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公開 2018年04月17日  

人見知りな息子に、笑いあえる友達がいるのは私も心強い。/ 20話 sideキリコ(2ページ目)

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岐阜への引っ越しと満の転職。大きな選択に揺れる円田家。
満の実家近くの桜葉幼稚園のプレに行ってみるも、人見知りの奏太は号泣し教室で過ごすことができなかった。知り合いがいない環境で心細さを感じたのはキリコも同じで…。仕事も家族もすべてが100点なんてムリなのかな。沈んだ気持ちのまま、新幹線で川口へ戻った翌日――。


思わずため息を吐くと、夫が背筋を伸ばし、私を見る。


  「やっぱり引っ越し案をもう少しがんばってみるのは…どうかな? うーん…。奏太の性格からして、初めての幼稚園でプレの初回を楽しめる方が奇跡なんだし…。川口つばさのプレも初回は泣いて大変だったよね?」

キリコ  「…そうだけど。プレのたびに岐阜に行ってたら、交通費だって…」

  「でもプレも含めて、あの辺の環境に慣れる時間が必要な気がする。少し実家にいてみるのはどう?」


突然の夫の提案に私の眉毛がピクリと動く。ちょっと待ってよ?


キリコ  「それって……私と奏太がパパの実家に連泊するってこと?」

  「まぁそうなるか…」


まぁそうなるか…じゃ、ねえよ。


キリコ  「……お義母さんとちょっと仲良くなったとはいえ、義実家に連泊はけっこうしんどいよね。お義兄家族もいるしね…」

  「キリがあの戸建てを買いたい気持ちがゼロじゃないなら…」


あー、もうやだ。私、お母さんなのに、奏太のことが一番とか言ってるくせに。

でも義実家に連泊するのなんてしんどいよ。

夫が言ってることは正しいと思う。

奏太があの場所に慣れたら、もしかしたら幼稚園も桜葉でいいって思えるかもしれない。

でもでもでもでもでも、あー!


キリコ  「…ごめん。なんか今すぐ決められない。今日はもう頭が回らない。お風呂入って寝る」


頭から煙が出そうになって立ち上がると、背後から「…わかった」と夫の声がした。


――翌朝、モヤモヤしながら部屋の掃除をしていると、栃木の実家近くに住んでいる姉・洋子から電話が掛かって来た。


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なんだろ?


洋子  「あー、もしもし? お父さんさー、今日、定年退職すんのよ。お母さんに電話しても、鹿児島から帰って来ないっていうし。あんた、夕方くらいから来れる? 奏太も一緒に夕飯たべよう。寝る布団は干しておくから。頼むよー。おそらく私とお父さん二人きりになっちゃうから」

キリコ  「ちーちゃんは?」

洋子  「部活だよ。てか、もう中学生になるとじいじの家に行きたがらないから。お年玉ほしい時だけ、行くのは」


実家に泊まりか。

きっと今夜も夫と話し合いになる。

まだ頭の中、ぐちゃぐちゃでまとまってないし、一晩、夫と離れて考えるのもいいかもしれないな。


キリコ  「わかった。奏太と行くね」


電話を切ると、「お父さんの退職祝い」をするために実家に帰ることを夫にメッセした。

その退職祝いの席で、お母さんが鹿児島の実家に帰ってしまった理由を知ることになるとは…。

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▶︎▶︎ 次回、21話は、4/24(火)20時公開予定!

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※ この記事は2024年10月13日に再公開された記事です。

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