時間と栄養補給→筋組織の修復→次の筋トレ(一度目の筋トレから2〜3日後)のサイクルを意識して行おう。

参照記事:

【筋トレは週何回がベスト?】筋肥大とダイエット別に最適な頻度を解説

『筋肉の超回復』で筋トレの効果を上げる

筋トレを行うと筋肉痛が必ず起きるだろう。これは、正式なメカニズムは完全には解明されていないものの、筋トレをすると筋肉を構成する筋繊維の一部が負荷によって破壊され、乳酸が蓄積されるためだと推測されている。一方で筋肉痛を引き起こす動作が何なのかは判明している。伸張性収縮(エキセントリック収縮)という負荷に耐えながら筋繊維の収縮動作を行うことにより引き起こされやすいとされている。例えば、ウエイトの重さに耐えながらゆっくり下ろすような動作を指す。筋トレをしても筋肉痛が得られないという方は、伸張性収縮の動作を意識して行うと良い。このような動作を行ったことで筋繊維が破壊され筋肉痛になった筋肉は、休息時間を経た後に、元の筋肉よりも強く回復する。これを「筋肉の超回復」と呼ぶ。適切な筋繊維破壊と超回復を繰り返すことで、筋繊維を太くする行為こそが「筋トレ」なのである。筋肉の超回復は筋トレ後の約48〜72時間かかると言われている。この間に「食事」「休息」によって栄養を得ることで、筋肉が激しい運動にも耐えられるように自力で修復し、筋トレ以前の体より強くなろうとするのである。

超回復は瞬発筋でも持久筋でも起こる

超回復はこれまで説明してきた通り、筋トレなど強い負荷を受けた筋肉が、その筋繊維破壊から「より強くなって回復する」能力のことである。瞬発筋も持久筋も同じように超回復する。筋トレをすると、瞬発筋が「より強く太く超回復する」特性がある。筋トレという行為は、「意図的に超回復を引き起こす行為」と言えるだろう。

超回復は公的にも証明されている

この「超回復」は、公的にも証明されており、厚生労働省公式ページには以下のように記載されている。
”筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際に元の筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。筋力のトレーニングはこの仕組みを利用して最大筋力に近い負荷でレジスタンス運動し、筋が修復されるまで2〜3日の休息ののち、またレジスタンス運動でトレーニングということの繰り返しによって行われます。” (厚生労働省|e-ヘルスネット)

参照記事:

【筋トレの超回復って嘘?】国の機関でも認められている正しい理論

筋肉部位による超回復の速度

超回復は筋肉の部位により速度が異なる。いったいそれぞれどれくらいの速さで超回復が起きるのだろうか。

超回復の遅さは『大きな瞬発筋>小さな瞬発筋>持久筋』の順

超回復の速さは、筋肉の部位と筋繊維の種類(瞬発筋か持久筋か)で異なる。大きな筋肉(大腿筋群や背筋群など)の瞬発筋は超回復にかかる時間が最も長い。完全に回復するには少なくとも72時間が必要になる。次に超回復に時間がかかるのが、小さな筋肉(大胸筋や上腕筋群など)の瞬発筋。完全に回復するには最低でも48時間が必要である。そして、最も超回復速度が速いのが各筋肉部位の持久筋、つまり前腕筋群・腹筋群・下腿三頭筋(ふくらはぎ)だ。超回復時間は少なくとも24時間かかる。

筋肉グループと筋肉部位別の一般的な超回復時間

筋肉グループと筋肉部位別の超回復時間を以下の表にまとめた。トレーニング頻度を決める際の参考にしてほしい。

こちらは10〜20代の男性が、栄養補給や休養を完璧に行った場合の数値であるため、諸条件により変動する。具体的には、女性や30代以降の男性、栄養学や休息方法を把握していない初心者〜中級者の方は上記の回復時間よりもさらに多くの時間が必要になる場合がある。

参照記事:

