自重トレーニングとは
そもそも自重トレーニングとは何か。ウエイトトレーニングとの違い、メリットやデメリットなども併せて解説する。
自重トレーニングとウエイトトレーニング
自重トレーニングとウエイトトレーニングの大きな違いは、「マシンや器具を利用するか・しないか」といえる。以下で詳しく見ていこう。
自重トレーニング
自重トレーニングとは、自分の体重のみの負荷を利用して、身体を鍛えるトレーニング方法。床での腕立て伏せや腹筋などが有名だ。一度は体験したことがある方も多いだろう
ウエイトトレーニング
一方、ダンベルやジムマシンなどの器具を利用し、高負荷をかけて行うトレーニングをウエイトトレーニングという。狙った筋肉にしっかり焦点を当てることで、筋肥大・筋力アップを効率よく行える。
自重トレーニングのメリット
それでは、自重トレーニングのメリットはなんだろうか。以下に5つ挙げるので、自重トレーニングの良さを知っておこう。
お金がかからない
ジムに通ったり、器具などを準備したりするためには、どうしても月会費や購入金などがかかってしまう。その点、自重トレーニングは、自宅で器具なしでできるため、お金がかからない。
怪我の心配が少ない
ジムのマシンやトレーニング器具は、大型で重量のものが多く、初心者にとっては扱いが難しい。反面、自重トレーニングは自分以上の負荷がかからないため、怪我の危険が少ない。また自分の身体なのでコントロールしやすく、筋肉や関節を傷めにくい。
場所を問わない
自重トレーニングは、身体ひとつあればどこでも、場所を問わず行うことができる。
時間がかからない
仕事帰りや休日など、わざわざ時間を割く必要があるジム通いに比べて、自重トレーニングは通う時間や準備などもいらず、忙しいビジネスパーソンでも日常に取り入れやすい。
続けやすい
上記のメリットから、気軽に行えるのが自重トレーニングといえる。気軽に取り組めるトレーニングは「継続できる」。トレーニングはなんといっても継続できるかが肝心だ。自然と体幹が鍛えられ、スポーツに活かしやすい。日常で体を支えるのが楽になるし、例えばダンベルプレスでは大胸筋だけに行くが、プッシュアップを行うと前鋸筋や広背筋まで筋肉痛になる。レッグプレスマシンでは中殿筋や内転筋はあまり関与しないが、自重でのランジではそれらを強く使うことが出来るのだ。
自重トレーニングのデメリット
自重トレーニングにはメリットもあればデメリットもある。双方を踏まえた上で、自分のなりたい身体やライフスタイルを思い描き、上手に取り込んでいくのがベストだろう。
高負荷がかからない
自重トレーニングは、自分の体重以上の負荷をかけることができない。ダンベルやバーベルなどの重さを超えることができないため、ウエイトトレーニングに比べて筋肥大化や筋力アップに繋がりにくいといえる。自重以上の筋肥大は難しい。
バランスよく鍛えづらい
自重トレーニングは、ウエイトトレーニングよりも種目やメニューが限られている。したがって、鍛えられる部位や与えられる刺激も限られるため、全身をくまなく強化したい場合は工夫が必要となる。
筋肥大に時間がかかる
ウエイトトレーニングよりも低負荷のため、筋肥大にそれなりの時間がかかる。早く筋肥大したい人は、ウエイトトレーニングを取り入れるのがいいだろう。逆に筋力が弱い人の場合、自重でも重すぎて出来ない場合がある(プッシュアップやリバースプッシュアップ)。その場合もダンベルのほうが自重より軽い負荷で正しく運動ができる。
参照記事:
自重トレーニングのみで鍛えるメリットとデメリット|基礎知識も解説
自重トレーニングを始める前に知っておきたいこと
実際に自重トレーニングを行うにあたり、むやみに始めても効率の良い筋トレとはならない。休息の取り方など知らずに行うと、場合によっては逆効果となるケースもあるため注意したいところだ。まずは、筋トレの基礎知識から押さえよう。
筋トレの基礎知識
