キリコ「………はっ」
寝間着姿の夫がいびきをかいて爆睡してる…。
今、何時?
おそるおそるスマホを見ると、「3:33」。
キリコ 「ゾロ目~、ゾロ目~。………はぁ。仕事を請けたことを伝えてあったんだから、起こしてくれよ。…うぅ、寒い」
寝ている夫に完全なる八つ当たりを囁き、私は眠さと寒さに耐えられず二度寝することにした。
明日がんばる。明日…。ぜったい…。
――執筆しなきゃ! という焦る気持ちがあるものの、日々の家事や育児をサボる方法もなく、とにかくこなし、これはもう昨日のように昼寝をさせるしかない!
奏太のお外遊びを長めにし、寝かしつけ作戦は成功した。
…しかし寝落ちより恐ろしい事態が起きた。
キリコ 「どうしよう…」
この4年半で私のライティングスキルはすっかり落ちてしまっていたのである。
でもそんな事情などお構いなしに、夫は終電帰宅だし、明日は川口つばさ幼稚園のプレがある。
ひとまず「ライターのキリコさん」はお休みしなければいけない。
翌日。プレ終わりに園庭で遊ぶ子どもたちを見つつ、私は焦りを吐き出すようにママ友たちに話を聞いてもらった。
文乃 「それは大変だねー! でもさー、家でやれる仕事を持っててすごいよ、キリちゃん」
歩 「そうだよ! 私もリョウが入園したらパートしてお小遣いを稼ぎたいなぁ。自分のお金で好きなものを買いたい!」
文乃 「だねー。私も子どもの習い事代くらいを稼げればいいなぁ」
ふと、入園後の自分たちが頭に浮かぶ。子どもたちは幼稚園に行き、ママたちはパートに出て、降園後もみんなそれぞれ習い事があったりして。
今みたいに一緒にいる生活も入園後は変わっちゃうのかな。なんだか寂しいなと思っていると、同じクラスのママが話しかけてきた。
公開 2018年02月13日
仕事復帰する。そう決めただけで、こんなに気持ちが変わるなんて。 / 第3話 sideキリコ(2ページ目)
37,026 View夏から引っ越し先の家探しを始めた円田家だが、理想の家とはなかなか出会えず、コレと思う家は手が届かない金額になってしまう。
夫・満の実家に泊まった夜、キリコは運命を感じた新築戸建ての家を購入するべく、奏太が幼稚園に入園する4月からライターの仕事を再開しようと決意するが…。
※ この記事は2024年09月27日に再公開された記事です。
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連載「家族の選択」
#3
さいとう美如
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