【筋トレと超回復の基本理論】筋肉部位ごとの筋肉痛からの回復時間も解説

過度な筋トレは逆効果になる

このように、超回復の時間をしっかりと意識して筋トレを行うことが効果的であることがご理解いただけたと思うが、これを無視して過度な筋トレをしてしまうと逆効果になってしまう。適切な時間休まず適切な栄養も取らずに体に大きな負荷をかけ続けると、疲労は蓄積されていく。そうすると慢性疲労状態となり、この状態をオーバートレーニングと呼ぶ。このオーバートレーニングの状態では、筋肉が発達しにくくなるほか、トレーニングが体への負担となり、かえって疲労を増幅させる可能性もある。休養をとらずに毎日のように筋トレをしてしまうと、超回復を阻害し、筋肉が修復する前にさらに筋繊維を傷つけることになってしまう。筋繊維が傷つき、筋肉痛があるままで筋トレをしても、痛みや疲労で自分に適した負荷を与えられず、筋力トレーニングの効果が乏しくなる。したがって、疲れている時は無理にトレーニングをせずに適切な休息をとろう。自身の状態に合わせて調整することが非常に大事である。

参照記事:

【毎日の筋トレは逆効果か?】筋肥大・ダイエットの目的別の部位分割メニューと頻度を解説

効率よく筋肉をつけるためのポイント

これまで筋トレの「超回復」についてお伝えしてきたが、ここからは効率よく筋肉をつけるためのより詳しいポイントをご紹介する。

部位ごとにローテーションで全身を鍛える

全身の筋肉を一日で鍛えた場合、最低でも48〜72時間(2〜3日)は筋トレの間隔が必要になる。しかし筋トレの頻度が数日に一度だと、非効率になる気がするだろう。その非効率を解消するのが、部位分割法(スプリットトレーニング)だ。全身の筋肉をグループに分け、一週間をかけてローテーションで筋トレをして超回復させる方法である。分割方法例は以下だ。週2回の筋トレ頻度の場合、
・1日目:上半身の押す筋肉群+下半身
・2日目:上半身の引く筋肉群+腹筋群
を行う。
週3回の筋トレ頻度の場合、
・1日目:上半身の押す筋肉群
・2日目:下半身+腹筋群
・3日目:上半身の引く筋肉群
を行おう。

筋トレを夕方に行う

筋トレは夕方に行うのが効果的と言われている。朝は身体や神経が活発に働いておらず運動を活発に行うのに適していない。筋トレは脳や神経が働いている夕方以降に行うのが適している。

身体機能がピークになる時間帯

人の身体機能がピークになるのは昼間から夕方だが、身体機能ごとに少しずつ時間帯が異なる。体温は午後2時ごろ、脈拍は昼過ぎ、血圧は午後2時ごろ、筋力・酸素消費量・肺活量は夕方だ。

質のよい睡眠が成長ホルモンの分泌をうながす

睡眠もトレーニング効果の向上に関わると言われている。特にノンレム睡眠時は成長ホルモンが分泌されると言われているからだ。厚生労働省のデータによると、夕方から夜に運動をするとさ良い睡眠が得られると言われている。筋トレを行う時間帯のコントロールは、睡眠の質にも関与し、最終的にトレーニングの効果にまで結びつく。(出典:社団法人 日本酪農乳牛協会、メディアミルクセミナー)

筋トレを避けるべき時間帯

一方で、筋トレを避けたほうが良い時間帯もある。例えば「早朝」。早朝は、身体が温まっておらず、心拍数や血圧の上昇に繋がり身体に負担がかかってしまう。他にも「食事後すぐ」も筋トレを避けたい時間帯である。前提として、人間の体はその時々で一番必要な機能に血液が供給されるようになっている。食べ物を消化している最中にトレーニングをしてしまうと筋肉に血液が供給され、その結果として胃腸に十分な血液が行きわたらず食べ物の消化がうまく進まないことがある。食後は時間をあけてトレーニングを行おう。食後がダメだからといって、空腹時にトレーニングを行うのも良いアイデアではない。純粋にエネルギー不足の状態だからだ。トレーニングを行う際は、空腹感を感じず、適度に食事から時間を空けて(2時間以上)行おう。

適度な筋トレで筋繊維を傷つける

自分に合った適度な筋トレをすることで筋肉が損傷し、筋肉痛を引き起こす。これが、筋肉が傷つけられた状態である。しかし、筋肉痛は筋損傷した一つの目安であるが、必ずしも筋肉痛を引き起こさないといけないわけではない。したがって筋肉痛はあくまで一つの目安として考えよう。