オールアウト、RM、超回復、という言葉を耳にしたことはあるだろうか。これらは筋トレをする上で欠かせないキーワード。早速チェックしてみよう。
オールアウト
「オールアウト」とは、ターゲットとしている筋肉が疲労困憊し、一回も上がらなくなる状態をいう。例えば、腕立て伏せで最後の一回が上がらなくなるまで追い込むこと。筋トレは慣れてくるとオールアウトしなくなってくるため、自重トレーニングでは特に「回数を増やす」ことで負荷を与えていくことが必要となる。
RM
RMとはRepetition Maximumの略で、最大反復回数、つまり繰り返して行える最大の回数をいう。5RMとは、5回はできるけど6回は出来ない(=オールアウト)状態のこと。腕立て伏せでいえば、5回まで身体が上がるが6回目は上がらないという状態。
超回復
筋トレによって負荷を受けた筋肉は、筋繊維が破壊される。回復するときに負荷を受ける前よりも強くなって回復する能力を「超回復」という。超回復までには1〜3日かかり、その間は休息が必要とされている。この超回復をうまく活用することで、筋肉を効率良く成長させることができるといわれている。
自重トレーニングの強度・筋肥大について
どれくらいの強度が必要か
自重トレーニングは低負荷のため、できるだけ限界まで追い込むことが肝心。回数を増やすなどし、常に限界を迎えられるよう意識して行うことが大切だ。
筋肥大するか、限界はあるか
自重トレーニングであっても、筋肥大しマッチョになることも可能といえる。体重80kgの人が懸垂すれば、80kgのラットプルダウンに相当すると言われている。だが、低負荷のためウエイトトレーニングに比べて筋肥大化は遅い。オールアウトやRM、超回復期間などを意識しながら、回数、フォームなどを工夫することが必要だ。
筋肥大のための回数
10回程度でオールアウト(=10RM)できるように調整するのが筋トレの基本といわれているが、筋繊維の種類によって設定回数が異なる。ここでは、筋繊維の種類を詳しく見ていこう。
1)速筋繊維TYPE2b
約10秒以内の短時間に瞬発的な収縮をする筋繊維。鍛えると強く筋肥大する。10回前後の回数で限界がくる重量設定で鍛える。
2)速筋繊維TYPE2a
30~60秒ほどの持続的かつ瞬発的な収縮をする筋繊維。鍛えると程よく筋肥大する。15回前後の回数で限界がくる重量設定で鍛える。
3)遅筋繊維TYPE1
60秒以上の持久的な収縮をする筋繊維。鍛えると筋密度が向上し引き締まる。20回以上の回数で限界がくる重量設定で鍛える。
筋肥大目的ならば、1)の10回前後の反復回数で限界がくるように、ウエイトを身体につけるかゆっくりした動作で行う。腹筋とふくらはぎは、遅筋繊維がとても多いため、20回程度の回数で鍛えていくのが一般的だ。
参照記事:
【最強自重トレーニングメニュー】筋肥大する鍛え方と一週間のプログラム例
全身の筋肉部位と名称
全身の筋肉は、その連動性・共働関係から以下のようにグループ分けすることができる。
上半身プレス系
上半身プル系
体幹周辺
下半身
自宅でできる部位別自重トレーニング大まかな筋肉部位を学んだところで、いよいよ部位のトレーニング実践方法をご紹介する。
大胸筋
分厚い胸板を手に入れるには欠かせない、大胸筋のトレーニング。鉄板の腕立て伏せにも様々な種目が存在する。
腕立て伏せ
背筋をまっすぐに維持したまま行う。手幅を大きく広げれば三角筋前部に、手幅を狭めれば上腕三頭筋への負荷が高まる。
<方法>
1.肩幅より広めに手を置く。
2.膝をつかずに足を伸ばし、肩甲骨をよせ、背筋をまっすぐにして構える。
3.肩甲骨を寄せ、背すじを真っ直ぐにキープしたまま身体を下ろしていく。
4.肘を伸ばして身体を押し上げる。
膝付き腕立て伏せ
通常の腕立て伏せを行えない方におすすめ。
<方法>
1.肩幅より広めに手を置く。
2.膝をつき、肩甲骨を寄せ、背すじを真っ直ぐにして構える。
3.肩甲骨を寄せ、背すじを真っ直ぐにキープしたまま身体を下ろしていく。
