吉田 「そっかー……」
「じゃあ結構です」と言われるんじゃないかと次の言葉が恐ろしくて私から話し出す。
キリコ 「あー、あのー…。さっき、ライターはママのみって言ってましたよね。他のライターさんって仕事と子育ての両立ってどうしてるんですか?」
そう、それ。よく言った自分。
両立できる方法が分かれば、どうにかやれるかもしれないし。
吉田 「他の皆さんは…保育園に預けていたり…ですかね」
まさかの保育園!え、待機児童問題は?
だって、他のライターさんだってフリーですよね?
キリコ 「保育園…みなさんフリーでも預けることが出来たんですね」
吉田 「地方だと大丈夫なところも多いみたいですよ。待機児童ってどうしても都市部に集中しちゃってるから」
キリコ 「地方の方もいらっしゃるんですね」
吉田 「はい。…あっ」
吉田さんは手を顎に当て、驚いたような表情を見せる。
吉田 「というか…地方の方ばかりですね、考えてみたら! 一番、量を請けてくれそうな方は北海道ですしね」
キリコ 「北海道!?」
吉田 「ほら、今はビデオ会議できるし、やり取りはメールとかでやってるから…どこに住んでるか気にしてませんでした」
キリコ 「確かにそんなしょっちゅう打ち合わせする感じでもないし」
吉田 「ですね。そう考えると、都内近郊に住んでなきゃいけない理由が…あんまりないかも」
公開 2018年03月27日
1人で電車に乗るなんて、久しぶりすぎて落ち着かない。 / 14話 sideキリコ(2ページ目)
23,936 View出産前に仕事を請けていたヨリミチビヨリの編集者・吉田から「ママ向けサイトの立ち上げをしているからライターの仕事を頼みたい」という連絡が来たキリコ。
夫・満が息子の奏太を連れて、新幹線で岐阜の実家に向かった土曜日。キリコは仕事再開に向けて、吉田との打ち合わせに向かうことに――。
※ この記事は2024年10月09日に再公開された記事です。
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連載「家族の選択」
#14
さいとう美如
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