食事の栄養素に気をつける

食事がトレーニングに重要だと言われている理由は、筋肉を強化する材料と言っても良いタンパク質などの栄養素がしっかりと供給されないとトレーニングの効果が落ちてしまうからだ。トレーニングによって使われるエネルギーは糖質などタンパク質以外の栄養素で確保したい。そうすれば潤沢なタンパク質が筋トレの効果を引き上げてくれる。つまりバランスよく栄養素を摂ることが重要ということだ。筋トレ初心者は、特にタンパク質を補おう。夕食後に筋トレをする場合や、トレーニングから食事までに時間が空く場合は、手軽にタンパク質を補えるプロテインの活用もおすすめだ。筋トレをしない日は食事をおろそかにしがちだが、休息時こそ大切。リカバリーに必要な栄養素をしっかり摂ることを意識しよう。

筋肉のグループ分け

筋トレをする上で最低限知っておかなければならない筋肉の名称や作用がある。全身の筋肉はその連動性から4つのグループに分けられる。上半身の押す筋肉、上半身の引く筋肉、体幹の筋肉、下半身の筋肉の4つだ。

上半身の押す筋肉

主に3つのパーツから成る。

大胸筋

場所:前胸部の最も広く大きい筋肉
構成:上部・下部・内側・外側・中部
作用:腕を前方に押し出すとともに閉じる作用がある。呼吸運動にも関与し、腕の内旋の機能もある。

三角筋

場所:肩にある三角形の筋肉
構成:前部・中部・後部
作用:腕を上・前・横・後ろに上げる作用がある。

上腕三頭筋

場所:上腕の後ろ側の筋肉
構成:長頭・内側頭・外側頭
作用:肘関節の伸展と上腕の内転の作用と肩関節の伸展の機能がある。

上半身の引く筋肉

主に3つのパーツから成る。

僧帽筋

場所:首の後ろ側、肩甲骨の上や肩甲骨の下の筋肉
作用:肩甲骨の上方回旋や肩甲骨を引き下げたり引き上げたりする機能がある。また肩甲骨を寄せる作用もある。

広背筋

場所:背中にある筋肉
作用:上や前から腕を引く機能や腕の内旋の機能がある。

上腕二頭筋

場所:腕の前側の筋肉
構成:長頭と短頭
作用:肘関節の屈曲と前腕の回外、肩関節の屈曲の機能がある。

体幹の筋肉

主に3つのパーツから成る。

腹筋群

場所:腹の筋肉
構成:腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋・腹横筋
作用:体幹を屈曲・回旋させる作用がある。

長背筋群

場所:腰の筋肉
構成:最長筋・多裂筋・脊柱起立筋など
作用:体幹の伸展と姿勢の維持の作用がある。

股関節深層筋

場所:骨盤の筋肉
構成:腸腰筋群(大腰筋・小腰筋・腸骨筋)や内転筋群(大内転筋・小内転筋・長内転筋・短内転筋)など
作用:股関節の屈曲や内転、股関節の外旋・骨盤の前傾の機能がある

下半身の筋肉

主に4つのパーツから成る。

大腿四頭筋

場所:大腿の前側の筋肉
構成:大腿直筋・中間広筋・外側広筋・内側広筋
作用:膝関節を伸展させる作用、大腿直筋には股関節の屈曲の機能がある。

ハムストリング

場所:大腿の後ろ側の筋肉
構成:大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋
作用:膝関節を屈曲させ、股関節を伸展させる機能がある。

臀筋群

場所:下腿の筋肉
構成:下腿三頭筋・前脛骨筋など
作用:足首関節の屈曲伸展などの作用、膝関節の屈曲の機能がある。

筋繊維の種類と負荷回数設定

筋繊維には、速筋FGタイプ、速筋FOタイプ、遅筋SOタイプの三種類があり、筋トレの目的(筋肥大・引き締め・ダイエット)ごとで、ターゲットにする筋繊維に効果的な負荷や回数設定が異なる。