4.肘を伸ばして身体を押し上げる。
足上げ腕立て伏せ
大胸筋上部とともに、三角筋と上腕三頭筋にも効果がある。
<方法>
1.肩幅より広めに手を置く。
2.足を台などの上に乗せる。
3.肩甲骨を寄せて、背すじを真っ直ぐにして構える。
4.肩甲骨を寄せ、まっすぐな背筋をキープしたまま身体を下ろしていく。
5.肘を伸ばして身体を元の高さまで押し上げる。
斜め腕立て伏せ
腰を突きだしたり背中を丸めたりすると、通常の腕立て伏せと変わらなくなるので、少しお腹を突きだすように行うとよい。
<方法>
1.台の上に、肩幅より少し広めに手を置く。
2.肩甲骨を寄せ、背すじを真っ直ぐにして構える。
3.姿勢をキープしたまま身体を下ろしていく。
4.肘を伸ばして身体を押し上げる。
片手腕立て伏せ
プッシュアップ種目系でも強度の高い筋トレ法。身体のバランスのとり方がポイント。大きく足を開き、空いた片手はみぞおち付近に添えるとよい。
<方法>
1.足を大きく開き背すじを真っ直ぐにする。
2.身体の中央に手を置いて構える。
3.肩甲骨を寄せ、背すじを真っ直ぐにキープしたまま身体を下ろしていく。
4.肘を伸ばして身体を押し上げる。
ディップス
大胸筋下部や、上腕三頭筋に効果大。身体を下ろす時に、少し前かがみで行うのがポイント。
<方法>
1.バーを握り、背すじを伸ばし、足を床から浮かせて構える。
2.前傾姿勢で脇をしめて身体を斜め前に下ろしていく。
3.上腕が床と平行になるまで身体を下ろす。
4.肩甲骨を寄せて肘を伸ばし、身体を押し上げる。
参照記事:
【大胸筋の鍛え方自宅編】自重・チューブ・ダンベルでの上部・下部・内側の筋トレ
三角筋
肩の関節を覆う三角形の大きな筋肉である。逆立ち腕立て伏せや、ダイヤモンド腕立て伏せなど、主にプッシュアップ系のトレーニングで強化することができる。
パイクプッシュアップ
大きく腰を曲げた状態で腕立て伏せの動作を行うトレーニング。上方へ腕を押し出す軌道で行うことがポイント。
<方法>
1.手を肩幅よりも少し広く置く。
2.肩甲骨を寄せ、腰を大きく曲げて構える。
3.肩甲骨を寄せたまま、斜め前方に身体を下ろしていく。
4.肘が直角になるまで身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せ、斜め後ろに身体を押し上げる。
足上げパイクプッシュアップ
足を台の上に乗せることで、通常のパイクプッシュアップよりも強い負荷をかけられる。
<方法>
1.手を肩幅よりも少し広く置く。
2.足を台に乗せる。
3.肩甲骨を寄せ、腰を大きく曲げて構える。
4.肩甲骨を寄せたまま、斜め前方に身体を下ろしていく。
5.肘が直角になるまで身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま、斜め後ろに身体を押し上げる。
逆立ち腕立て伏せ
倒立した状態で腕立て伏せの動作を行うトレーニング。
<方法>
1.逆立ちをする(壁などを利用して良い)
2.肘が身体の後ろ側に入らないようにしながら、身体を下ろしていく。
3.肩甲骨を寄せ、肘を伸ばして身体を押し上げる。
ワイドスタンスでの腕立て伏せ
通常の腕立て伏せよりも手幅を広く構えることで、大胸筋外側と三角筋前部に強い刺激を与えることができる。
ネガティブ懸垂
下げる動作のみにフォーカスした種目。三角筋後部を直接的に鍛える自重トレーニング種目ではないが、懸垂で身体を下ろす時に耐える動作で三角筋後部をトレーニングすることが可能。
参照記事:
【三角筋の鍛え方自宅編】自重・チューブ・ダンベルでの肩の筋トレ
上腕三頭筋
腕を伸ばしたときに浮き出る上肢の筋肉。肘の伸展を行う大切な部位。
ダイヤモンド腕立て伏せ
親指と人差し指でダイヤモンド型を作って行うトレーニング。手首に負担もかかりにくい。
<方法>
1.親指と人差し指でダイヤモンド形を作って手を置く。
2.肩甲骨を寄せ、背すじを真っ直ぐにして構える。
