五十嵐先生にお話を伺う連載企画も今回が最終回。
今回はママ・パパたちの素朴な疑問に答えていただきます!
「デジタル教育よりも大事なのは家庭教育!」天才プログラマーがママ・パパの疑問に答えます!
15,358 View「プログラミングって習わせたほうがいいの?」「スマホやタブレットって、子どもに見せてもいいの?」
IT研究の専門家であり、自身も3人のお子さんのママである五十嵐悠紀(いがらし・ゆき)先生がママ・パパの疑問に答えてくださいました。
「デジタル教育」が注目される今。ママ・パパの素朴な疑問を専門家に聞いてみた!
疑問①:「英語」や「プログラミング」ってやっぱり習った方が良いの?
——デジタルの専門家である五十嵐先生にお伺いしたいのですが、やっぱり「プログラミング」は習っておいた方が良いのでしょうか?
必ずしも「スキル」を身につけるためだけの習い事は重要とは言えません。
プログラミングには、「この言語でこのプログラムが組める」「アプリがつくれる」といった楽しさもあるんですが、大切なのはそういった経験を通して「好奇心」や「興味」を育むことです。
——「好奇心」や「興味」ですか。
昔は知識が豊富で何でも知っている人がすごい、と思われた時代もあったんですが、今は検索すれば知識は一瞬でわかりますよね。
大切なのはその知識を使ってどう展開していくか、どういうことを自分が考えるか、といった力だと言われています。
その力をつけるには習い事だけをすれば良いということではなく、そこにプラスして親子の接し方も大きく影響すると思います。
——「習い事をすれば大丈夫」ということではなく、家での関わり方でも工夫できるんですね。
疑問②:スマホやタブレットは何歳から見せてもいいの?
——出かけ先などで子どもが騒がないようにタブレットで動画を見せることが多くて…。これってダメなんでしょうか?
幼少期の子どもがデジタルに触れることについては、専門家の見解の分かれるところです。
実際1歳半ぐらいになると、親のスマホのロックを解除して、自分の写真を見つけて「これ私」と認識することができたり、動画の再生マークがあると押したがったりする子も増えきますよね。
——教えていないのに動画の再生方法を覚えていて、びっくりしたことがあります。
そんな興味関心を引き出すという側面がありつつも、やはり適切な利用頻度や利用時間は気になるところですよね。
さまざまな幼児教育やデジタルデバイスの専門家の話を聞いたり、本を読んだりしたところ、みなさんだいたい「2歳ぐらいまでは触らせない方が良い」とおっしゃっています。
2歳ぐらいまでは外から言葉のシャワーをいっぱい浴びて、自分もいっぱい喋るようになるなど、リアルに身体を使って発達していくことを大事にしたい時期です。
2歳を過ぎると15分単位の幼児向けレビ番組に集中できたり、保育園・幼稚園の中でもちょっとした学びの区切りが15分だったりすることも増えてきます。
短時間で親子一緒に楽しめるものだったら、うまく使えるんじゃないかなと思います。
「この時間でこういうものを学んでもらうために使いたい」と意識して利用するといいですね。
——目的を意識、ですか…。
それから子どもがある程度大きくなった時に、「この年齢ではまだ見て欲しくないな」と感じる動画を子どもが見ていたら、その気持ちをきちんと伝えることも大切ですね。
なぜ見て欲しくないと思うのか、「ママはこう考えているよ」ということを素直に話し、何度も伝えるんです。
その方が子どもにとっても納得しやすいですし、親子の関係も良くなると思います。
——ただ取り上げるのではなく、親子で最適な使い方を見つけていくことが大切、ということですね。
疑問③:おもちゃを買ってもすぐに飽きる…。うちの子って好奇心が足りないの?
——せっかく買ったおもちゃに子どもが見向きもしないということがあるのですが、うちの子は飽きっぽいのでしょうか?
