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公開 2017年06月19日  

絶対にこの日のことは、忘れない。“約束”と“裏切り”について考えた日の話。

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ツイッタ―で大人気“あおむろひろゆきさん”の書籍「新米おとうちゃんと小さな怪獣」。全6回に分けて、エピソードをご紹介します。4つ目のお話は「娘とした約束」について。


エピソード4「守らなかった約束」


4月の終わり、雨の降る夜のお話。

我が家では毎日20時頃に
子どもをお風呂に入れて
そのまま寝かしつけをしているのですが、
その日自宅の最寄り駅に
到着したのは21時前。

今日はもう寝ちゃったかな……
と思いながら、
自転車を走らせ
10分ほどで自宅の駐輪場に到着。

自転車を停めようとした時、
奥の方に大きな日本人形が
立っているのが見えます。

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おや?
疲れのせいで
見えてはいけないものが
見えちゃったのかな?

と思いながら目をこらしてみると、
それは日本人形ではなく、
先日髪を切って
きれいなオカッパヘアーになった
我が子でした。

隣には困った顔をした
妻が座っています。


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「おとうちゃんが帰ってくるまで
ここにいるって言って動かへんねん……」

と妻が言うので、

「こっちにおいで」

としゃがんで手を広げます。

テテテッと私の所まで
駆け寄ってきたものの、
口は「への字」で
目を合わそうとしません。

どうしたのかな?と思いながら
抱きかかえて家に帰り、
そのままお風呂に入りました。


「なんかあったの? 怒ってるの?」

と聞いても首を横に振るだけで、
何も言いません。

よく見ると目元には
涙を流した跡があって、
ううん、これは絶対何かあるなあと
思っている時にふと、
朝のやり取りを思い出しました。

朝7時過ぎ、
自転車の後ろに子どもを乗せて
保育所まで向かう道。

歌を歌いながら
自転車を走らせていると、
後ろから

「きょうのおむかえはおとうちゃんきてね」

という声が聞こえます。

すぐに今日の仕事の予定を
頭の中で確認して、
なんとかがんばれば行けそうだったので

「よし、行けたらいくわ」

と返事をしました。

ひょっとしてこのことかな……と思い、

「今日おとうちゃんが
お迎え行かんかったから怒ってるの?」

と聞いた瞬間、子どもがアーン!!と
大きな声を出して
泣いてしまいました。

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大人が軽い気持ちでしてしまった
小さな約束も、
子どもにとっては
大きな意味を持つことがあります。

今日一日どんな気持ちで過ごし、
どんな気持ちで夕方のお迎えを待ち、
そしてどんな気持ちで
雨の降る中駐輪場で私を待ち続けていたのか、
そのことを想うと胸がつぶれる思いでした。

震える肩を抱きしめて

「ごめんね」

と謝ったところで、時すでに遅し。

軽い気持ちで
子どもを裏切ってしまったことを
悔やむことしかできませんでした。

それからは、
どんな小さな約束事でも
守るようにしています。

逆に約束できないことは
「それはできない」とはっきり断ります。

毎回「どうして!」と
大声をあげて泣くので少し心苦しいけれど、
もう裏切りを重ねたくないから。

あの夜のことは忘れないでおこうと思います。






***

小さな約束。
大きな約束。

守れた約束。
守れなかった約束。

約束って嬉しいけど、
時にとっても、難しい。





このお話が収録されている、
「新米おとうちゃんと小さな怪獣」は
こちらから購入できます。

(編集:コノビー編集部 三輪ひかり)

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