3.肩甲骨を寄せたまま、背すじも真っ直ぐにキープしたまま身体を下ろしていく。
4.反動を使わずに肘を伸ばして身体を押し上げる。
ベンチディップス
肘を開き気味に行うことで、上腕三頭筋の外側を強化する。閉じ気味で行うと上腕三頭筋の内側に効く。
<方法>
1.身体の後ろ側で手をつき、肩甲骨をしっかりと寄せて構える。
2.肘が開かないように脇を締める。身体を真下に下ろしていく。
3.上腕が床と並行になるまで身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま、同じ軌道で元に戻る。
膝付きダイヤモンド腕立て伏せ
膝をつけて行うダイヤモンド腕立て伏せ。
<方法>
1.親指と人差し指でダイヤモンド形を作って手を置く。
2.肩甲骨を寄せ、背すじを真っ直ぐにして、膝をついて構える。
3.肩甲骨を寄せたまま、背すじも真っ直ぐにキープしたまま身体を下ろしていく。
4.肘を伸ばして身体を押し上げる。
参照記事:
【上腕三頭筋の鍛え方自宅編】自重・チューブ・ダンベルでの長頭と短頭の筋トレ
背筋群
主に広背筋、脊柱起立筋、僧帽筋などから構成される、人間の背中側の部分。姿勢を保つために重要なパーツである。
斜め懸垂(インバーテッドロウ)
懸垂ができない人や背筋トレーニングのアップとして最適。
<方法>
1.机の下に仰向けに入り、机の縁をつかんで構える。
2.肩甲骨を寄せながら、肘を曲げて身体を引き上げていく。
3.肘が直角になるまで身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せて背筋群を収縮させる。
シーツを使った斜め懸垂
角度を自由に調整できるため、筋力のない人でも無理なく鍛えられる。
<方法>
1.ドアにシーツを挟み、シーツを掴んで身体を傾けて構える。
2.肩甲骨を寄せながら、肘を曲げて身体を引き上げる。
3.肘が直角になるまで身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せて背筋群を収縮させる。
懸垂
僧帽筋・広背筋とともに上腕二頭筋も強化する。特に広背筋側部に効果が高く、逆三角形の上半身作りに欠かせない。
<方法>
1.肩幅よりやや広く懸垂バーを握って構える。
2.上を見て、肩甲骨を寄せながら肘を曲げて身体を引き上げる。
3.肘が直角になるまで身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せて背筋群を収縮させる。
パラレル懸垂
僧帽筋・広背筋といった背筋とともに、上腕二頭筋・上腕筋にも効果がある。特に僧帽筋と広背筋中央部に効き、分厚い上半身作りには欠かせない。
<方法>
1.肩幅よりやや広く懸垂バーを握って構える。
2.上を見て、肩甲骨を寄せながら肘を曲げて身体を引き上げる。
3.肘が直角になるまで身体を引き上げたら、肩甲骨を寄せて背筋群を完全に収縮させる。
バックエクステンション
インナーマッスルの長背筋群を強化。長背筋群は体幹を伸展させる作用と姿勢を保つ作用をもち、大変重要な部位である。
<方法>
1.床にうつ伏せになり構える。
2.上半身をゆっくりと起こし、元に戻る。
3.反動を使わずに、再び上半身を起こしていく。
参照記事:
【背筋の鍛え方自宅編】自重・チューブ・ダンベルでの広背筋・僧帽筋・脊柱起立筋の筋トレ
上腕二頭筋
通称「力こぶ」と呼ばれる、上肢の筋肉。前腕の屈曲の作用を持つ。
逆手懸垂
上腕二頭筋をターゲットにして行う場合は、少し背中を丸め、腕の力だけで身体を引き上げるのがポイント。
<方法>
1.懸垂バーを肩幅程度の広さで逆手で握って構える。
2.肩甲骨を寄せずに腕の力だけで身体を引き上げる。
3.筋肉に負荷をかけながら身体を下ろす。
参照記事:
【上腕二頭筋の鍛え方自宅編】自重・チューブ・ダンベルでの長頭と短頭の筋トレ
腹筋群