速筋FGタイプ

最も瞬発的な収縮をする筋繊維で、鍛えると強く筋肥大する。そのため筋肥大筋トレのターゲットになる。10回以下の反復回数で限界がくる負荷設定で鍛えよう。

速筋FOタイプ

比較的強い収縮をする筋繊維である。15回前後の反復回数で限界がくる負荷設定で鍛えることができる。

遅筋SOタイプ

持久的な長時間の連続収縮を行う筋繊維。20回以上の反復回数で限界がくる負荷設定で鍛えることが可能だ。

参照記事:

【筋肉部位名称スマホ完全図鑑】胸・背中・腕・腹・下半身・インナーマッスルの名前と鍛え方

参照記事:

【筋トレの回数(レップ数)設定】筋肥大やダイエットなど目的別の1セットレップ数の目安を解説

基本的な筋トレの種類と特徴

基礎的な知識がついたところで、ここからは筋トレの種類と特徴に関してご紹介していく。

自重トレーニング

まずは自重トレーニング。腕立て伏せなどに代表される自分の体重を負荷に使ったトレーニングである。場所を選ばずどこでもできるのが長所である一方、複数の関節と筋肉を同時に動かすコンパウンド種目しかなく、筋肉を個別に鍛えることができないのが短所だ。

腕立て伏せ

腕立て伏せは、大胸筋を鍛えることができるトレーニングだ。さらに、地面につく手の幅を広げると大胸筋に効きやすくなり、手の幅を狭めると上腕三頭筋や三角筋の前部も鍛えることができる。
やり方は4ステップ。
1.肩幅より少し広く手を置き、肩甲骨をしっかりと寄せ、背すじを真っ直ぐにする
2.肩甲骨を寄せたまま、背すじも真っ直ぐに保って身体を下ろす
3.身体を下ろしたら、反動を使わずに肘を伸ばして身体を上へ押し上げる
4.身体を押し上げたら、やや顎を引いて大胸筋を完全に収縮させる。
ポイントは動作中に、お腹を突き出したり、腰を曲げたりしないようにすることだ。

懸垂

懸垂は、背中の筋肉、とくに広背筋・僧帽筋を鍛えるトレーニングだ。やり方は4ステップ。
1.肩幅よりやや広く懸垂バーを握って構える。
2.上を見て、肩甲骨を寄せながら肘を曲げて身体を引き上げる。
3.肘が直角になるところまで身体を引き上げる。
4.肩甲骨を寄せて背筋群を収縮させる。
5.筋肉を使い身体を下ろし、再び身体を引き上げていく。

自重スクワット

自重スクワットは、大腿四頭筋・ハムストリング・大臀筋の全体をまんべんなく鍛えることができるトレーニングだ。やり方は3ステップ。
1.背すじを真っ直ぐにし、足を肩幅程度に開いて構える。
2.胸を張り、膝がつま先よりも前に出ないように、かつつま先と膝の向きが同じになるように保ち、お尻を突き出しながら少し斜め後ろにしゃがんでいく。
3.太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、背中が丸まらないように注意して立ち上がる。

チューブトレーニング

チューブトレーニングは単一の関節と筋肉だけを使うアイソレーション種目が豊富で、個別に筋肉を鍛えられるのが長所だ。一方で、高負荷で鍛えることができない点は短所になる。

ダンベルトレーニング

ダンベルトレーニングは、複数の筋肉を同時に高重量で鍛えるコンパウンド種目から、個別で筋肉を鍛えるアイソレーション種目まで種目数が豊富なのが一番の長所だ。また、ジムに行かずとも自宅で行えるのも大きなメリットだろう。一方で、片手でウエイトを保持するため安定感がなく、バーベルやマシンでの筋トレに比べると高重量が扱いにくくなるのが短所だ。また、ダンベルやベンチ類など器具をそろえなくてはならないのもデメリットの一つといえる。

