――翌日。
今日は一番の目的の桜葉幼稚園プレの日。
だけど…奏太、行ってくれるかなぁ。
こたつに入り、義母が作った朝ごはんを食べながら、奏太をチラリと見る。
奏太 「次はたまご」
真由美 「はい、あーん」
奏太はおばあちゃんにご飯を食べさせてもらっている。
赤ちゃんか、君は…。
まぁ、それはいまは置いといて。
キリコ 「ねぇ、奏太」
奏太 「なあに?」
キリコ 「今日さー、桜葉のプレなんだけど…行く? 行ってみる?」
奏太 「行かない」
あー、やっぱりそうですかー。
でもここで無理に連れてっても余計に嫌がることになりそうだしなぁ…。
キリコ 「…じゃあ、公園行こうっか」
奏太 「やだ。だって、へんな子いるじゃん」
キリコ 「あー、圭吾くん?」
奏太 「だから行かない」
わー、そっちもですかー。
岐阜に慣れさせるために来てるんだけど…どうしたもんだろ。
無言できんぴらごぼうを食べていると、別の部屋にいたミノルがリビングにやって来る。
ミノル 「じゃあ、スキーでも行くか?」
え? 唐突…。
奏太 「すきーってなに?」
真由美 「雪で遊ぶんだよ」
奏太 「わー!いくいく!」
真由美 「奏ちゃん、おばあちゃんとおじいちゃんと行こう? ママはおうちでやることあるから」
……ん?? なにかあったっけ?
奏太 「いいよ!」
ミノル 「にいにたちが使ってたソリがあるから、こっちおいで」
奏太 「うん!」
はしゃぐ奏太と義父がいなくなり、きょとんとした私に義母が微笑む。
真由美 「キリコちゃん、今日は家でゆっくりしてな」
キリコ 「え! …いいんですか?」
真由美 「うん。連泊するって連絡きたからね、お父さんが奏ちゃんのサイズのスキーウェアを買っといたのよ」
奏太 「ママ~!」
カラフルなスキーウェアを着た奏太がソリを抱えた義父とリビングに戻って来る。
公開 2018年05月01日
公園でのお友達トラブルって親同士が気を遣うんだよね…。 / 23話 sideキリコ(2ページ目)
37,234 View引っ越しは奏太にとってはつらいだけになるかもしれない。悩んでいたキリコだったが、実家で過ごし幼い頃の夢を思い出したことをキッカケに、奏太の不安をなくすための方法を考え始める。新しい環境になれるため満の実家である岐阜で過ごしてみようと話すも奏太は嫌だ!と拒否。しかしその後「行ってもいいよ」と奏太が言ったことにより、キリコと奏太は2人で岐阜に向かう。
※ この記事は2024年10月18日に再公開された記事です。
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連載「家族の選択」
#23
さいとう美如
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