表層から順に腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の四層構造をしている。引き締まったウエスト作りには、ここの強化が欠かせない。
フロントプランク
腹筋トレの強化にもおすすめの体幹トレーニング。
<方法>
1.うつ伏せになって、前腕を床について、背すじを真っ直ぐにして構える。
2.そのままの姿勢でしばらく静止する。
クランチ
特に腹直筋上部に効果的な種目。
<方法>
1.床に仰向けになり、膝を直角に曲げて構える。
2.息を吐きながらお腹を上から床に押しつぶすように上半身を起こしていく。
3.上半身を起こしたら、息を全て吐いて顎を引く。
レッグレイズ
腹直筋下部に効果的。
<方法>
1.床に仰向けになり、足を床から少し浮かせて構える
2.脚を床から45度程度まで上げる
3.息を全て吐いて顎を引く。
リバースクランチ
腹直筋下部に効果あり。足をあまり動かす必要がなく、腹筋運動が苦手な人でも取り組みやすい。
<方法>
1.床に仰向けになり、足を真上に上げて構える。
2.腰を浮かせてお腹を上から床に押しつぶすように足を高く上げていく。
3.息を全て吐いて顎を引く。
クランチツイスト
腹斜筋を強化する。
<方法>
1.床に仰向けになり、膝を直角に曲げて構える。
2.息を吐きながらお腹を上から床に押しつぶすように上半身を起こしていく。
3.腰を大きく左右に捻り、息を吐く
4.ゆっくりと元に戻る。
参照記事:
【腹筋を割る自宅筋トレ】最短期間でシックスパックになるメニューと食事
下半身
大腿四頭筋、大殿筋、ハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)などから構成。筋肉の多くは下半身を占めているとされるため、下半身を鍛えることで代謝の高い体が作られ、バランスのよい身体に仕上がる。また、筋肉量は集中力にもつながるため、仕事のパフォーマンスも上がる。
スクワット
大腿四頭筋を中心にハムストリング・臀筋群・下腿筋群など下半身全体に効果がある。下半身の大きな筋肉全体に効率的に負荷をかけることができる。正しい姿勢作りにも役立つ。
<方法>
1.背すじを真っ直ぐにし、足を肩幅程度に開いて構える。
2.胸を張り、お尻を突き出しながら少し斜め後ろにしゃんでいく。
3.太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、上を見ながら立ち上がる。
シシースクワット
大腿四頭筋を強化。上半身を後ろに傾けることで大腿四頭筋に負荷を集中させるトレーニング。
<方法>
1.柱などを持ち、上半身を後ろに反らせてバランスを取る。
2.つま先立ちになり、膝を突き出すように曲げて上半身を後ろに倒していく。
3.膝が直角になるまで上半身を後ろに倒したら、大腿四頭筋に力を入れて立ち上がる。
ブルガリアンスクワット
下半身後面、つまりハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)および臀筋群に高い効果がある。前足を軸にして動作を行うと、大腿四頭筋に高い負荷をかけることができる。
<方法>
1.片足を大きく前に出し、片足を後ろの台に乗せて構える。
2.前足のみを使って少し斜め後ろにしゃがんでいく。
3.前の脚の太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、後ろの脚に力を入れて元の位置まで立ち上がる。前足のみで立ち上がったほうがいいです。
ワイドスクワット
太もも内側の内転筋群をターゲットにしたトレーニング。つま先立ちで行えば、下腿三頭筋にも効く。
<方法>
1.足を大きく開き、背すじを真っ直ぐにして構える。
2.膝とつま先の向きを揃え、真下にしゃがんでいく。
3.太ももが床と並行になるまでしゃがんだら、背中が丸まらないように上を見て立ち上がる。
ランジ