ダンベルプレス

ダンベルプレスは、大胸筋全体を鍛えるトレーニング。やり方は4ステップ。
1.ベンチに仰向けになり、肩甲骨をしっかりと寄せ、胸の上にダンベルを上げる。
2.肩甲骨を寄せたまま、ダンベルを下ろしていく。この時肩のラインよりも頭側には下ろさないように注意する。
3.ダンベルをできるだけ深く下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま、腰を浮かせないように注意してダンベルを押し上げる。
4.ダンベルを押し上げたら、軽く顎を引いて大胸筋を完全に収縮させる。
ポイントは、常に手首の真下に肘がくるように動作すること。そのウエイトは前腕骨の上に乗せるイメージで行おう。もう一つの大事なポイントは、セット中は常に肩甲骨を寄せておくということだ。この肩甲骨の寄せ方が甘いと、ダンベルを押し上げる初動が小さな筋肉である三角筋(肩)にかかってしまい、肩を痛めるリスクがある上、大胸筋に十分に負荷をかけることができなくなる。

ダンベルローイング

ダンベルローイングは、僧帽筋・広背筋だけでなく、二次的に長背筋群(脊柱起立筋など)も鍛えることができる初心者向けのトレーニングだ。やり方は4ステップ。
1.片手をベンチについて、もう片手を伸ばした状態でダンベルを持って構える。
2.背中が丸まらないように肩甲骨を寄せながらダンベルを引き上げていく。脇を締めて肘を後ろに引くようにする。
3.ダンベルを引き上げたら、肩甲骨をしっかりと寄せて背筋群を完全に収縮させる。
4.ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻る。

ダンベルスクワット

ダンベルスクワットは、大腿四頭筋を中心に下半身全体(大腿二頭筋・臀筋群など)を鍛えるトレーニングだ。やり方は3ステップ。
1.ダンベルを両手に持ち、足を肩幅程度に開いて構える。
2.胸を張り、膝がつま先よりも前に出ないように、お尻を突き出しながら少し斜め後ろにしゃがんでいく。膝が内側に入らないように、つま先と膝が同じ方向を向くようにする。
3.太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、背中が丸まらないように注意して、上を見ながら立ち上がる。
ポイントは、胸を張り背中が丸まらないように真っ直ぐにしお尻を突き出した状態で膝がつま先より前に出ないようにすること。また、下を見ると背中が丸まって腰に負担がかかるので、やや上方を見て動作しよう。

バーベルトレーニング

バーベルトレーニングは、ウエイトトレーニングの基本とも言える筋トレ方法で種目数も豊富な上、高負荷で鍛えられるのが長所だ。一方で、バーベル以外にもベンチ類・ラック類などの器具をそろえる必要があるため、ジムで行うかホームジムを作る必要があり、コストがかかることが短所といえる。

バーベルベンチプレス

バーベルベンチプレスは上半身の押す動作の筋肉、つまり大胸筋・三角筋・上腕三頭筋を鍛えることができるトレーニングだ。やり方は5ステップ。
1.ベンチに仰向けになり、肩甲骨を寄せ、シャフトをグリップして構える。
2.バーベルをラックアウトしたら、そのまま水平に胸の真上まで移動させる。
3.筋力でコントロールしてシャフトを胸の上に下ろす。
4.肩甲骨をしっかりと寄せたままバーベルを押し上げる。
5.バーベルを押し上げたら、少し顎を引いて大胸筋を完全に収縮させる。
ポイントは、完全に肘が伸びるポジションまでバーベルを押し上げずに、やや肘が曲がり筋肉に対する負荷が抜けない位置(肘を伸ばしてロックしない位置)で折り返すようにすることだ。バーベルベンチプレスは死亡事故につながりやすいことも事実だ。初心者の方は基本的に補助者がついていないとやらないほうがいい。一人で行う際は必ずセーフティーバーを設定することも勧める。

バーベルデッドリフト

バーベルデッドリフトは、背筋群(広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋)、大腿二頭筋(ハムストリング)、臀筋群など広範囲に渡って鍛えることができるトレーニングだ。やり方は5ステップ。
1.足を肩幅程度に開き、胸を張り、膝がつま先よりも前に出ないように少しお尻を引いて、足の外側でシャフトをグリップする。
2.背中が丸くならないよう、上を見て、まずは脚力で床からバーベルを浮かせる。
3.バーベルが浮いたら、背中の筋力も使ってバーベルを引き上げていく。
4.バーベルを引き上げたら、肩甲骨を寄せきって背筋群を完全に収縮させる。
5.ある程度、筋力でコントロールしながら元に戻る。
ポイントは、背中を丸めないことと、膝を突き出さないことの二点。バーベルデッドリフトは高重量で爆発的に背筋を鍛える反面、間違ったフォームで行うと腰椎や膝関節に大きな負担がかかるため、注意が必要だ。

