あなたが人見知りしてしまうのは分かる。
私だってそうだったから。
でもね、あなたが産まれて、気づけば他のママたちと仲良くなれた。
そしたらとっても楽しくて、あなたに感謝してるんだよ。
奏太も川口のお友だちと少しずつ仲良くなれたよね。
これからもしこの知らない土地でお友達を作っていくなら、ママも一緒に奏太と楽しくやっていきたい。
奏太は何も言わず、泣き出しそうな顔をしている。
キリコ 「ポイしちゃうくらいなら、圭吾くんにプレゼントしてあげよう? 剣だって、その方が嬉しいよ。ね?」
奏太に届け、私の気持ち。
奏太 「……うん」
小さく答えたその声がとっても嬉しくて、笑顔になる。
キリコ 「よし! じゃあ、探しに行こうか。おもちゃ釣りに行くって言ってたよね」
奏太 「うん」
奏太と共に走り出し、おもちゃ釣りコーナーに向かうと圭吾親子の姿があった。
キリコ 「圭吾くーん!」
圭吾 「あ!」
キリコ 「あのね、奏太が」
奏太 「…」
奏太は下を向いたまま黙っている。
うん、大丈夫だよ。
剣をもつ奏太の手に自分の手を重ね、圭吾に差し出す。
キリコ 「はい、どうぞ」
圭吾 「やった!」
圭吾は飛びきりの笑顔を見せ、剣を掲げてジャンプする。
圭吾ママ「いいんですか? 奏太くん、いいの?」
奏太が無言でうなずくと、圭吾が奏太の顔を覗き込んだ。
圭吾 「そーたくん、ありがと!」
奏太 「……うん」
公開 2018年05月08日
新しい出会いは、子どもを成長させるのかもしれない。 / 25話 sideキリコ(2ページ目)
35,425 View岐阜にある満の実家で過ごすことになったキリコと奏太。号泣して以来、幼稚園のプレには行きたくないと言う奏太は、近くの公園で出会った男の子、圭吾ともなかなか仲良くなれない。そんな時、小学校のバザーで再び圭吾に出会う――。
※ この記事は2024年10月20日に再公開された記事です。
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連載「家族の選択」
#25
さいとう美如
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