ハムストリングや臀筋群といった下半身後面に効果的。フロントランジは大腿四頭筋の負荷もかなり大きい。
<方法>
1.背すじを真っ直ぐに保ち、足を前後に開いて構える。
2.腰を下ろしていく。
3.前にした脚の太ももが床と並行になるまでしゃがんだら、後ろの脚に力を入れて立ち上がる。
サイドランジ
太もも内側の内転筋群や大腿四頭筋外側に効果的。筋力アップだけではなく、柔軟性や、股関節の可動域も広がるトレーニング。
<方法>
1.背すじを真っ直ぐに保ち、足を大きく左右に開いて構える。
2.片側の足を曲げ、腰を横に下ろしていく。
3.太ももが床と並行になるまで下がったら、伸ばしたほうの脚で身体を引き寄せるようにして元に戻る。
4.反対側の足も同じように曲げて腰を下ろしていく。
カーフレイズ
ふくらはぎを鍛える筋トレ。脹脛は「第二の心臓」とも言われ、鍛えることで体内の血流の循環が良くなる。
ステップアップ
段差(階段、椅子、フラットベンチ等)の上り下りを繰り返す筋トレ。初心者でも行いやすく、強くて美しい脚を作ることができる。カロリー消費も高い。
参照記事:
女性の下半身痩せ筋トレ|太もも・内もも・お尻を部位別に簡単自宅で引き締めるエクササイズ
スプリットトレーニングのすすめ
筋肉の超回復には24~72時間程度かかるとされ、その間トレーニングは控え休息日を設ける必要がある。そのため、1日に全身の筋肉を鍛えてしまうと、週に1~2回しかトレーニングできないことになってしまい、効率のよいトレーニング生活にはならない。そこで、全身を連動性の高い筋肉グループに分け、1週間かけてローテーションで全身を鍛えていく方法が有効だ。これが部位分割筋トレ=スプリットトレーニングである。
部位別にローテーションで鍛えていく方法
筋肉を増やす筋トレ(バルクアップ)においては、筋肉を回復させる期間と栄養摂取の観点からみても、週2~3回に分けて行うのがもっとも効率的。1日ごとに違う部位を鍛えることは、トレーニング時間もかからず、集中力が続くなどのメリットも期待できる。ターゲットの筋肉に対してより多くのセット数、効かせる筋トレができる。
ローテーション例
スプリットトレーニングのプログラムを組む上で大切なのが、筋肉同士の連動性と超回復期間を考慮すること。同じ部位や近い部位を2日続けて行わないなど、「その日鍛えない筋肉に負荷がかからない」ようにしていくことが大切だ。また、ローテーションを組むことで、休息日なども設定しやすい。
<ローテーション例>
1.下半身
2.肩・腹筋
3.腕筋・胸筋
4.背中・体幹 or ストレッチ or レスト(休養)
筋トレの順番
筋肉にも鍛える順番があるのをご存知だろうか。基本的には、複数の筋肉を使う種目(コンパウンド種目)や高重量で行う種目は多くの体力や集中力を消耗するため、体力に余裕があるトレーニング序盤で行うとよい。
<筋トレ順番例>
1.複数の筋肉を使う種目(コンパウンド種目)
2.高重量で行う種目
3.単一の筋肉を使う種目(アイソレーション種目)
4.低重量で行う種目
スプリットトレーニングプログラム例
それでは実際に、週に3回トレーニングすると想定した場合のプログラムを組んでみよう。
週1回目:上半身プレス系筋トレ+腹筋筋トレ
【1.上半身プレス系複合関節種目】
腕立て伏せ・足上げ腕立て伏せ・ディップなど×3セット
【2.三角筋コンパウンド種目】
パイクプッシュアップ・逆立ち腕立て伏せなど×3セット
【3.上腕三頭筋種目】
ダイヤモンド腕立て伏せ・ベンチディップスなど×3セット
【4.腹筋トレーニング】
クランチ・レッグレイズ・四の字クランチなど×3セット
週2回目:下半身筋トレ
【1.下半身の総合種目】
スクワット×3セット
【2.下半身前面の種目】
シシースクワット・サイドランジなど×3セット
【3.下半身後面の種目】ブルガリアンスクワットを3セット
週3回目:上半身プル系筋トレ+腹筋筋トレ
【1.上半身プル系総合種目】
斜め懸垂・懸垂など×3セット
【2.僧帽筋の種目】