バーベルスクワット

バーベルスクワットは、太ももの前側の大腿四頭筋、太ももの裏側のハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)、尻の筋肉・臀筋群を鍛えることができるトレーニングだ。また、二次的にふくらはぎの筋肉・下腿三頭筋や体幹インナーマッスル(腹筋群・脊柱起立筋)など広範囲を鍛えることができる。やり方は3ステップ。
1.肩幅程度に足を開き、胸を張って肩にバーベルを担いで構える。
2.膝がつま先よりも前に出ないようにお尻を後ろに引き、上半身は前傾姿勢をとりながらしゃがんでいく。つま先と膝が同じ方向を向くようにする。
3.太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、背中が丸くならないように上を見て立ち上がる。
ポイントは、首よりもやや下の僧帽筋にバーベルを乗せ、胸を張り背中をやや反らせるように担ぐこと。そしてそこから、膝がつま先よりも前に出ないことに注意してしゃがんでいくが、真下にしゃがむのではなく、椅子に座るような軌道で尻を斜め後方に突き出しながらしゃがむことが大切だ。

マシントレーニング

マシントレーニングは、正しいフォームをマシンが導いてくれるのでウエイトの挙上のみに集中でき、バーベルよりもさらに高負荷で鍛えられる点が長所だ。一方でブレを止めるための体幹インナーマッスルが鍛えにくい点やネガティブ動作で負荷が軽くなることが欠点だ。

マシンチェストプレス

マシンチェストプレスは、大胸筋を中心として三角筋(前部)や上腕三頭筋を鍛えられるトレーニングだ。やり方は5ステップ。
1.グリップが肩関節よりも下になるようにシートの高さを調整する。
2.マシンに座り、肩甲骨を寄せてバーをグリップする。
3.肩甲骨を寄せたまま、腕を前に押し出す。
4.腕を前に押し出したら、少し顎を引いて大胸筋を完全に収縮させる。
5.ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻る。
肩甲骨を開放し、拳が肩関節より上にくるポジションで動作を行うと、肩関節に負担がかかるので、シートやマシンアームを事前に調整して行おう。

ケーブルローイング

ケーブルローイングは僧帽筋、広背筋中央部、広背筋側部を鍛えることができるトレーニングだ。また、二次的に長背筋群や上腕二頭筋にも効果がある。やり方は4ステップ。
1.シートに座り、前傾姿勢になり、腕を伸ばした状態でバーをグリップして構える。
2.上半身が床と直角になるまで、腕を伸ばしたまま上半身を起こす。
3.上半身を起こしたら、後ろに傾けないように注意し、肘を曲げてバーを引き寄せていく。
4.バーをお腹の位置まで引き寄せたら、引くときと同じ軌道・フォームでゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻る。
ポイントは、フィニッシュポジションで胸を張り、肩甲骨を寄せきり背筋群を最大収縮させること。上体は90度からやや後ろに倒す程度にするように心がけよう。

マシンレッグプレス

マシンレッグプレスは、太ももの前側の筋肉である大腿四頭筋を中心として、太ももの裏側のハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋・大臀筋)を鍛えることができるトレーニング。男性の力強い下半身作りに有効だ。レッグプレスは、マシンによって軌道が固定されているため動作のブレが無く、高負荷をかけられるのが長所である。やり方は3ステップ。
1.つま先より上に膝がこないようにシートを調整して構える。
2.膝を伸ばしてフットプレートを押し上げる。
3.膝が少し曲がったところでフットプレートを押し上げたら、ゆっくりと筋肉に負荷をかけながら元に戻る。

バランスボールトレーニング

バランスボールは、不安定なので体幹インナーマッスルを鍛えることができる。ボールの反発力を動作の補助に使うことで、体力に自信のない初心者や女性でもトレーニングに取り組めるのが長所だ。しかし、高負荷でトレーニングができない点は短所と言える。