そんなことないと思いますよ。
幼い子どもは誰もが、本人なりの意欲を持っているものです。
「いろいろなことを学びたい」という知的好奇心や、「難しい問題に出会うとやる気が出る」といった挑戦行動までさまざまあります。
意欲を育てるためには、多少の失敗は恐れずに、危険性がない限り見守る姿勢が大事だと言われています。
ちょっとした危険でも全て先回りしてお膳立てしない方がいいですね。
——たしかに、親が手を出してしまうことが多いです…。
例えば「ひらがなを覚えたい」という気持ちになっている時、「ひらがなはこういう書き順で書くのよ」とか「それは違うよ」というのはやる気を削いでしまう場合もあります。
多くのお母さんは、五十音すべて教えたいとはりきり『「あ」はこうやって書くんだよ』といきなり難しい「あ」から始まるんですよね。
でも実は小学校1年生って、あいうえお順じゃなくて「し」「つ」から習うんです。
そういう簡単なところから入る方がいいですね。
他にも、「書く」ということの意欲を引き出したかったら、例えば自分の名前などの読めるところから始めたり、「お母さんにお手紙を書いてくれる?」と声をかけて家庭内で文通したり。
子どもの「やりたい」という意欲を伸ばすことができる方法を探してみると良いでしょう。
——関わり方にも、いろんな工夫ができるんですね。
そうですね、試行錯誤のしがいがあります。
我が家でも末娘のお誕生日に、おままごと用のキッチンを買ったのですが、いつまでも遊ばないということがありました。
「かわいいのに、どうして遊ばないの?」と聞いてみたら、答えが「寒いから」。(笑)
——…盲点(笑)!
そうなんです。冬だったので、床暖房から外れた場所で遊びたくなかったんですよね。
そのキッチンを床暖房があるダイニングに移動したら毎日遊ぶようになりました。
決して娘に好奇心がなかったわけではないんです。
みなさんのお宅でも環境など、条件を変えたら案外遊ぶことがあるかも知れませんよ。
疑問④:子どもの好奇心を引き出すことが大切といっても、そんな方法習ったことないし、うまくできるか不安…!
——環境を整えたり、子どもの行動を見守ったりということが、好奇心を引き出すために大切ということですが、なんだか難しそうだなという印象があって…。
確かに親になったからといって、いきなりできるようになるというものではありませんし、誰でも最初は初めてのことはできないものですよね。
私も自分なりに色々試して、失敗もした結果、いくつかうまくいったことがある…という感じです。
——ご自宅で行なっている好奇心を引き出す方法は、他にありますか?
例えばブロック一つとっても、長男は、基本パーツだけのブロックをひたすら組み立てて、恐竜やお家をつくったり、ちょっと違うパーツを入れたりして、オリジナリティを出して色々遊んでいました。
ですが、妹が生まれた時にブロックのお城セットを買ったんですね。
すると組み立て説明書を一生懸命見ながら、一個一個間違いがないようにつくり始めたのです。
それまでのブロック遊びはつくって壊し、試行錯誤を楽しんでいたのですが、完璧なものをつくって終わりの遊びになっちゃったんですね。
——同じブロック遊びでも「遊びに向かう姿勢」が変わったんですね…。
もちろんそうやって一個一個を正しく立体的に読み取り、完成品をつくる力はすごく伸ばせるし、それはそれで良いと思うんです。
でもそのキットをつくることでは、試行錯誤の力は伸ばしにくいのかなと感じました。
その経験があってから、「何で遊ぶか」ではなく「子どもがどうやって遊ぶか」までを意識しておもちゃを選ぶようにしています。
遊び方次第で、子どもの経験や伸ばすことができる力は大きく変わってくることもあります。
親として子どもがどんな風にいま遊んでいるのか、どんな経験を積んでいるのかというのは、しっかり見守りたいなと思いますね。
疑問⑤:どういう風におもちゃや教材を選んだらいいのでしょうか?
——「どうやって遊ぶか」が重要とのことですが、五十嵐先生が実際に活用した教材やおもちゃはどんなものでしたか?