パラレル懸垂×3セット
【3.上腕二頭筋の種目】
逆手懸垂×3セット
【4.腹筋トレーニング】
クランチ・レッグレイズ・四の字クランチなど×3セット
休養日の設定
超回復理論の観点からも、休養日は設けたほうがいい。仕事続きで眠い時、やる気のでない日を「休養日」にシフトするとよいだろう。
週に1日休養日を設定しておくと、もし仕事なので筋トレができず予定がずれた場合でも、この1日をトレーニング日に当てることができ、「できなかった」を回避することができます。
参照記事:
【部位分割法筋トレ】最効率で効果的なスプリットトレーニングの組み方を例示解説
効率の良い自重トレーニングのために
自宅での自重トレーニングを効率化するために、さらに押さえておきたいポイントを挙げる。
スロートレーニング
自重トレーニングにさらに負荷をかけたい場合は、スロートレーニングがおすすめ。筋肉の張力を維持しながらスロー動作するトレーニング方法で、ゆっくりと動作することによって、負荷が軽めであっても筋肥大・筋力増強効果を得ることができる。関節や筋肉にかかる負荷が小さいことから、安全に行える点もポイント。使っている筋肉をより意識することが出来る。
食事と栄養
筋トレをして満足してしまい、意外とおろそかになりがちなのが、栄養補給。効果を高めるには、適切な食事や栄養管理が大切だ。筋肉をつくるのには、体重×2gの純タンパク質が必要とされ(60kgの人の場合一日に120gの純タンパク質)、かなり多い。また、タンパク質を一度に吸収できる量は純タンパク質で約30g(肉類換算で150g)と言われている。一日3度の食事では必須タンパク質量をまかないきれないため、プロテインなどのサプリメントも上手に活用したい。1日を通して、4回5回とタンパク質を取ることで、絶え間なく筋肉に栄養を補給できる。
自重トレーニングをレベルアップする器具類
ここまでに見てきたように、自重トレーニングだけでも十分に鍛えることはできるが、筋トレグッズを取り入れることで、効果もよりアップする。そこで、初心者でも扱いやすい器具類をご紹介する。
懸垂ラック
懸垂だけでなく腕立て伏せ・ディップ・腹筋など、一通りの自重トレーニングができるチンニングラックから簡易的にドア部分に取り付けるものまで、さまざまなタイプが売られている。手首を真っ直ぐに保てるため、関節を保護できるだけでなく、動作の可動域自体も広がる。
ダンベル
可変式ダンベル・固定式ダンベルなどがある。腕の筋肉強化はもちろん、腹筋を使ったトレーニングにも使用可能。ダンベルを使用する際には必ず室内シューズを装着し、けが防止に備えること。
例)IROTEC(アイロテック) アイアン ダンベル 60KGセット (片手30kg×2個)
ベンチ
直接トレーニングを実施できる器具ではないが、自宅でダンベルやバーベルを使用する際にあると便利なアイテム。ベンチの角度を調節できるアジャスタブルベンチもおすすめ。
例)YouTen(ユーテン) インクラインベンチ フラットベンチ
ゴムチューブ
アームカールなどの腕の筋トレやふくらはぎの筋トレなど、幅広いトレーニングに使用できる。グリップがついているものや輪っか状になっているものまでさまざま売られている。
例)TheFitLife フィットネスチューブ トレーニングチューブ
ヨガマット・トレーニングマット
腕立て伏せや腹筋など、自重トレーニングは床で行う種目が多い。マットを敷いて行うことで滑り止め効果や衝撃の軽減につながる。
腹筋ローラー
腹筋ローラーはアブローラーとも呼ばれ、直径15cm程度のローラーを前後に動かして使用する。腹筋を鍛えるのに最適なアイテム。他の腹筋運動とは違う刺激を与えられる。
プッシュアップバー
腕立て伏せの効果を高めるためのアイテム。上半身をしっかり鍛えたい人にはおすすめ。
バランスボール
乗ってころころするだけで、だれでも簡単に体幹や身体全体を強化できる優れもの。クッションタイプなども取り揃う。