ケトルベルトレーニング

ケトルベルトレーニングは、グリップとウエイトの重心の位置がずれるため、通常のウエイトトレーニングとは違った刺激で体幹を鍛えられる点が長所だ。一方で、動作に広い面積が必要なことと、種目数が少ないのが短所となっている。

参照記事:

筋トレの種類と特徴|自重・ダンベル・バーベル・マシン・体幹トレーニングほか比較解説

筋トレの正しい順番

筋トレを安全に効率的に行うためには、正しい順番を理解してトレーニングを行う必要がある。順番を間違えると、一部の筋肉だけが疲労して全体を鍛えられなかったり、突然一部の筋肉の力が抜けて非効率かつ危険だったりするため、正しい順番を理解して行うことが大切だ。筋トレの正しい順番は以下のとおりである。
1.コンパウンド種目(複合関節運動)→アイソレーション種目(単関節運動)
2.高重量種目→低重量種目
3.大きな筋肉の種目→小さな筋肉の種目

参照記事:

筋トレの正しい順番|基本理論と各筋肉部位別の具体例も解説

筋トレを行うときのポイント

では最後に、実際に筋トレを行うときのポイントをご紹介する。

筋トレの目的ごとに負荷と回数を変える

筋トレの負荷と回数は目的に合わせて変えていくことが大切だ。初心者の方の場合、回数をむやみに増やしていく方もいるだろうが、そういう場合は無理のない範囲で重量を増やしていく手段もある。以下では、筋トレの目的ごとの負荷と回数をご紹介する。

筋力向上が目的

純粋な筋力向上が目的の場合は、少ない回数で限界が来る程度の負荷を設定したい。3~6回程度が良いだろう。単純にパワーを付けたい、スポーツで良い結果を出したいという場合があてはまる。

筋肥大が目的

身体を大きくするための筋肥大を主な狙いとするならば、筋力向上に比べて少し多めの7〜12回程度で限界となる負荷を設定するとよい。

筋持久力が目的

疲れにくい身体を手に入れるには筋持久力が必要だが、それを目的とする場合には重量を増やすことはせずに回数を増やしていくとよい。

筋トレの強度を増やす工夫

強度設定を考えるためには、「過負荷の原則」を知ることが大切だ。「過負荷の原則」とは、ずっと同じ刺激量のトレーニングでは身体は成長せず、負荷を増やしていくことで成長するという理論である。例えば、5回で限界になる10kgの重量を使い続けると、効果はだんだん表れなくなる。したがって身体を成長させたいのであれば、負荷を増やし続けよう。

セット間の休憩時間を短くする

筋トレの目的によってインターバルの時間も変わる。筋力向上の場合、2〜3分。筋肥大の場合60~90秒。筋持久力向上の場合30秒ほどのインターバルが一般的。

可動域をできるだけ大きくする

動作は大きくすればするだけ筋肉に満遍なく負荷がかかることになる。つまり可動域は大きくした方が良いということだ。重すぎる重量を使ってフォームが乱れるより、しっかり可動域を大きく使ってトレーニングしたほうが効果的だ。

動作スピードをゆっくりする

実は、ゆっくりとした動きの方が筋肉には大きな刺激を与えることができる。トレーニングでも回数を焦って急いで反復を行うのではなく、筋肉への負荷を感じながらゆっくりと動くことを意識したい。

監修者HP:上岡 岳

一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟

今回のアドバイザー

上岡 岳
上岡 岳
一般社団法人JAWA日本アームレスリング連盟常任理事
アームレスリングの元日本代表でアジア選手権マスターズ90kg級3位などの戦績を持つ。自身のジムでアームレスリングやパワーリフティング選手の育成指導を行っている。生物学博物館学芸員。
アームレスリングの元日本代表でアジア選手権マスターズ90kg級3位などの戦績を持つ。自身のジムでアームレスリングやパワーリフティング選手の育成指導を行っている。生物学博物館学芸員。
Webメディア「éditeur」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。一部コンテンツは、「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
Webメディア「éditeur」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。一部コンテンツは、「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。