おもちゃや教材選びはかなり迷いました。年齢に合わせてさまざまなものに興味を持てるようにするというのも大変ですし。
男の子でもおままごとに興味をもつし、女の子でも電車のおもちゃに興味を持ちます。
親だけで全てをまかなおうとせず、信頼のおける専門家が監修した書籍や、通信教育についてくる「おうちの方向け冊子」などを参考にする方法もおすすめです。
プロの意見を活用しながら、自分の子どもが興味を持つおもちゃや教材をだんだん見つけていくと良いと思います。
——五十嵐先生も他の専門家の先生の意見などを参考にしていらっしゃるんですね!なんだか安心しました。
五十嵐先生、貴重なお話を本当にありがとうございました!
子どもの好奇心を引き出せたエピソードを教えてください!
明治大学の先端メディアサイエンス学科で工学博士として活躍し、ご自身も3人のお子さんのママである五十嵐悠紀先生にお話を聞いてきた企画も今回が最終回。
IT研究の専門家だからこそ考える、「21世紀型スキル」についてお話を伺い、ママ・パパからの疑問にもお答えいただきましたが、みなさんいかがだったでしょうか。
今回コノビーでは誰でも投稿できるFacebookページを開設しました。
Facebookページには「グループに参加」のボタンを押すと参加することができます。
※ 承認まで時間がかかることがあります。ご了承ください。
そこでは「子どもの好奇心をうまく引き出せたエピソード・好奇心を引き出そうとして失敗してしまったエピソード」を募集しています。
他にも「料理に興味があるみたいだけど、まだ小さいから手伝わせるのは不安…。他にも好奇心を引き出す方法はある?」などの質問も受付中。
投稿された質問の中から、厳選した質問には五十嵐先生からお答えいただく予定です。
ぜひFacebookページをのぞいてみてくださいね。
五十嵐先生が使ってみたおすすめの教材って?
——今回、五十嵐先生は3人のお子さんと一緒に<こどもちゃれんじ>を使われたんですよね。
はい。3人とも「おもしろい、おもしろい」と言ってとても食いつきました。(笑)
次男は「お寿司屋さんセットが来た」って言いながら、まず洗面所からタオルを持ってきて、ねじり鉢巻をして、自分がお寿司屋さんになっていて。(笑)
「はいお母さんメニュー。どれがいいですか」って、本当になりきっているのが面白いなと。
——本格的なごっこ遊びですね!
ひとつの遊び方だけでなく、同じパーツを使いながらいろんな遊び方が提案してあったので、そこに載っていない遊びを考えるという発想につながり、好奇心を育てるように工夫されているので、遊びから学びにつながりますね。
ワークブックも良かったです。
数を勉強するページは「大きいものを集めなさい」ではなく、「大きい方に進んで行こうね」というワークでした。
数字が分かっていても、比較をするところまで気にしていなかったので、これはよくできているなと思いました。
『なんこみつけましょう』みたいな間違い探しもちょうどいい難易度でしたね。
他にも2歳の長女の教材は、ちょうどしまじろうの妹の『はなちゃん』が登場していて。
開けた瞬間から「あっ、はなちゃん!」って目がハートになって、はなちゃんを一生懸命を着替えさせたり、布団に寝かせたりとお世話をしていました。
「はなちゃんの絵本もついてる。これ読んであげなきゃ」と一生懸命お話を考えて寝かしつけをしていました。
——子どもたちのモチベーションと、好奇心がしっかり引き出されていますね。
いろんな遊びがある中で、人形を使いながらの遊びは情緒を育てる上ですごく大事です。
男女関係なく、長男も一緒になってはなちゃんとすごく楽しそうに遊んでいましたよ。
どういうタイミングでどういうおもちゃを与えるか、いつ数字や文字の学習に入るのがいいか。
本屋さんでずらっと並んでいるワークの中から、今の子どもに最適な教材を見極めピックアップするのはとても大変です。
でも<こどもちゃれんじ>なら、ちょうどいいタイミングで、内容の幅広いものが送られてくる。
「そろそろこういうのやってみたら?」という提案をママ友にしてもらっているみたいな感じが良いところだなと思っています。
※ 今回の記事は五十嵐悠紀先生への取材を元に、記事について監修いただいております。
※ 内容につきましては一部個人の見解を含みます。
※ 「こどもちゃれんじ」と非認知能力の因果関係を保証するものではありません。
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